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環境への取組みに対する第三者意見

第三者意見

新 誠一教授とazbilグループ環境責任者

電気通信大学 新 誠一教授から、azbilグループの環境への取組みに対して第三者意見をいただきました。

評価できる点

1.トップダウンによる環境基本方針を定めている点
自社の環境負荷低減と製品供給による他社の環境課題の解決という二本柱を定め、会社としての環境問題取組みを明示している。
2.藤沢テクノセンター(以下:FTC)として省エネ推進を行っていること
FTCは増員されているにも関わらず、エネルギー20%削減を達成していること。
3.環境関連資格の取得を奨励していること
公的資格取得制度による、資格取得支援を実施していること。
4.CSRを意識した環境問題への対処
azbilグループが拠点を置く身近な地域や事業所(神奈川県藤沢市、福島県南会津町、アズビル京都)における自然環境保全活動、地域における清掃活動など、社員参加による環境活動を行っている点。
5.環境報告書の出版
以上の活動を外部に報告書として毎年公表している点。


改善点提案

  1. アドバンスオートメション事業(以下:AA)、ビルディングオートメーション事業(以下:BA)、ライフオートメーション事業(以下:LA)の共通基盤の一つとしての環境問題。
  2. FTCで行った環境対策の形式知化およびその自動化。
  3. 他社を通じた環境問題対処の公表。
  4. 資格取得者の組織化と全社における環境活動への活用。
  5. 環境活動報告書を簡易的なものと検証可能なデータ編を分けて編纂する。後者はWeb経由での提供を考える。


意見

 アズビル(株)の環境の取組みについて、事前にazbil report 2016などの資料提供を受けるとともに環境推進部門長、及びその担当者より2016年8月8日に電気通信大学で説明を受けた。また、9月30日にFTCに出向き、アズビルの環境問題への取組みについて説明を受けるとともに、第100建物、空調実験室、azbilハウスなどを見学した。以下は、その説明および見学に基づく環境問題への取組みへの評価である。

 まず、トップコミットメントによるazbilグループ環境基本方針により、自社における取組みと、自社製品の提供による他社での取組みという形で方向性を明示していることは高く評価できる。前者の自社での取組の具体例として、FTC内の第100建物の省エネ事例を紹介いただいた。夜間の氷蓄熱という技術と不要な照明の消灯などのマネージメントを通じて40%以上の省エネを達成し、FTC全体として自社で定めた20%削減に大きな寄与をしたのは評価できる。また、ここで使われたVAV制御装置の連携(BA)という技術をazbilハウス(LA)に応用して、さらなる快適性、省エネを実現しようという方向性は高く評価する。

 また、公的資格取得制度による、資格取得支援を実施している点も評価できる。さらに、azbilグループが拠点を置く身近な地域や事業所における自然環境保全活動や地域の清掃活動など社員が自発的に環境活動を行っている点も評価できる。これらの活動を年次reportという形でまとめ、公表していることも評価できる。このreportには、環境取組みのもう一つの方針である、商品・ソリューションの提供を通じた社会の環境負荷低減のCO2削減効果見積もりが記されていることも評価する。

このような環境改善活動を行っているが、いくつか改善すべき点もあると感じた。一つは、AA、BA、LAという三分野の連携が不十分に見える点である。先に述べた100建物の技術をazbilハウスに援用するという活動は行っているようだが、工場の自動化と空調、個人宅のスマートメータなどとの連携は、今回の視察を通して見えなかった。これからは、野菜工場など、ビル内に工場を設置する動きや工場内の環境向上などAA、BAの連携を考えなければならない事案が増えてくると予想できる。さらに、三次元プリンターの登場など、工場と家庭の区別も無くなる時代が目前に迫っている。その意味で、AA、BA、LAの連携はアズビルの強みを活かすという意味でも重要と考える。

 もっとも、VAV制御の横展開という形でAA、LAの連携が行われているし、DCS利用などAA、BA共通の部品利用も行われていると推測する。これらの技術連携を底辺にして、環境問題解決という目的を上辺にしてAA、BA、LAの三分野を挟み込むというイメージでのアズビルの発展を見たい。

 さらに、社内の環境改善と製品を通じて客先の環境改善の二つを環境方針として定めているが、この融合も不十分だと感じた。100建物での環境改善では現場の担当者が知恵と労力を絞って45%の省エネを実現した。また、オフィスでは蛍光灯のスイッチの紐を伸ばし、操作しやすくするという工夫で省エネを実現している。これも従業員による知恵出しと協力が不可欠である。

 ここで経験した社内の省エネ技術を暗黙知のままに留めず、マニュアル化、自動化という形で形式知まで進めてほしい。このようにすることで、他社での製品を使った省エネ化にも貢献できると考える。

 また、社員が環境関連の資格を取得することを支援しているが、資格取得者の組織化や活用も行ってほしい。取得者は環境問題に関心が高いだけでなく、知識も豊富である。この人材を環境問題解決にもっと活用すべきである。資格者から環境問題のスタッフ、リーダー、エバンジェリストとステップアップしていくことも支援して欲しい。同時に、このような人材を抱えていることを製品を使っていただける他社の方々にも知っていただく広報は重要だと思う。

 最後にreportであるが、大変まじめに作られている。しかしながら、まじめなだけに分かりやすさに欠けることは否めない。正確なデータを届けたいという姿勢は高く評価できるが、アズビルの環境問題への取組みをビジュアルにインパクトがある形で社内、お客様、地域の方々に伝えていくことも重要である。

 正確で細かいデータはreportという紙形式より、Webを通じた電子データで提供された方が第三者が検証しやすい。このような情報提供と、紙媒体、電子媒体を通した見やすく、分かりやすい環境活動紹介と組み合わせた広報を考えていただきたい。

 加えて、地域にお住いの方々によるFTCの評価は継続的な企業活動に不可欠である。既に、地域清掃や工場開放などの活動はされていると思うが、さらなる地域への貢献とその見える化を進めていただきたい。具体的には災害時の拠点としてのFTC、藤沢の環境改善拠点としてのFTCを目指した活動をお願いしたい。

見える化システム

見える化システム

温熱環境実験室

温熱環境実験室


電気通信大学情報理工学部機械知能システム学専攻 新 誠一教授

電気通信大学  新 誠一教授

研究分野

制御工学、計測工学、自律分散システム

略歴

1980年 東京大学大学院工学系研究科修士課程修了
東京大学工学部計数工学科助手
1987年 工学博士(東京大学)
1988年 筑波大学電子・情報工学系助教授
1992年 東京大学工学部助教授
2001年 東京大学情報理工学系研究科助教授
2006年 電気通信大学教授

受賞歴

1998年7月 計測自動制御学会論文賞
2003年8月 計測自動制御学会フェロー
2006年10月 (社)計測自動制御学会 計測自動制御学会技術賞
2013年5月 一般社団法人電気学会 優秀技術活動賞技術報告賞受賞
2014年3月 情報セキュリティ大学院大学 情報セキュリティ文化賞