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シチズン電子株式会社

生産量が増大し続けている工場で、生産を止めずに設備更新を行い省エネルギーを実現

シチズン電子では、老朽化した設備の更新に加え、生産量に合わせて増大する使用エネルギーに対する省エネ対策が大きな課題となっていました。生産を止めることなく機器をリプレースし、長年にわたる設備拡張の中で複雑化してしまった配管を整理するなどの施策を実施し、安定稼働の実現と省エネルギーの目標を達成しました。

建物分野 その他(市場・産業) 省エネルギー

導入製品・サービス

コンプレッサ台数制御

生産活動が急速に拡大する中で、省エネルギーが切実なテーマに

三つあるコンプレッサ室の一つ。コンプレッサの設置位置や複雑化していた配管を見直し、レシーバータンクを含めて再設計を行った。

三つあるコンプレッサ室の一つ。コンプレッサの設置位置や複雑化していた配管を見直し、レシーバータンクを含めて再設計を行った。

シチズン時計株式会社の子会社として電子デバイス事業を展開するシチズン電子株式会社。1970年に音叉(おんさ)時計*1を作る会社、株式会社ブローバ・シチズンとして創業した同社は、1977年に現社名に変更し、時計開発にかかわる精密加工技術や精密パッケージング技術を駆使したLEDやスイッチ、ブザーといったデバイス製品を市場に供給してきました。特にLEDの領域では、1983年に世界初の表面実装タイプとなるチップLEDランプを開発したことでも知られ、現在では携帯電話などに使われているタクティルスイッチや大光量の照明用LEDのほか、スマートフォンのバックライトに採用されている小型・薄型の白色LEDなど、我々が日常目にする多種多様な製品に同社のデバイスが採用されています。

時代とともにますます市場ニーズが高まる製品を提供する同社では、生産活動が急速に拡大する中で、環境保全に向けた取組み、特に省エネルギーをいかに実現していくかが、重要なテーマとして浮上してきました。

同社では、1990年にISO 14001*2の認証を取得し、環境マネジメントの取組みを常に企業経営と一体化させて展開するとともに、省エネ法*3上の第一種エネルギー管理指定工場として、同法の要件を満たす取組みなども継続して行っています。生産設備の稼働状況に応じてこまめに電源をオン/オフするなどの活動を社内に周知徹底してきましたが、省エネ観点での抜本的な施策には着手できていませんでした。

「当社においては、生産品の供給を決して滞らせないことが大命題です。生産に必要なコンプレッサなどの設備が老朽化し、エネルギー効率上の課題を抱えていることは分かっていても、自社で更新しようと思うと生産ラインを止めるという発想しかありませんでした。24時間365日の操業をある一定期間、停止するリスクを考えると、生産設備に手を加えるという決断には、なかなか踏み切ることができない状況でした」(郷田氏)

「2012年秋に商工会議所で行われた省エネ説明会に参加し、省エネ診断を受けたところ、生産設備の老朽化による非効率性が指摘されました。生産継続と省エネルギーという相反する課題が当社に重くのしかかっていました」(渡辺氏)

高効率機への置き換えにとどまらない、きめ細かな提案内容が決め手

工場屋上に置かれた空冷ヒートポンプチラー。今回の施策で最新の高効率機にリプレースされた。

工場屋上に置かれた空冷ヒートポンプチラー。今回の施策で最新の高効率機にリプレースされた。

シチズン電子では、この状況を打開するべく、省エネ施策の立案や実施を支援するいくつかの事業者に相談しました。

「他社の提案では、生産を一時停止させて機器を更新する一般的なものだったのに対して、アズビルは、生産を止めることなく機器をリプレースするための方法にまで踏み込み、さらには長年にわたる設備拡張の中で複雑化してしまった配管の整理など、安定稼働に向けたきめ細かな提案内容でした」(渡辺氏)

「また、施策に適合する国庫補助事業の一つであるエネルギー使用合理化等事業者支援事業も紹介していただきました。もともと当社では、アズビル製のバルブやセンサなどを現場で採用しており、計測と制御の技術においては十分な信頼を感じていたこともあり、最終的に省エネ施策をアズビルに委ねることを決断しました」(瀧口氏)

