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国家公務員共済組合連合会 大手前病院

設備の運用改善による省エネルギーと法令対応業務のサポートにより、省エネ工場現地調査で97.6点の高評価。
初年度で約16%のエネルギー削減を達成

第一種エネルギー管理指定工場の指定を受けている大手前病院では、省エネルギーセンターが実施する省エネ工場現地調査への対策を契機に、専門的な知見を持つ外部パートナーの支援を受け、調査対応およびその後の省エネ活動を継続的に推進していくことを決定。アズビルが提案するエネルギー消費設備の運用改善を主体とした地道な施策を着実に積み重ね、初年度約16%のエネルギー削減を実現しています。

国家公務員共済組合連合会 大手前病院

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省エネ工場現地調査への対策を契機に外部パートナーの活用を決定

省エネルギー推進委員会が実施する会議の様子。新たな省エネ施策の検討や実施した施策の成果の報告が活発に行われている。

省エネルギー推進委員会が実施する会議の様子。新たな省エネ施策の検討や実施した施策の成果の報告が活発に行われている。

1951年、国家公務員共済組合連合会(KKR)を母体に公的施設に準じた病院として大阪市中央区に設立された大手前病院。24の診療科を有する同病院は、「家庭的で温かい雰囲気の中で最高の医療を提供すること」をモットーに地域住民の多様な医療ニーズに応えています。2009年4月には「大阪府がん診療拠点病院」に指定され、5大がん(肺がん、胃がん、肝がん、大腸がん、乳がん)に対応する早期医療から緩和医療までの総合的ながん診療体制を確立。一方で、2012年11月には「地域医療支援病院」の承認を受け、病診連携による地域の診療所などの後方支援を行うという重要な役割も果たしています。

同病院は、省エネ法※1に基づく第一種エネルギー管理指定工場の指定を受けています。そのため、以前より院内で消費する電気やガスといったエネルギーの削減に取り組んでいましたが、2010年7月、省エネルギーセンター※2から省エネ法遵守にかかわる現地調査※3を2011年2月に実施する、という旨の通知が届きました。

もともとエネルギー管理指定工場の適用を受けているため、法的要件となっている定期報告書や中長期計画などの法定書類は自前で作成していました。しかし、現地調査では同法の定める「エネルギー管理標準」の策定にかかわる各種文書が漏れなく整備されていること、管理標準にのっとって各エネルギー消費設備を適正に管理・運用されていること、などが厳しく問われます。

「独力で厳格な調査に対応するのは困難であると判断しました。そこで、専門的な知見を持つ外部パートナーに依頼して、まずは調査に向けた支援を仰ぐ、そしてパートナーとともに省エネ活動を継続的に推進していく、という方針を固めました」(有岡氏)

それまでの取組みを“白紙”に、改めて「管理標準」を策定

省エネ施策の一例。機械室内の蒸気用配管を断熱ジャケットで包み管内の蒸気の放熱を防いでいる。サーモセンサを使って装着前と装着後の遮熱効果を可視化したところ、機械室内の温度が大幅に下がっていることが明らかとなっている。

省エネ施策の一例。機械室内の蒸気用配管を断熱ジャケットで包み管内の蒸気の放熱を防いでいる。サーモセンサを使って装着前と装着後の遮熱効果を可視化したところ、機械室内の温度が大幅に下がっていることが明らかとなっている。

早速、大手前病院は、支援サービスを提供するいくつかの業者に提案を依頼。寄せられた提案内容を綿密に吟味した結果、パートナーに迎えたのがアズビル株式会社でした。

「既に、ビルの空調や自動制御システムに数多くのアズビルの製品を採用しており、2005年以来、それらシステムの保守契約も結んでいます。我々の設備やシステム、あるいはその運用を知り尽くしたアズビルの選定は、言うまでもなく自然な流れでした」(有岡氏)

さらに、近隣にある第一種エネルギー管理指定工場に指定されている同規模の病院や、同じKKR傘下の横須賀共済病院なども、アズビルの支援を受けている事実も、大きく後押ししました。

大手前病院がアズビルの採用を決めたのが2010年9月。これまでの省エネルギーに対する取組みをいったん“ゼロベース”に戻し、現地調査に向け、「エネルギー管理標準」の策定と同標準に基づく設備ごとの管理プロセスの実践体制構築を急ピッチで進めました。

