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国立交通大学 光復校

建物全体を見た総合的なソリューションを導入し、台湾における省エネモデルキャンパスとして注目

台湾を代表する総合大学として広く知られる国立交通大学では、2008年8月に政府が発表した、公的機関に対する省エネ関連施策への対応の一環として、図書館棟の空調設備における省エネ工事をESCO事業として実施。既存設備の改修と自動制御や運用の見直しにより、目標を大幅に上回る省エネ率を達成しました。その取組みは、まさに台湾における省エネ施策の今後の指針になり得るものとして評価されています。

国立交通大学 光復校

国立交通大学 光復校

建物分野 学校 省エネルギー 海外 中央監視システム バルブ(電動弁)・操作器 建物のエネルギーマネジメント

導入製品・サービス

建物管理システム savic-net FX

Energy Data Server(EDS)

政府発表の義務付けに対応するには、より高度な省エネ対策が必要

台湾北西部の中核都市、新竹(シンチュウ)市にメインキャンパスを置く国立交通大学は、台湾を代表する総合大学として、1958年の設立以来、台湾の政治・経済を支える数多くの優秀な人材を輩出してきました。現在、11学部に14,600人を超える学生・大学院生が在籍しており、台湾における教育・学術研究の拠点として重要な役割を担っています。特に工学・情報工学分野では世界的にもトップクラスの研究成果・論文を生み出しており、台湾のエレクトロニクス産業の発展にも多大な貢献を果たしてきました。

近年の世界的なCO2排出量削減の流れを受けて、台湾では省CO2の実現を政策上の重点テーマに据えており、それに向けた施策を強力に推進しています。2008年8月には民間に対して1つの範を示すべく、公立大学・学校を含む公的機関に対して省エネ対策の実行を義務付ける発表をしました。その内容は、2009~2015年の7年間に2007年度比7%のエネルギー使用量削減を求めるものでした。

この発表前の2007年から国立交通大学 光復校ではヒートポンプの導入や、校舎の照明のLED化と高効率タイプの導入、あるいは通路やトイレなどに照明人感センサを取り入れるといった取組みを中心に省エネルギーを進めてきました。

「省エネ対策実行の義務付けに加え、台湾では電力の価格が上がり始めています。これらの状況に対応するには、さらに高いレベルでの省エネ施策の立案と実行が不可欠でした。そこで当大学では、特にエネルギー消費の大きい空調設備での省エネ対策実施を決め、その手始めとして大学のシンボルでもあり、使用時間の長い図書館棟の設備から着手することにしました」(楊氏)

2012年7月26日に国立交通大学において、中華民國能源技術服務商業同業公會(略称:ESCO公會)およびアズビル台湾の共催により開催されたESCO成功事例セミナーの模様。あいさつに立ったESCO公會 理事長 陳 輝俊氏(写真左)は「台湾でのESCO事業の省エネパフォーマンスの計算は国際標準IPMVPに基づき推進しています。ESCO公會としても、国に対して事業の助成にかかわる法整備などに向けた進言を積極的に行うとともに、アズビルの省エネルギーに関するノウハウの協力も得ながら、こうした啓蒙の場もどんどん設けていきたいと考えています」と語りました。

2012年7月26日に国立交通大学において、中華民國能源技術服務商業同業公會(略称:ESCO公會)およびアズビル台湾の共催により開催されたESCO成功事例セミナーの模様。あいさつに立ったESCO公會 理事長 陳 輝俊氏(写真左)は「台湾でのESCO事業の省エネパフォーマンスの計算は国際標準IPMVPに基づき推進しています。ESCO公會としても、国に対して事業の助成にかかわる法整備などに向けた進言を積極的に行うとともに、アズビルの省エネルギーに関するノウハウの協力も得ながら、こうした啓蒙の場もどんどん設けていきたいと考えています」と語りました。

高い省エネ率の実現に向け、日本の制御技術ノウハウを活用

国立交通大学では、同大学の省エネルギーに関するコンサルティングに当たっていた廣知(グアンツー)工程科技股有限公司の支援を受け、図書館棟の空調設備改修に関する要件をまとめました。

その要件を基に施策実施のパートナーを選定するため、具体的な省エネ施策の内容の提案に加え、一般競争入札を2010年12月に実施。その結果、現地の施工会社である堃霖(クンリン)冷凍機械股有限公司と連携して入札に参加したアズビル株式会社の台湾現地法人であるアズビル台湾株式会社がESCO事業※1として受注しました。

「その提案内容は、我々がこれまでに取り組んできた施策とは別の面に着目し、自動制御や運用にかかわる省エネメニューで31%のエネルギー使用量削減が見込まれるものでした。省エネ試算の分析も妥当かつ合理的なもので、その内容を大きく評価しました」(楊氏)

「アズビルが日本の省エネ市場で大きなシェアを持っていることもよく知っていました。そうした点でも、アズビル台湾には大きな信頼感がありました」(呉氏)

