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コニカミノルタ株式会社 東京サイト八王子

最新鋭の研究開発施設にBEMSを導入、きめ細かいエネルギー管理により省エネルギーを加速

プリンタや産業材料、医療機器など多彩な領域でビジネスを展開するコニカミノルタ。同社では、その研究開発の中核拠点である東京サイト八王子に新たに建設した新棟にBEMSを導入。よりきめ細かいエネルギー消費状況を把握することで、空調などの設備の運用改善を軸とした省エネルギーを推進し、効果を上げています。

建物分野 オフィスビル 研究所 省エネルギー 中央監視システム 建物のエネルギーマネジメント

導入製品・サービス

建物管理システム savic-net FX2

建物管理システム savic-net FX2

研究開発を担う新棟建設に際し、BEMS導入による省エネルギーを推進

建物のシンボルマークとしてコニカミノルタで作成したロゴマーク

建物のシンボルマークとしてコニカミノルタで作成したロゴマーク

1873年創業のコニカ株式会社と1928年創業のミノルタ株式会社。共に長い歴史を持つ両社が2003年8月に経営統合し、コニカミノルタ株式会社が誕生しました。「光学」「微細加工」「画像」「材料」という四つの技術を核に、プリンタから産業材料、医療機器、プラネタリウムに至るまで、多彩な領域でビジネスを展開しています。近年では、印刷関連などの領域で行政機関との連携も視野に入れた産学連携に注力し、大学との研究開発プロジェクトを通じて、新たなビジネス創出の取組みを加速させています。

コニカミノルタの東京サイト八王子は、同社の研究開発活動の中核を担う重要拠点です。2014年4月には、同サイトの敷地内に地上7階、延床面積約4万m²の研究開発新棟「コニカミノルタ八王子SKT」(以下、SKT)が竣工。そこには、デジタル印刷システムの設計・試作・評価といった開発機能が集約されているほか、行政・大学・研究機関、他の企業との連携により、オープンイノベーションを推進するスペースも整備され、新たな価値創造の場として期待されています。また、SKTは最新鋭の施設として、環境への配慮も十分になされた設計が施されており、国土交通省が主導する建物の環境性能評価「CASBEE※1」で最高のSクラスを取得しています。

「屋上の太陽光発電パネルや自然光・昼光センサによる照明消費電力の削減に加え、自然換気や井水利用なども取り入れながら、継続的に環境負荷を減らしていく設備を整えています。働く人に対しても地球環境にもやさしい施設を目指しました」(玉井氏)

このSKTは施設自体の環境性能に加え、BEMS※2を導入してきめ細かいエネルギー管理を行い、省エネルギーを推進することが建設計画の段階で決定していました。

「八王子サイトの既存の建物では、電力メーターなどから得られる積算情報を人手で収集・集計するという従来のやり方で記録を行っていました。しかし、SKTはこれまでの各棟に比べてはるかに規模が大きく、人力では対応しきれないと考えました。国の『省エネ法』※3や東京都が『環境確保条例』※4で定める温室効果ガス排出総量削減義務を遵守する上でも、BEMSによるエネルギーの“見える化”が必須であると判断しました」(小林氏)

自然光をふんだんに取り込み、省エネルギーや環境に配慮した建物設計となっている。
自然光をふんだんに取り込み、省エネルギーや環境に配慮した建物設計となっている。

自然光をふんだんに取り込み、省エネルギーや環境に配慮した建物設計となっている。

人手の作業では見いだせなかった様々な“気づき”が得られる

SKT内の中央監視室に設置されたsavic-net FX2。棟内のすべてのエリアのエネルギー使用状況を記録、蓄積し、可視化している。SKTにエネルギーを供給している動力棟に設置しているモニタからも、中央監視室に設置されたモニタと同様の内容を見ることができる。これにより設備を操作しながら、その状況を現場で確認することができるようになっている。

SKT内の中央監視室に設置されたsavic-net FX2。棟内のすべてのエリアのエネルギー使用状況を記録、蓄積し、可視化している。SKTにエネルギーを供給している動力棟に設置しているモニタからも、中央監視室に設置されたモニタと同様の内容を見ることができる。これにより設備を操作しながら、その状況を現場で確認することができるようになっている。

BEMSの導入を検討していたコニカミノルタが、最終的に採用したのは建物管理システム savic-net™FX2を中核とするアズビル株式会社の提案でした。

「実際にアズビルの藤沢テクノセンターを訪れ、デモや運用状況などを見せてもらい、その使いやすさや信頼性の高さを目の当たりにしました。また、サイト内の既存の建物では以前からアズビルの中央監視システムを利用しており、製品、サポート両面における実績なども加味した結果、アズビルを採用することになりました」(小林氏)

SKTの建設に並行して、空調制御の施工を担当した日本電技株式会社とともにBEMS導入作業が進められ、建物の竣工に合わせてシステムが稼働を開始しました。

BEMSが蓄積した空調などの運転情報を基に建物のエネルギー消費を可視化し、課題を抽出。その解決策を講じていくといった運用サイクルも、稼働後1年半を経て定着しました。