「その間、調査ではどういった質問が出され、それに対しどのように答え、どういう資料を提示すべきか、といったことをアズビルが詳細に指導してくれました。さらに調査の直前には、実際の調査を模したリハーサルまで実施しました。おかげで、調査本番でもとまどうことなくスムーズに対応できました」(福田氏)

「この取組みの成果もあって、当病院では現地調査において97.6点という高得点を獲得し、問題なく調査合格の評価をいただきました」(藤原氏)

着実な省エネ効果の積重ねで第二種エネルギー管理指定工場へ

各部屋には、省エネルギーを呼びかけるメッセージとともに温度計が設置されている。室温を確認して、室内設定温度を変更できる配置となっている。

各部屋には、省エネルギーを呼びかけるメッセージとともに温度計が設置されている。室温を確認して、室内設定温度を変更できる配置となっている。

現地調査後も、アズビルの支援の下に目標を設定しながら、省エネルギーに向けた取組みを強力に推進しています。具体的には、空調機プログラムの変更や外気冷房の有効利用、2次ポンプのインバータ制御といった空調システムのチューニングを主体とした改善を実施。さらには、夜間照明、エレベータ、エスカレータ運転時間の制限を実施したり、室温の監視や調整を行う省エネ担当者を配置したりしました。

「特に、廊下や部屋のスイッチ類など目に触れるところに棒形アルコールタイプの温度計を取り付けたことや、省エネ活動の成果を院内広報誌で紹介したことは、職員の省エネ意識の向上に大きく寄与しました」(岡村氏)

「アズビルが提案してくれた運用改善を中心とした施策の実施により、2011年度には2010年度比で原油に換算して約16%のエネルギーを削減。さらに2012年度には前年度比で約9%の削減を実現しています。2010年度と2012年度を比較すると、電気、ガスの消費量が実に4分の1程度削減されたことになります」(武安氏)

「もちろんそうしたことが、病院全体としての支出の削減や、環境問題に向けた社会的責任の担保など、病院経営をめぐる課題解消の意味からも大きな意義を持っていることはいうまでもありません」(楠本氏)

大手前病院では、今後もアズビルと協力し、管理標準の「改善」「実践」「検証」、さらなる「改善」というPDCAサイクルを回すことで、なお一層の省エネルギーを追求していくことになります。

「2013年度に当病院が掲げている削減目標は前年度比4%。それが達成されれば、2010年度に原油換算で4000kl超/年だったエネルギー消費量が3,018kl/年となり、いよいよ第二種エネルギー管理指定工場の要件である3,000kl未満という線も見えてきます。アズビルとともに手を携えながら、目標を一つひとつ着実にクリアしていきたいと考えています」(有岡氏)

■大手前病院におけるエネルギー消費実績推移

用語解説

※1 省エネ法

「エネルギーの使用の合理化に関する法律」。工場や事業所が使用するエネルギー量(原油換算)によって「第一種エネルギー管理指定工場等」(3,000kl/年以上)、「第二種エネルギー管理指定工場等」(1,500kl/年以上3,000kl/年未満)をそれぞれ指定し、エネルギー使用状況届出書、中長期計画書、定期報告書といった法定書類の提出やエネルギー管理統括者等の選任を求めている。

※2 省エネルギーセンター

産業、ビル、家庭、地域などの各分野のニーズに応じた省エネ・節電技術・手法に関する情報発信や、新エネルギーや蓄電、スマートテクノロジー等の新たな技術に対応する省エネ技術・手法の開発・普及、それら技術等を使いこなし、実践していく人材の育成などを行う一般財団法人。

※3 エネルギー管理指定工場の現地調査

経済産業省 資源エネルギー庁が第一種、第二種のエネルギー管理指定工場を対象に実施する、省エネ法の遵守状況についての調査。実施主体は省エネルギーセンター。80点以上が合格とされ、60~79点では書面による指導と経過報告が課されるほか、60点未満の場合には経済産業局による立入り検査が実施される。

 

お客さま紹介

国家公務員共済組合連合会 大手前病院

国家公務員共済組合連合会 大手前病院

国家公務員共済組合連合会 大手前病院
  • 所在地/大阪市中央区大手前1-5-34
  • 設立/1951年6月12日
  • 事業内容/病院(大阪府がん診療拠点病院、地域医療支援病院承認)

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2013 Vol.4(2013年08月発行)に掲載されたものです。

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