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東京ドームシティ 黄色いビル

環境関連法規制への対応を念頭に、ビル設備の省エネ化を推進

東京ドームを中心に造られた東京ドームシティ内にあり、多くのスポーツ・娯楽施設が入っている「黄色いビル」では、2010年4月に温室効果ガス排出総量削減義務が開始された東京都の「地球温暖化対策計画書制度」に対応するため、設備の省エネ対策を実施しました。空調設備を中心とした機器の最適な制御と運用改善により、使用エネルギーの総量削減やピーク値の低減など、大きな成果を上げています。

建物分野 複合ビル レジャー施設 省エネルギー コスト削減 中央監視システム ダイレクトデジタルコントローラ

導入製品・サービス

建物管理システム savic-net FX

ビルマネジメントシステム

ビルマネジメントシステム

熱源管理用デジタルコントローラ PARAMATRIX-4

熱源管理用デジタルコントローラ PARAMATRIX-4

急務となった法規制対応を念頭に、4年にわたる省エネ対策を計画

東京ドームシティは、1988年にオープンした日本初の全天候型多目的スタジアム「東京ドーム」を中核とする、都市型エンターテインメントゾーンです。エリア内には「東京ドームシティアトラクションズ(旧後楽園ゆうえんち)」や、スパ(温泉)を備えた「ラクーア」、「東京ドームホテル」などが併設され、年間約3700万人が訪れます。

その一角にある「黄色いビル」は、1973年に竣工(しゅんこう)したA棟、C棟と、1977年竣工のB棟から成ります。日本最大の場外馬券場である日本中央競馬会の「ウインズ後楽園」や、東京シティ競馬の場外馬券場「offt後楽園」のほか、野球やゴルフ、ボルダリングにチャレンジできるスポーツ施設「スポドリ!」、東京都内最大級の「ローラースケートアリーナ」など、バラエティに富んだ施設が入居しています。2014年7月には、直径11mの穴から宇宙を“見下ろす”という新コンセプトのシアターやプロジェクション・マッピングなどの最新技術を駆使した宇宙ミュージアム「TeNQ(テンキュー)」もオープンしました。

同ビルでは、2010年4月に温室効果ガス排出総量削減義務が開始された東京都の『地球温暖化対策計画書制度』※1に対応するため、2008年度から本格的に省エネ対策に着手してきました。その対策の中で、2011年度から4カ年計画で黄色いビル3棟および隣接する「後楽園ホールビル」(ボクシングなど格闘技の会場として知られる)を含む、計4棟の設備改修と中央監視・自動制御の更新を実施しました。

「これまでも、空調の運用改善や、重油を使ったボイラー・冷温水発生器などの熱源設備を地域冷暖房※2に切り替えるなど、省エネルギーの推進に取り組んできました。しかし、それだけでは条例の要件を満たすことは困難と判断し、予定していた設備の更新を、前倒しして進めることにしたのです」(山村氏)

斬新な省エネプランを高く評価。補助制度申請のためのノウハウに期待

これらの施策を請け負うパートナーとして選定されたのが、東京ドームシティ内のほかの施設にも中央監視装置を納入した実績のあるアズビル株式会社でした。

「省エネプランが斬新で、投資面でのメリットが大きいというのが最大の理由ですが、以前に別のビルで省エネ対策を実施したとき、アズビルから補助制度を活用するための申請方法についてアドバイスをもらった経験があったのです。今回も、国の補助制度の利用を検討しており、この申請についてアズビルが持っている豊富なノウハウに期待がありました」(山村氏)

2011年9月に、まずC棟の工事に着手。その後、A棟、B棟の順で着工し、2014年1月までに、黄色いビル3棟すべての工事を完了しました。

「C棟、A棟に関しては『住宅・建築物高効率エネルギーシステム導入促進事業(BEMS導入支援事業)』などのNEDO※3の補助制度、B棟に関しては国土交通省の『住宅・建築物省CO2先導事業』の補助制度へそれぞれ申請しました。期待どおり、アズビルの的確な支援により、双方とも無事認可を得ることができました」(山村氏)

今回実施した主な省エネ施策として、まず中央監視装置をアズビルの建物管理システム savic-net™FXに更新し、さらにエネルギーの消費実態を管理するためのsavic-net FX ビルマネジメントシステム(BMS)を新たに導入しました。併せて、冷/温水の二次ポンプや熱交換器周辺のポンプのインバータ化による変流量制御、および空調機の給気・換気ファンのインバータ化による変風量制御、さらには外気取入れ制御やCO2制御などを導入しました。