BEMSは、施設内のどこで、どれだけのエネルギーが使われているかを詳細に可視化します。そのため、人手による作業では見いだせなかった様々な“気づき”が得られ、課題の発見や、それに向けた対策の立案もスムーズになりました」(吉田氏)

「空調の運転時間やフロアごとの設定温度の調整といった運用面での改善も、アズビルと日本電技のアドバイスを基に進めており、確実に成果が上がりつつあります。今後、改善施策を実践する際には、居室・現場側での空調温度設定の自由度を制限するなど、従業員の協力が不可欠になると思います。BEMSによって可視化された客観的な消費エネルギー量のデータを示せば、より説得力を持って現場に協力要請を行えるでしょう」(藤田氏)

また、サイト全体の電力使用料金は、各部署が分担して負担していますが、コスト配賦にもBEMSのメリットが生かされています。

「これまでは、建物ごとの電力使用量のデータを集め、それを基に各部署の負担分を算出して電力コストを配賦していました。BEMSを導入したSKTでは、建物のエリアごとに細かな単位で電力使用量を把握できるため、スムーズかつ公正に負担額を決められるようになりました」(越村氏)

サイト内のほかの建物や他拠点に横展開できるノウハウ構築を目指す

空調設備機器の運用改善などから省エネ活動を行っている。空調の設定温度の見直し、CO2濃度設定緩和、夜間休日停止などを実施し、空調動力の電力量が改善活動後で40.4%の削減となった。

空調設備機器の運用改善などから省エネ活動を行っている。空調の設定温度の見直し、CO2濃度設定緩和、夜間休日停止などを実施し、空調動力の電力量が改善活動後で40.4%の削減となった。

SKTでの取組みは、今後コニカミノルタが推進する、BEMSを活用したエネルギー管理のモデルケースとして位置付けられています。SKTにおける運用で蓄積されたノウハウを東京サイト八王子内の別の建物に、さらには全国のほかのサイトへと横展開していきたいと考えています。

「そうした意味では、会社としての取組みはまだまだスタート地点に就いたばかり。これからBEMSを最大限に活用し、このSKTにおいて省エネルギーの成果を確実に上げていくことが、我々に課された重要なミッションです。それには、アズビルならびに日本電技という省エネ領域のプロの支援が必須であり、両社にはこれからも我々の取組みをしっかりと支えてくれることを大いに期待しています」(小林氏)

※savic-net、savic-net FXは、アズビル株式会社の商標です。

用語解説

※1 CASBEE(Comprehensive Assessment System for Built Environment Efficiency)

建築環境総合性能評価システム。建築物の環境性能で評価し格付けする手法。省エネルギーや環境負荷の少ない資材や機材の使用といった環境配慮はもとより、室内の快適性や景観への配慮なども含めた建物の品質を総合的に評価するシステム。

※2 BEMS(Building Energy Management System)

ビル、工場、地域冷暖房といったエネルギー設備全体の省エネルギー監視・制御を自動化し、建物全体のエネルギーを最小化するためのシステム。

※3 省エネ法

「エネルギーの使用の合理化に関する法律」。工場や事業所が使用するエネルギー量によって「第一種エネルギー管理指定工場等」(年間使用量が原油換算値で3,000kl以上)、「第二種エネルギー管理指定工場等」(同1,500kl以上3,000kl未満)をそれぞれ指定し、エネルギー使用状況届出書、中長期計画書、定期報告書といった法定書類の提出やエネルギー管理統括者等の選任を求めている。

※4 環境確保条例

東京都が制定している環境・公害関連条例。正式名称は「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」で、都民の安全な生活環境の確保を図ることを主な目的に、工場公害関連の規制に加え、化学物質の適正管理、建築物の環境負荷低減、自動車公害対策などに関する規制が盛り込まれている。

お客さま紹介

コニカミノルタ
株式会社
総務部
ファシリティグループ
FM企画グループ
拠点戦略、
地域連携担当
玉井 英輔 氏
コニカミノルタ
ビジネスアソシエイツ
株式会社
ファシリティ統括部
FM管理部
エネルギー・
資産管理グループ
エネルギー管理グループ
小林 雄一 氏
コニカミノルタ
ビジネスアソシエイツ
株式会社
ファシリティ統括部
FM管理部
エネルギー・
資産管理グループ
エネルギー管理グループ
越村 佳子 氏

コニカミノルタ
ビジネスアソシエイツ
株式会社
エリアサポート統括部
関東エリアサポート部
関東施設グループ
八王子施設
グループリーダー
吉田 忠亮 氏
コニカミノルタ
ビジネスアソシエイツ
株式会社
エリアサポート統括部
関東エリアサポート部
関東施設グループ
藤田 大輔 氏

コニカミノルタ株式会社 東京サイト八王子

コニカミノルタ株式会社 東京サイト八王子

  • 所在地/東京都八王子市石川町2970
  • 開設/1963年
  • 事業内容/プリンタ、産業用印刷機といった情報機器などの研究開発および製造。

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2016 Vol.2(2016年04月発行)に掲載されたものです。

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