HOME > 納入事例 > 高知県 土佐町

高知県 土佐町

点在する施設の運転状況を一元監視、住民への水道水の安定供給を支える

吉野川の源流域に位置する土佐町は、四国4県を潤す早明浦(さめうら)ダムを擁し、“水のまち”として知られています。同町では、町内各所に分散設置されている水道水供給施設の運転状況を、一元管理するための監視システムを更新しました。中央監視システム・機器のリニューアルを実施し、日常の監視業務の効率化と水の安定供給に貢献しています。

工場・プラント分野 上・下水道 安定稼働 稼働改善 メンテナンスサポート 運転監視・制御システム&ソフトウェア 調節計(温調計)/記録計 ライフサイクルサポート

導入製品・サービス

四国の水がめを支える監視システム、現場に適したシステム更新を検討

土佐の赤杉を利用し、完成した土佐町役場の新庁舎。

土佐の赤杉を利用し、完成した土佐町役場の新庁舎。

高知県の北部中央、四国山地の懐に位置する土佐町。起伏に富んだ地形と寒暖差のある気候を活かした農業をはじめ、畜産業、林業が盛んです。棚田で栽培される県内有数の良質米、人気の高いブランド牛「土佐あかうし」、良質材として定評のある「土佐の赤杉」の産地として知られます。また、吉野川の源流域に当たる土佐町は、豊かな水資源に恵まれた町でもあります。町の東部にある早明浦(さめうら)ダムは、西日本一の貯水容量を誇る多目的ダム。四国4県に水を供給する四国の水がめとして、多くの人々の暮らしや地域の産業に貢献しています。

土佐町には、現在、簡易水道※1施設が9カ所、飲料水供給施設※2が7カ所あり、約4000人の町民に、安全な水道水を提供しています。

「土佐町では長年にわたり、町内に点在している水道施設を役場側で中央監視装置により集中監視してきました。しかし、飲料水供給施設の中には監視対象になっていない施設がいくつかあったことに加え、近年では機器の老朽化による不具合なども徐々に目立つようになってきていました」(窪内氏)

例えば、施設側に設置されているテレメータ(遠隔計測装置)内部のデータ保持用電池が老朽化により消耗していたため、この地域に多い落雷などによって施設が瞬時停電すると、テレメータが保持していた設定水位などの情報が消えてしまったり、施設側で計測している配水量や、配水池※3の水位などのデータが欠測してしまうといったことが発生していました。

「設定値のクリアやデータの欠測が起こると、その都度、担当者が現場に駆けつけ、テレメータの値を手作業で設定し直すといった作業が必要でした。この作業には1~2時間ほどかかる上に複数箇所の水道施設で発生する場合もあるので、人的な負担も大きく膨らんでいました」(森氏)

二つのネットワークを活かして拡張性に優れたシステムを実現

和田高区配水池に設置されている計装盤内。NXが光伝送装置を介して庁舎電算室にあるゲートウェイのDGPL IIにつながれ、中央監視システムに計測データを送っている。

和田高区配水池に設置されている計装盤内。NXが光伝送装置を介して庁舎電算室にあるゲートウェイのDGPL IIにつながれ、中央監視システムに計測データを送っている。

和田低区配水池に置かれた計装盤内。NXがモデム経由でアナログ回線を介して庁舎電算室にあるゲートウェイのDGPL IIに接続している。

和田低区配水池に置かれた計装盤内。NXがモデム経由でアナログ回線を介して庁舎電算室にあるゲートウェイのDGPL IIに接続している。

中央監視システム、機器の更新を検討し始めた土佐町では、2008年夏に事業者の競争入札を実施。その結果、アズビル株式会社が請け負うことになりました。

「もともと中央監視装置はアズビル製でした。長くお付き合いしてきたアズビルに、新たな遠隔監視水道システムの構築をお願いできるということで、大きな安心感がありました」(窪内氏)