シチズン電子では2014年5月にアズビルの提案を正式に採用。2014年7月に国庫補助事業の申請を行い、同年9月に採択されました。

今回の取組みではまず、これまで工場内の3カ所で計14台が稼働していたコンプレッサについて、老朽化していたオイル式から高効率オイルフリー式へと更新。一部にインバータ機と台数制御を導入することで、従来に比べて無駄な稼働を抑え、より電力削減効果が出る形としました。

また、コンプレッサ用の冷却水や工場空調に用いられる空冷ヒートポンプチラーも同様に老朽化が進んでいたため、高効率機へ置き換えました。そのほか、空調に利用されている貫流ボイラや、工場・オフィスで利用している地下水をくみ上げるための井水給水ポンプについてもリニューアルを実施しました。

「アズビルの提案によって、コンプレッサ更新の際は一時的にレンタル機を代替として稼働させるなど、いずれの工事においても生産に影響を与えないための細心の工夫を行い、生産に影響を及ぼすことは一切ありませんでした」(渡辺氏)

(運転状況)

(運転状況)

(エア圧力制御トレンド)

(エア圧力制御トレンド)

コンプレッサ台数制御操作パネル。各コンプレッサの稼働状況やエア圧力の制御状況を確認することができる。二つのコンプレッサ室にある計6台の機器を集中制御しており、トレンドグラフからは極めて安定して稼働していることが読み取れる。

生産量が増大する中でも目標のエネルギー削減を実現

省エネ施策の実施により、当初、想定していた効果を超える結果を達成しました。

「国庫補助事業申請時には、2012年度比で原油換算値344kl削減を目標として掲げました。申請後から生産が大きく拡大したため、2015年度の施策実施後、生産量による補正を行った結果、原油換算値547klの削減となりました」(郷田氏)

今後もシチズン電子では、今回の省エネルギーにかかわるノウハウをほかの製造拠点に横展開していく予定です。

「本社と同じ富士吉田市にあるシチズン電子タイメル株式会社、福島県田村市にあるシチズン電子船引株式会社といったグループ内の製造会社はもちろん、当社が中国に置いている製造拠点への展開も目指したいと考えています。海外においては現地の事情に対する知見も必要になると思われますので、これについてもアズビルのアドバイスを期待しています」(瀧口氏)

「当社のLEDやスイッチといったデバイス製品に対する市場の需要は、今後もさらに高まると予測しており、それに合わせて生産拠点を増やしていきます。その際には、省エネルギーを念頭に置いた生産設備の導入、運用について、アズビルにはパートナーとして当社の取組みをしっかりと支えてもらいたいと考えています」(郷田氏)

用語解説

※1 音叉時計

音楽や音響測定の周波数標準に用いられる音叉。時計の機械内部に小さい音叉が埋め込まれており、その360Hzの振動を拾って動作する。機械式からクオーツ式への転換期に生まれた時計で、機械式と比べて精度が10倍向上した画期的なものであった。

※2 ISO 14001

国際標準化機構(ISO)が定める環境マネジメントシステムに関する国際規格の総称。組織の活動・製品およびサービスによって生じる環境への影響を持続的に改善するためのシステムの構築、継続的改善というPDCAサイクルの実践を要求している。

※3 省エネ法

エネルギーの使用の合理化等に関する法律。工場や事業所が使用するエネルギー量(原油換算)によって「第一種エネルギー管理指定工場等」(年間使用量が原油換算値で3,000kl/年以上)、「第二種エネルギー管理指定工場等」(同1,500kl/年以上3,000kl/年未満)をそれぞれ指定し、エネルギー使用状況届出書、中長期計画書、定期報告書といった法定書類の提出やエネルギー管理統括者等の選任を求めている。

 

お客さま紹介

シチズン電子株式会社<br />代表取締役社長<br />郷田 義弘 氏
シチズン電子株式会社
代表取締役社長
郷田 義弘 氏
 シチズン電子株式会社<br />人事総務部<br />次長<br />瀧口 龍司 氏
シチズン電子株式会社
人事総務部
次長
瀧口 龍司 氏
シチズン電子株式会社<br />人事総務部<br />総務課<br />リーダー<br />渡辺 俊樹 氏
シチズン電子株式会社
人事総務部
総務課
リーダー
渡辺 俊樹 氏

シチズン電子株式会社

シチズン電子株式会社

  • 所在地/山梨県富士吉田市上暮地1-23-1
  • 設立/1970年6月23日
  • 事業内容/電子デバイス、応用製品等の開発、製造、販売

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2017 Vol.2(2017年04月発行)に掲載されたものです。

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