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九州ガス圧送株式会社 大牟田工場

操作性を徹底追求した基地監視制御システムが
LNGを原料とする都市ガスの安定供給を支える

大牟田地区、熊本地区で消費される都市ガスの製造・供給を行う、西部ガスの液化天然ガス(LNG)サテライト基地として設立された九州ガス圧送 大牟田工場。その稼働に際して導入された監視・制御システムでは、分かりやすさと使いやすさを徹底追求し、LNGを原料とする都市ガス製造設備の運転を、経験の浅いオペレータでも無理なくこなしていける環境を実現しています。

九州ガス圧送株式会社 大牟田工場

九州ガス圧送株式会社 大牟田工場

工場・プラント分野 電力・ガス 安全・安心 安定稼働 稼働改善 運転監視・制御システム&ソフトウェア スイッチ/センサ

ガス製造設備における長年にわたる実績を高く評価

中央監視室に設置されたHarmonas。LNGプラントの監視・制御を行っている。

中央監視室に設置されたHarmonas。LNGプラントの監視・制御を行っている。

西部(さいぶ)ガス株式会社のグループ企業である九州ガス圧送株式会社は、西部ガスからの委託を受けて液化天然ガス(LNG)を原料とする都市ガスを製造しています。同社は、大牟田市内へ都市ガスを供給する大牟田ガス株式会社と、熊本地区に供給する西部ガスの双方にパイプラインを通して都市ガスを送出しています。

「従来、大牟田地区と熊本地区に向けた都市ガス供給については、同じく西部ガスのグループ企業であるエスジーケミカル株式会社がSNG※1を製造し、パイプラインを通じてこれらの地区に送出してきました。しかし、将来的に両地区の都市ガス需要の増加が予想されることや、環境負荷の低減などを念頭に、西部ガスが策定した大牟田LNGサテライト基地※2の建設計画に基づき、それまで主に大牟田─熊本間のパイプラインの敷設、維持・管理にかかわる事業に携わっていた九州ガス圧送が、その基地の建設および運営に当たることとなりました」(西野氏)

2011年の操業開始を目指して、製造設備の建設に向けた準備が進む中、それと並行してLNGを原料とする都市ガス製造工程の監視・制御を担うシステムの構築について、パートナーの選定が行われました。そして競争入札の結果、パートナーに迎えられたのが、協調オートメーション・システム Harmonas™をベースに提案を行っていたアズビル株式会社でした。

「コスト面の優位性があったことはもちろんですが、これまでにもアズビルの製品が西部ガスグループのプラントにおいて広く採用されており、長年にわたって実績を積み上げてきたという経緯があります。また、サービス拠点が近くにあり、何かトラブルが発生した際にも迅速な対応が期待できるといったことも高い評価を得ていました」(田中氏)

監視・制御画面の分かりやすさと操作性の良さを徹底的に追求

大牟田工場の敷地を取り囲むように設置されている監視カメラ。カメラの映像は、中央監視室および警備員室に設置されたモニタで常時監視されている。

大牟田工場の敷地を取り囲むように設置されている監視カメラ。カメラの映像は、中央監視室および警備員室に設置されたモニタで常時監視されている。

アズビルが大牟田工場の基地監視制御システムを受注したのが2010年1月。そして2010年6月にはその導入に向けての工事が開始されました。

「Harmonasの導入に際し、特にこだわって設計したのが、ユーザーインタフェースとなる監視・制御用の画面です。というのも、設備運用を担当する予定のメンバーの中には、経験の浅いオペレータも含まれていたため、監視・制御画面の分かりやすさや操作性の良さを実現することが必要でした。さらに、シーケンスを走らせたときにポップアップを表示するなど、設備の動きや状態がリアルタイムに分かり、プロセスそのものを容易に理解、学習できるような工夫も施しています」(待鳥氏)

そうした取組みを経て、2011年7月に九州ガス圧送の大牟田工場が操業を開始。同時にHarmonasを中核とする基地監視制御システムが本格稼働しました。同工場における都市ガスの製造工程は、主にタンクローリーで運ばれてくるLNGの受入れ、LNG貯槽での貯蔵、温水による気化、BOG処理※3、液化石油ガス(LPG)との混合による熱量調整、そしてパイプラインを通じての送出という各工程から成ります。Harmonasでは、これら全工程の監視と、気化、BOG処理、熱量調整、送出の工程についての制御を行っています。

また今回、基地監視制御システムのほかに、遠隔供給監視システムと呼ばれる仕組みも併せて構築。このシステムでは、大牟田ガスへの引取りポイントである大牟田供給所、および熊本市にある西部ガスの萩原供給所における供給状況を大牟田工場から監視するとともに、ガス送出圧力や流量などの状態を西部ガス熊本工場からも監視できるようになっています。

