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旭化成株式会社 富士支社

高精度・高速応答の風量制御システムで、
最先端実験環境の安全性と省エネルギーを実現

旭化成グループにおける研究開発活動の一層の加速、および新事業創出のスピードアップを図る目的で建設が進められた旭化成 富士支社内の新事業開発棟。その実験室内で最先端分野の研究開発に取り組む人たちのさらなる安全確保や最適な業務環境の実現に、山武の高精度・高速応答の風量制御技術が大きく貢献しています。

旭化成株式会社 富士支社

旭化成株式会社 富士支社

建物分野 研究所 安全・安心 省エネルギー 研究施設向け風量制御システム

導入製品・サービス

より高度な研究施設の実現に向け新棟を建設

旭化成株式会社は中核となる9つの事業会社を擁し、ケミカル・繊維、住宅・建材、エレクトロニクス、医薬・医療などの領域で旭化成グループとして事業を展開しています。グローバルリーディング事業を積極的に展開し、社会が求める環境・エネルギー、住・くらし、医療の関連分野での事業を拡大するとともに、各分野でシステム型・融合型の新事業の創出に取り組んでいます。

静岡県富士市にある富士支社は、その旭化成グループの主要生産拠点の1つであるとともに、研究開発拠点としても大きな役割を果たしています。支社内には1972年から順次建てられた3つの研究棟が稼働し、電子・光学材料分野などを中心に基礎研究からサンプル化などに至る研究開発を進めていますが、新棟建設に伴い、より高度な実験設備の実現を目指しました。

薬品などを扱う研究施設では、局所排気装置(ヒュームフード)を設けて安全な空気環境を継続的に守る必要があります。これまで、旭化成 富士支社の研究室ではヒュームフードを開けたときに出る薬品の有害ガスを実験者が吸い込まないように排気装置の風量バランスを制御してきました。労働安全衛生法上に定められた数値はクリアしていましたが、より高い数値の確保、より安全な実験環境づくりの検討を進めていました。

その課題解決のための検討を重ねていた2007年3月、山武が手掛けた化学メーカーの研究所に導入された風量制御システムについて日本化学会で講演があり、その中で実際に稼働している化学メーカーの施設を見学する機会がありました。

同社ではヒュームフードの制御を検討していたタイミングということもあり、見学会に参加し、理想的な風量バランスとコストパフォーマンスの良さを両立する設備を山武から紹介を受けました。

高精度・高速応答のヒュームフードで実験者の安全を確保

その後、2007年9月ごろから新研究施設である「新事業開発棟」の建設計画がスタートします。この施設では、電子・光学やエネルギー分野の研究開発、新規事業創出を強力に推進していくために、その原動力となる研究開発活動の一層の加速、新事業創出のスピードアップを図ることを目的としてプロジェクトが進められました。

新事業開発棟の建設に当たって、最重要課題としたのは実験者の安全性の確保、そして省エネルギーなどのコストパフォーマンスの向上です。旭化成では、「風量バランスの課題を解決すること」「できるだけコンパクトな設備でコストパフォーマンスがいいこと」という要望を満たすシステムの提案を依頼しました。

山武のシステムの採用に当たっては、山武の環境技術センター(当時)で実際に風量制御システムを体感し、"これはいける"とその良さを実感されたことが大きかったようです。

ヒュームフードは、外側から内側に向かう気流によって、有害ガスに対する暴露から実験者を防ぐことが役割です。しかし、単純に排気を行うだけでは、多数のヒュームフードを同時に利用した場合に排気機能を低下させてしまう場合があります。

この問題を解決しているのが山武が提供する高精度・高速応答の風量制御装置です。この装置は、ダクト内の静圧の変化に応じて風量を一定に保つ自力式機械構造(圧力独立性機構)で、ヒュームフード面風速を常に一定の0.5m/sに制御し、ガスをヒュームフード内に封じ込めることができます。その応答速度が1秒以内というのも大きな特長です。

実験を行っている人たちの安全性を確保することが最重要課題でしたが、空調制御分野で実績のある山武が対応することにより、さらなる安全性の確保を実現しました。同社を訪れる見学者は、ヒュームフードのサッシを開けたときの応答の速さに興味を示すようです。

また、ヒュームフードの前にいる人の在/不在を検知して排気風量の最適制御を行う人検知センサも設けられています。サッシが開いていても人がいない状態であれば、風量を下げる最適風量コントロールを行うことで無駄な排気をなくし省エネルギーを実現しています。

ヒュームフードの風量を高精度・高速応答で制御する風量制御装置。

ヒュームフードの風量を高精度・高速応答で制御する風量制御装置。

ヒュームフードの前面に取り付けられた人検知センサ。人の在/不在を検知して排気風量の最適制御を行う。

ヒュームフードの前面に取り付けられた人検知センサ。人の在/不在を検知して排気風量の最適制御を行う。

見える化を行い、安全管理と省エネルギーを同時に推進

一方の研究施設向け風量制御システムは、研究室の排気風量やヒュームフードの利用状況を管理して運用の最適化を図り、研究施設の運営に欠かせない安全性と省エネルギーを同時に実現するものです。

旭化成 富士支社では、実験者に利用状況のデータを開示し、サッシを閉めることによる省エネ意識への啓蒙を促しています。データについては今後、管理面での活用も検討していきたいといいます。

同社は風量制御装置と研究施設向け風量制御システムとともに、セキュリティ強化のために山武のセキュリティシステムを導入しました。

これにより、新事業開発棟においては、実験者以外は研究棟に入れないという万全なセキュリティが実現されました。また、実験室で誰が作業をしているのかといった在室管理もできるため、実験者の安否確認にも役立つということです。

新事業開発棟については、山武のシステムそのものはもちろん、課題が浮上したときのスピーディーな対応に満足されています。既存の建物や設備についても、現状を調査・評価し、改善のための新たな提案を依頼されるなど、空調制御を得意とする山武に大きな期待を寄せていただいています。

※2012年3月以前の情報は、旧名称が使われているケースがあります。ご了承ください。

用語解説

※ 局所排気装置(ヒュームフード)

化学実験などで有害ガスが発生するときに実験者の安全を守るために用いる排気装置。ヒュームフード内をマイナス圧にすることで、有害ガスなどの室内への漏れを防ぐ。

 

お客さま紹介

旭化成株式会社 富士支社

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旭化成株式会社 富士支社

  • 所在地/静岡県富士市鮫島2-1
  • 施設内容/電子・光学やエネルギー分野、新規事業創出などのための研究開発

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2012年01月号に掲載されたものです。

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