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明治安田生命保険相互会社

営業用ビル520棟の電力使用状況を一元管理、環境保全に貢献

明治安田生命は環境保全の領域で積極的な取組みを行う中で、自社が保有しているビルのうち、営業用ビル520棟の電力使用に関するデータを可視化・一元管理するアズビルのエネルギー管理支援サービスを導入。社会的な電力需要削減要求に対応可能な基盤を整えました。

建物分野 オフィスビル エネルギーマネジメント クラウド・IoT・AI ビル向けクラウドサービス

導入製品・サービス

BEMSアグリゲータ

電力需要削減の社会的要請を受け、各ビルのデータ集約に課題

明治安田生命保険相互会社は、2004年1月に、生命保険会社としてともに長い歴史を誇る明治生命保険相互会社と安田生命保険相互会社が合併して誕生しました。合併後も、高品質な生命保険商品の提供を通じて、契約者に確かな安心を届け続けています。同社が事業活動において特に大切にしているのが、お客さまや社会との「絆」。その一環として、地球温暖化対策をはじめとする環境保全の領域にも積極的に取り組んでいます。

特に2011年の東日本大震災以降、電力需要削減にかかわる社会的な要請の高まりを契機として、全国に保有しているビルの中で自社が拠点を構えている520棟のビル(営業用ビル)に対して入居者への啓発や設備面での省エネルギーの取組みを継続して行っています。

「2011年当時、政府から電力需要削減の明確な数値目標が提示されました。膨大な数の自社ビルにおける電力使用量のタイムリーな実態把握が十分ではなかったため、電力削減施策の検討には大変苦慮しました」(秋元氏)

同社では当初、建物内のエネルギーを集中管理するシステムであるBEMS*1を大規模ビルに導入していましたが、保有するビルの6~7割を占める中小規模のビルすべてには導入していませんでした。そのため、電力使用量を把握するためには人が実際に現地に赴いてメーターを読み、記録し、使用状況を管理していくという作業も必要でした。これら一連の作業負荷は大きく、520棟のビルすべてに対して作業を継続することは非常に厳しい状況でした。

統合アグリゲータを活用し、全社の電力使用量を可視化

同社はこうした課題を解消するため、中小規模のビルへ順次BEMSを導入。2015年3月末に全営業用ビルへの導入が完了しました。BEMSの導入により、ビル単位での電力使用量を自動で把握できるようになりました。

次に取り組んだのは、電力使用量の全社一元管理の仕組みづくりです。電力需要削減の目標値を達成するためには明治安田生命の本社施設管理部署が、全社規模で電力使用量をタイムリーに把握・解析し、企業全体として適切な対策を検討することが必要でした。そこで、検討を始めたのが「アグリゲータ*2」と呼ばれるエネルギー管理支援サービスを提供する事業者の活用です。2013年、同社は、経済産業省がBEMSアグリゲータとして認定した企業などの中からアズビル株式会社を採用しました。

「当社の各ビルはいくつかのメーカーのBEMSを導入していますが、大規模ビルの多くはアズビルのBEMSを採用していました。そのため、ビル単位で収集・管理しているBEMSデータを全社一括で統合・管理する取りまとめ役の『統合アグリゲータ』としてアズビルを選定しました」(秋元氏)

まず、各ビルのBEMSで管理されている電力使用量のデータをBEMSメーカー単位で集約します。集約された各ビルの情報は、それらを全社一元管理することのできるアズビルのアグリゲーションセンターに蓄積・管理されます。アズビルのセンターで一元管理することで、BEMSメーカーが違っていても明治安田生命全体や各ビルの電力使用状況をいつでも、どこからでもパソコンやタブレットなどを利用して簡単に確認することができます。その上、同一フォーマットでデータをダウンロードできるので節電に関する分析を効率的に進めることができます。

「本社に居ながら、全国520棟の電力使用状況を把握できます。また、支社といったくくりでその配下にある拠点の情報をまとめて閲覧したり、任意の切り口で各ビルの比較を行うこともでき、電力使用状況の分析に役立っています」(秋元氏)

