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夢時代ショッピングモール

日本発の技術・ノウハウを核とした施策で
台湾国内における省エネ対策の範を示す

台北市に次ぐ台湾第2の都市、高雄市で営業する台湾最大規模のショッピングモールとして知られる夢時代ショッピングモール。同施設では、課題として抱えてきた電力コストの削減を念頭に、省エネ先進国である日本の技術・ノウハウを活用した施策に着手。ESCOサービスの活用によって投資リスクの最小化を図りながら、目標値を大幅に上回る省エネルギーの効果を上げることに成功しました。

夢時代ショッピングモール

夢時代ショッピングモール

建物分野 ショッピングセンター 省エネルギー コスト削減 海外 中央監視システム 建物のエネルギーマネジメント

導入製品・サービス

建物管理システム savic-net FX

台湾最大規模の商業施設で電力コストの削減が重要課題に

日本の九州とほぼ同じ広さの国土に、約2300万人の人々が暮らす台湾。今日では、グローバル規模で見ても、最も急速な経済成長を遂げている国の1つに数えられています。また、歴史を通して、日本とも深い関係性を維持してきており、特に近年ではITや半導体、電子機器産業を中心に、両国のビジネス上のつながりは非常に緊密なものとなっています。

夢時代ショッピングモールは、台湾南部にある工業・港湾都市である高雄市に2007年3月30日にオープン。ショッピングモールとしては、台湾最大規模を誇っています。約1万5000坪という広大な敷地内には、それぞれ地下2階、地上9階、屋上の計12のフロアを有する前棟、後棟の2つの建物が建てられています。両棟の内部には、800を超えるショップ、レジャーやアート関連、レストランが軒を連ね、1000を超える有名ブランド商品を取りそろえており、平日で約3万5000人、休日ともなると10万人もの買い物客が訪れて大きなにぎわいを見せています。

同施設の運営には、特に小売・サービス事業の分野において台湾屈指の知名度を誇る統一グループ傘下の統正開發股份有限公司が当たっていますが、施設のオープン以来、その運営に伴うエネルギーコストが課題となっていました。

「特に、施設全体で月間2000万台湾ドル(約5150万円)以上を要していた電気代をいかに削減するかが当社にとって重要なテーマとして浮上していました。併せて、統一グループ全体としても、企業の社会的責任(CSR)の一環として省エネルギーの推進を表明しており、それに向けた施策の強化が求められていたのです」(張氏)

日本での豊富な実績に直接触れ、パートナーに迎えることを決定

中央監視室にBEMSとして導入されているsavic-net FX。

中央監視室にBEMSとして導入されているsavic-net FX。

統正開發が1つのアプローチとして検討したのが、省エネ先進国である日本の技術・ノウハウを取り入れ、より効果的に施策を展開するというものでした。そこで、統一グループとして深いつながりを持っていた三菱商事株式会社に相談。三菱商事と日本国内で日本ファシリティ・ソリューション株式会社の共同事業パートナーとなっているアズビル株式会社が一緒に提案を行うこととなりました。

「検討段階では、アズビル以外にも、それまで施設管理のシステムを担当していた既存ベンダーも含めて3~4社が候補として挙がっていました。アズビルからの提案を受け、実際に日本を訪れてアズビルの省エネ分野での豊富な実績を目の当たりにしたことで、その先進の技術・ノウハウをぜひ活用したいと考えたのがパートナー選定の決め手です」(陳氏)

統正開發がアズビルを選定したのが2009年10月。その後、アズビルが提案していた2つの施策を、3年間のギャランティード・セイビングス契約によるESCO事業※1として展開することになりました。その具体的な施策としては、まずBEMS※2としてアズビルの建物管理システムsavic-net™FXを導入し、夢時代ショッピングモールの施設内にある計102台の空調機(一般空調機76台、電気室・機械室空調機26台)の間欠運転を実施するというのが1つ。そして、もう1つが、駐車場と統正開發の執務エリアに設置された2232組の照明器具を、安定器を備えた高効率なものに置き換えるというものです。

「そのほかにもアズビルからは、冷却水ポンプへのインバータ導入による変流量制御の導入などの施策が提案されていましたが、営業しながら工事を行うことで、テナントや施設に影響を与えてしまうという懸念があり、今回はBEMSによる空調機の間欠運転と高効率照明への更新という2つの提案を採用することにしました」(王氏)

安定器を備えた高効率器具に更新された駐車場の照明。
写真2

安定器を備えた高効率器具に更新された駐車場の照明。

導入後1年間の運用において、目標値に対し117%の省エネを達成

実施対象となった2つの施策についての工事は2010年6月に完了。稼働後1年を経て、夢時代ショッピングモールには確実にその成果がもたらされています。具体的には、ESCOサービスにおける契約上の目標額である年間240万台湾ドルの削減に対し、2010年7月~2011年6月の実績として、空調機の間欠運転、照明、合わせて280万台湾ドルの削減となり、達成率にして117%を実現することができました。

「導入した設備も極めて安定的に稼働していることに加え、常に積極的な姿勢でサポートに当たってくれる現地のアズビル台湾の皆さんの対応にも非常に満足しています」(王氏)

統正開發では、今後も今回導入したシステム、設備の運用についてのチューニングを継続的に行いながら、夢時代ショッピングモールの施設においてさらなる省エネ活動を推進していく構えです。さらに、ここで培ったノウハウをほかの施設にも横展開していきたいとしています。

「2011年12月には、台湾の主要都市の1つである台南市においても、新たなショッピングモールの建設が始まっています。この新施設では、高雄市の夢時代ショッピングモールでは採用できなかった、アズビルからのほかの省エネ提案についても積極的に検討していきたいと考えています」(陳氏)

「グローバル規模で省エネルギーに対する要請が高まっていますが、日本などと比べても電気代や水道代などが非常に安価だという事情もあって、台湾ではあまり省エネ活動が進んでいません。企業や国民のさらなる啓蒙が必要で、夢時代ショッピングモールでの施策が1つの模範になればとも考えています。アズビルには、今後も積極的な提案によって、我々の取組みをしっかりと支えていってもらいたいと思います」(張氏)

用語解説

※1 ESCO(Energy Service COmpany)事業

工場やビルの省エネルギーに関する包括的なサービスの提供を通じて、そこで得られる効果をサービス提供者が保証する事業。資金の担保などを顧客が提供し、顧客が一切の償還義務を負う「ギャランティード・セイビングス契約」と、ESCO事業者が一切の資金提供を行い、顧客が償還義務を負わない「シェアード・セイビングス契約」という2つの契約形態がある。

※2 BEMS(Building and Energy Management System)

ビル、工場、地域冷暖房といったエネルギー設備全体の省エネルギー監視・制御を自動化し、建物全体のエネルギーを最小化するためのシステム。

お客さま紹介

統正開發股份有限公司 社長 張 國光氏
統正開發股份有限公司
社長
張 國光氏
統正開發股份有限公司 資産管理部 部長 陳 俊璋氏
統正開發股份有限公司
資産管理部
部長
陳 俊璋氏
統正開發股份有限公司 資産管理部 機電管理チーム リーダー 王 毓麟氏
統正開發股份有限公司
資産管理部
機電管理チーム
リーダー
王 毓麟氏

夢時代ショッピングモール

統正開發股份有限公司

統正開發股份有限公司

  • 所在地/80661高雄市前鎮區中華五路789號
  • 営業開始/2007年3月30日
  • 事業内容/夢時代ショッピングモールの施設管理および運営

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2012年04月号に掲載されたものです。

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