土佐町がアズビルに正式発注したのは2008年10月。中央監視装置には、協調オートメーション・システムHarmonas™が採用されました。さらに、町内各地に点在している水道施設には、計装ネットワークモジュールNXをコントローラとして新たに設置する一方、既存の他社製コントローラも有効活用しながら、それぞれの施設の配水量や貯水水位、ポンプや滅菌設備の稼働状況などをまとめて監視できる仕組みを実現。2012年3月に新たな遠隔監視水道システムが稼働を開始しました。

和田高区配水池に設置されている計装盤内。NXが光伝送装置を介して庁舎電算室にあるゲートウェイのDGPL IIにつながれ、中央監視システムに計測データを送っている。

また、土佐町では、各家庭用に地デジ対応・防災対策に伴う通信インフラ整備の一環として町自営の光ケーブルを敷設していました。

「この光ケーブルを中央監視装置Harmonasと水道施設に設置するNXの通信に利用して通信費のコストダウンを図ることをアズビルから提案されました。アズビルの担当者とも協議を重ね、光ケーブル敷設地区に近い水道施設については、データ通信用にこの光ケーブルを利用し、敷設地区から離れている山間地域の水道施設との通信には、従来、利用しているNTTアナログ専用回線を利用するという2種類のネットワークを活用することにしました」(窪内氏)

この結果、通信コストの低減と、シンプルで保守性、拡張性に優れたシステムを実現。そして、光ケーブルを利用することで通信の安定性と高速化を確保し、今までよりも多くの水道施設運転情報を得ることができるようになりました。

遠隔監視水道システム構成図

遠隔監視水道システム構成図

システムのリニューアルによって、日々の監視業務に安定性と信頼性を確保

Harmonasは土佐町役場内の電算室に設置されているほか、事務所内にも端末が置かれ(写真)、こちらからも常時監視が行えるようになっている。

Harmonasは土佐町役場内の電算室に設置されているほか、事務所内にも端末が置かれ(写真)、こちらからも常時監視が行えるようになっている。

新たな遠隔監視水道システムは水道施設の監視業務の安全性や効率化に大きな成果を上げました。中でも、日々の監視業務に安定性、信頼性がもたらされたことが、最大のポイントです。落雷による課題は解消し、従来、特定の難しかった不具合箇所の特定が容易になるなど、監視担当者の労力が大幅に軽減されています。

「今回のシステムでは、これまで監視対象となっていなかった施設も一元監視の中に取り込まれました。上位の施設から下位の施設までの状態がモニタ画面上ですべて把握できるので、仮に浄水場やポンプ場、配水池など、給水経路のどこかで漏水などの問題が発生しても、異常箇所を特定することが容易です。速やかに問題が発生している場所へと対処に向かうことができるようになっています。さらに毎日の業務の中では、まず遠隔監視水道システムで各施設の稼働状況を確認してから、現地へ赴くことが可能となり、何らかの対応が現地で必要な場合は、事前に準備をすることができるなど効率が良くなりました」(森氏)

また土佐町では、アズビルの年間保守契約プログラム(ISOP)も併せて採用。24時間対応の保守サービスにより、監視システム・機器を常にベストコンディションで運転できる体制を整えています。

「将来に向けては、監視ポイントの範囲拡張や高密度化など、取り組むべきテーマはまだまだあるものと認識しています。安全な水道水を町民に対して安定的に供給していくことが我々の最大のミッション。今後もアズビルには、運用改善や新規システムの提案などにより、当町の取組みをしっかりと支援していってくれることを大いに期待しています」(窪内氏)

お客さま紹介

土佐町役場 建設課 課長補佐 (上下水道係) 窪内 一雄 氏
土佐町役場
建設課
課長補佐
(上下水道係)
窪内 一雄 氏
住重環境エンジニアリング株式会社 土佐さめうら事業所 森 上(たかし)氏
住重環境エンジニアリング株式会社
土佐さめうら事業所
森 上(たかし)氏

高知県 土佐町

高知県 土佐町役場

  • 所在地/高知県土佐郡土佐町土居194
  • 創立/1955年3月

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2014 Vol.4(2014年08月発行)に掲載されたものです。

工場・プラント分野の納入事例

安定稼働の納入事例

稼働改善の納入事例

運転監視・制御システム&ソフトウェアの納入事例