タブレットなどを利用して、いつでも、どこからでも、全国のビルの電力使用状況を確認することができる。電力使用量の上限を超えそうなビルに対しては、即時対策を講じることができる。

タブレットなどを利用して、いつでも、どこからでも、全国のビルの電力使用状況を確認することができる。電力使用量の上限を超えそうなビルに対しては、即時対策を講じることができる。

アズビルのアグリゲーションセンターにアクセスするとビル単位での電力使用量をグラフで確認することができる。電力デマンドの上限値をビルごとに設定し、グラフ上に赤いラインで示している。

アズビルのアグリゲーションセンターにアクセスするとビル単位での電力使用量をグラフで確認することができる。電力デマンドの上限値をビルごとに設定し、グラフ上に赤いラインで示している。

根拠のあるデータをユーザーに提示、全社横断的な取組みを推進

明治安田生命では、アグリゲーションセンターの利用開始から1年間は520棟のデータを収集、そして、使用状況の可視化を図ることに専念しました。現在は収集したデータをベースに、省エネルギーに向けた具体的な施策を展開しています。

その手始めとして、すべての営業用ビルにおける電力デマンド*3に対して根拠のある上限値を設定しました。各ビルの過去1年間における電力デマンドの頻度分布を分析することで、実現可能と考えられる最大デマンドの目標を抽出しました。さらに個々のビルにおけるテナントの入居状況や業態など、そのビルならではの細かな特性を加味しながら一つひとつのビルに対して、電力デマンドの上限値を設定しました。

「ビルの入居者は、アグリゲーションセンターが提供する自分たちが入居しているビルの電力使用状況を示すグラフ画面などを、ウェブブラウザ上から確認することができます。電力使用状況のグラフには、ビルごとに設定した上限値が赤いラインで表示されます。根拠のあるデータを現場側に示すことで、理解も進み、納得した上で協力が得られていると思います。また、各ビルの管理担当者が削減目標をクリアできているという達成感を持ってもらえる意味でも、アズビルのサービスを導入し、すべての営業用ビルを可視化したメリットは大きいと感じています」(秋元氏)

さらに2015年度からは、経済産業省の「ネガワット取引*4に係るエネルギーマネジメントシステム構築と実証」事業にアズビルがアグリゲータとして参画しています。本事業では、電力会社からの緊急的な電力需要削減要求に対して、BEMSを活用して即時に確実な節電電力量を創出可能であることを実証しました。

今後も同社では、可視化されたデータを様々な角度から検証し、全社横断的な取組みにつなげる方針です。

「社会的な電力需要削減の要請に確実に応えていく基盤がようやく整いました。アズビルのアグリゲーションセンターが提供するエネルギー管理支援サービスは、当社ビルにおける電力使用状況の管理および使用量抑制にかかわる利用改善・省エネ改修への取組みに明確な指針を示してくれるものと大いに期待しています」(秋元氏)

明治安田生命におけるエネルギー管理支援サービス構成

用語解説

※1 BEMS(Building Energy Management System)

ビル、工場、地域冷暖房といったエネルギー設備全体の省エネルギー監視・制御を自動化し、建物全体の使用エネルギーを最小化するためのシステム。

※2 アグリゲータ

電力の需要・供給に関するあらゆる情報を集め、電力需要の安定化に努める事業者の総称。

※3 電力デマンド

高圧・特別高圧で電気を受けるビル・工場において、電力会社との取引に使われる値(デマンド値)。30分間における平均使用電力(稼働負荷の平均容量)。

※4 ネガワット取引

アグリゲータと連携したシステムを構築し、一般電気事業者からの依頼に応じて節電を実施する。節電した場合にはその対価を得る仕組み。

お客さま紹介

明治安田ビルマネジメント株式会社
ビル管理部
スタッフ
秋元 俊一 氏

明治安田生命保険相互会社

明治安田生命保険相互会社

  • 所在地/東京都千代田区丸の内2-1-1
  • 創業/1881年7月9日
  • 事業内容/各種生命保険の引受け・保全、資産の運用などの生命保険業および付随業務など

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2016 Vol.6(2016年12月発行)に掲載されたものです。

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