2011年1月から工事に着手。まず、空調用熱源設備の高効率化と省エネルギーの実現を目的に、バルブで流量を計測しながら制御を行うことができるアズビルの流量計測制御機能付電動二方弁 ACTIVAL™を導入しました。これにより、負荷側の要求量に応じた流量制御がバルブ本体で可能となりました。また、空調用の冷水配管システムを徹底的に見直すことで搬送ポンプの台数を減らし、インバータを導入。冷水の供給を最適化し、ムダな動力を削減する仕組みを実現しました。加えて、建物管理システム savic-net™FXとエネルギーデータサーバ(EDS)がエネルギーの消費動向を可視化。評価・分析することで、さらなる省エネ活動につなげる体制が整い、機器単体の交換による省エネ化という視点ではなく熱源全体、建物全体を見た総合的なソリューションを実現しました。

「図書館は授業が休みの日にも開館していて、夜遅くまで常に利用者がいる状態です。いかに利用者の快適性に影響を与えることなく工事を行うかは重要なテーマでした。アズビルは、日本式の厳密な工程管理によって、我々の要請に応えてくれました」(高氏)

図書館棟の地下1階にある監視室に設置されたsavic-net FX(右)とEDS(左)。今回導入した空調設備の運転に関する監視・制御、およびエネルギー利用動向の確認が行えるようになっている。

図書館棟の地下1階にある監視室に設置されたsavic-net FX(右)とEDS(左)。今回導入した空調設備の運転に関する監視・制御、およびエネルギー利用動向の確認が行えるようになっている。

空調機の冷水コイル配管に導入された流量計測制御機能付電動二方弁ACTIVAL。制御弁、流量計、圧力計、温度計の4つの機能をオールインワンで持っているため、流量計測制御機能を実現する際に大きなコストダウンが可能。

空調機の冷水コイル配管に導入された流量計測制御機能付電動二方弁ACTIVAL。制御弁、流量計、圧力計、温度計の4つの機能をオールインワンで持っているため、流量計測制御機能を実現する際に大きなコストダウンが可能。

大幅なエネルギー削減を実現。台湾における省エネ牽引役として期待

空調の省エネ改修工事は、2011年5月に完了。6月から新設備による運用を開始し、非常に大きな成果が上がっています。

「システム稼働後、当初、設定した目標値31%をはるかに上回る53%という大幅なエネルギー削減を実現できました」(楊氏)

「savic-net FXのグラフィカルな画面により、設備の監視・制御もこれまでよりはるかに使いやすくなりました。さらに、EDSに記録された情報を活用することで、監視員がいない夜間などに発生した問題の究明が容易に行えるようになるなど、今回導入したシステムは省エネ以外でも大きな威力を発揮しています」(高氏)

今後、国立交通大学では、空調設備にかかわる省エネ施策を、図書館棟以外の建物にも展開していきます。

「savic-net FXやEDSを利用して重要な設備運用データを収集・管理し、将来に向けて省エネ効果のある方法を検討していく予定です。既に、同じ光復キャンパス内にある2つの講義棟についての省エネ工事実施も確定しています。さらに、本キャンパス以外でも同様の取組みを進めていくことになっており、今後ますますアズビルに支援をお願いするケースが増えてくると思います」(楊氏)

「これまでの台湾での一般的な省エネ施策のあり方は、現行の設備を単純に高効率な最新機器に置き換えるのが主流でした。今回、アズビルとともに実施した施策は、既設の機器を改修しながら、適切な制御を行うことで省エネルギーを実現していくという方法でした。それはまさに今日のグローバルなトレンドにも合致しており、今後、我々が実施していくべき省エネ施策の指針となり得るものだと考えます。そうした意味で、台湾における省エネルギーの牽引(けんいん)役として、アズビルに対する期待は大いに高まっています」(呉氏)

用語解説

※1 ESCO(Energy Service COmpany)事業

工場やビルの省エネルギーに関する包括的なサービスの提供を通じて、そこで得られる効果をサービス提供者が保証する事業。日本国内では、資金の担保などを顧客が提供し、顧客が一切の償還義務を負う「ギャランティード・セイビングス契約」と、ESCO事業者が一切の資金提供を行い、顧客が償還義務を負わない「シェアード・セイビングス契約」という2つの契約形態がある。

 

お客さま紹介

国立交通大学 総務処営繕組 組長 楊 黎熙氏
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総務処営繕組
組長
楊 黎熙氏
国立交通大学 図書館勤務組 高 孝華氏
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図書館勤務組
高 孝華氏
廣知工程科技股份有限公司 董事長 兼 総経理 冷凍空調技師 呉 滄榮氏
廣知工程科技股份有限公司
董事長 兼 総経理
冷凍空調技師
呉 滄榮氏

国立交通大学 光復校

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  • 所在地/台湾 新竹市30010大学路1001
  • 設立/1958年
  • 大学概要/電気工学部、情報工学部など11学部(大学院研究科含む)
  • 図書館棟規模 地上8階、地下1階
  • 図書館棟延床面積/32,000m²

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2012 Vol.9(2012年12月発行)に掲載されたものです。

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