施設部設備グループ内に設置されたsavic-net FXの監視画面。黄色いビル各棟の設備の状況を集中監視している。

施設部設備グループ内に設置されたsavic-net FXの監視画面。黄色いビル各棟の設備の状況を集中監視している。

savic-net FX ビルマネジメントシステム(BMS)の画面。使用エネルギーの状況をCO2換算でグラフ表示するなどの「見える化」によって、黄色いビルにおける省エネ施策を支援している。データを「見える化」することで、今まで気づいていなかった部分のエネルギー消費を発見することもできた。

savic-net FX ビルマネジメントシステム(BMS)の画面。使用エネルギーの状況をCO2換算でグラフ表示するなどの「見える化」によって、黄色いビルにおける省エネ施策を支援している。データを「見える化」することで、今まで気づいていなかった部分のエネルギー消費を発見することもできた。

電力、熱量のピーク値の大幅削減がデマンド契約の基本料金低減に貢献

冷水ポンプの変流量制御に使われているインバータ。

冷水ポンプの変流量制御に使われているインバータ。

今回の施策によって、大きな成果を上げたのが、電気、および熱量のピーク値の低減です。

「施設の特性から、来場者が土日に集中します。そのため、エネルギー消費量も土日が突出していました。この土日のピークを劇的に下げられたことで、デマンド契約に基づく電力や地域冷暖房の基本料金も大幅に下げることができました。もちろん、エネルギー消費の総量についても施策実施前に比べ、およそ15%低減することができました」(山村氏)

また、同ビルではこれまで朝の開館時に館内を快適な所定の温度にしておくため、開館の2時間以上も前から各フロアの空調機を順次稼働させていました。実際には、空調機を起動すれば30分程度で温度が目標値に達するのですが、館内にあるたくさんの台数の空調機を一斉に立ち上げてしまうと、空調機コイルのバルブが一斉に開いてしまうため、熱量デマンド契約のピーク値をオーバーしてしまう懸念があったのです。

「それが今では、開館30分前に空調機を一気に稼働させても、システムによって適切な熱量デマンド制御が行われるため、ピーク値をオーバーすることもありません。当然、空調機が稼働しているトータル時間も短くなります。それが省エネルギーにつながり、さらには自動化されることで今まで手動で対応していたオペレータの負荷も大きく削減されました」(山村氏)

今後は4カ年計画の最後のフェーズとなる、青いビルの省エネ施策の実施が予定されています。

「今回、施設内のテナントの配置が急きょ変更になるといったことも発生しましたが、アズビルは常に柔軟に対応してくれました。今後も、これまでと同様の真摯(しんし)な対応で、我々の省エネルギーの取組みを力強く支援してくれることを、大いに期待しています」(山村氏)

ポンプの台数制御を行う熱源管理用デジタルコントローラ PARAMATRIX™4と表示パネル。

ポンプの台数制御を行う熱源管理用デジタルコントローラ PARAMATRIX™4と表示パネル。

用語解説

※1 地球温暖化対策計画書制度

温室効果ガスの排出量が、相当程度多い事業所を対象にした制度。事業活動に伴う、CO2などの温室効果ガスの排出抑制を中心に、地球温暖化対策への計画的な取組みを求めるもの。計画書の提出と公表が義務付けられている。

※2 地域冷暖房

一定地域内の建物群に集中管理された熱供給設備(プラント)から冷水、温水、蒸気を地下の地域導管を通して供給し、建物内の冷房、暖房、給湯などを行う仕組み。供給先ビル側で熱源設備を持つ必要がなく、省エネルギーや環境負荷低減の効果が期待できる。

※3 NEDO(New Energy and Industrial Technology Development Organization)

独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構。

 

お客さま紹介

株式会社東京ドーム 施設部 設備グループ長 山村 善紀 氏
株式会社東京ドーム
施設部
設備グループ長
山村 善紀 氏

東京ドームシティ 黄色いビル

株式会社東京ドーム

  • 所在地/東京都文京区後楽1-3-61
  • 設立/1936年12月25日
  • 事業内容/東京ドーム、遊園地、スパなどの経営・運営

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2014 Vol.5(2014年10月発行)に掲載されたものです。

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