西部ガスグループで採用されている地震センサ SES60。

西部ガスグループで採用されている地震センサ SES™60。

大牟田工場のLNGプラント内にも設置されており、中央監視室にある地震センサ表示器で地震発生の状況が確認できる。

大牟田工場のLNGプラント内にも設置されており、中央監視室にある地震センサ表示器で地震発生の状況が確認できる。

製造工程全体の動きを捉え、安全・確実にガスを製造

現在、大牟田工場では、2名×4チーム、計8名のオペレータが製造設備の監視・制御に当たっています。そのうちの3名がLNGプラントのオペレータ経験者であり、ほかの5名はSNG製造設備での運転経験はあるもののLNGプラントについては初心者でした。今回の基地監視制御システムの導入に当たり、分かりやすい画面と使いやすさを追求したことで、LNGプラントの稼働開始時にはスムーズに対応できたとのことです。

「今まで経験してきたLNGプラントのシステムでは、1つひとつの設備を個別に管理していました。それに対して、今回のシステムでは製造工程全体として設備の状態やプロセスの動きを管理することができるようになったことで、経験の浅いオペレータでも状況に応じた対応を安全に、そして確実に行えるようになりました」(待鳥氏)

「また、お客さまのライフラインを支える設備という観点では、いかに安定的に操業を継続するかということも重要なテーマの1つです。アズビルとの間では24時間365日対応の保守契約を交わしており、大きな安心感が得られています」(田中氏)

さらに、そうした継続的な安定操業の実現に向けた取組みに関連して、大牟田工場では、監視カメラ(ITV)システムやアズビルのインテリジェント地震センサ SES60を採用。同工場のセキュリティ対策やBCP対応を含むリスク管理についてアズビルの各種ソリューションが支えています。

現在、九州ガス圧送の大牟田工場では、年間5万トンのLNGを受け入れ、都市ガスを製造していますが、将来的には大牟田市における都市ガスの需要がさらに拡大するものと見込まれています。

「そうした予測を受けて、当工場もいずれは年間LNG取扱量を20万トンにまで増やすべく、工場設備を拡張していくといったビジョンも描いています。まだその時期は未定ですが、その際には現行の設備を安定稼働させながら、スムーズに設備を拡張していくという難しい対応を迫られることになります。そうした際にもアズビルが我々の取組みをしっかりと支えていってくれるものと期待しています」(西野氏)

用語解説

※1 SNG(Synthetic Natural Gas)

合成天然ガス。代替天然ガスとも呼ばれ、LPGなどの炭化水素原料から製造されたガスで、天然ガスと類似の性質を持ち、燃料または原料として天然ガスと代替可能なもの。

※2 LNGサテライト基地

LNG受入れ基地(一次基地)からタンクローリーで輸送されてきたLNGを原料として受け入れて貯蔵し、需要に応じて気化して都市ガスを供給する基地(二次基地)。

※3 BOG(Boil Off Gas)処理

LNG貯槽内で自然気化したガス(BOG)を圧縮させ、熱量調整装置へ送り出す工程。

 

お客さま紹介

九州ガス圧送株式会社 ガス事業部 大牟田工場 工場長 西野 邦浩氏
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工場長
西野 邦浩氏
九州ガス圧送株式会社 ガス事業部 大牟田工場 マネージャー 田中 章一氏
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マネージャー
田中 章一氏
九州ガス圧送株式会社 ガス事業部 大牟田工場 リーダー 待鳥 勇人氏
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リーダー
待鳥 勇人氏
九州ガス圧送株式会社 ガス事業部 大牟田工場 梅田 拓氏
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九州ガス圧送株式会社 ガス事業部 大牟田工場 山口 太士氏
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九州ガス圧送株式会社 ガス事業部 大牟田工場 赤星 敦志氏
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九州ガス圧送株式会社 ガス事業部 大牟田工場 紫尾田 雅巳氏
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紫尾田 雅巳氏

九州ガス圧送株式会社 大牟田工場

九州ガス圧送株式会社 大牟田工場

九州ガス圧送株式会社 大牟田工場

  • 所在地/福岡県大牟田市新港町1-269
  • 設立/1973年12月15日
  • 事業内容/LNGを原料とする都市ガスの製造、ガス導管の維持・管理
  • 元請/西部ガスエンジニアリング株式会社
  • 一次下請/新日鉄エンジニアリング株式会社

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2012 Vol.7(2012年08月発行)に掲載されたものです。

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