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リアルタイムに微生物を検出し、品質向上に貢献

― インライン測定が可能な新たな微生物測定方式を提供し、空気中や水中の微生物検出を実現 ―

アズビルのリアルタイム微生物ディテクタ IMDは、結果を得るまでに時間を要する従来の微生物測定方式と異なり、空気中や水中に浮遊する微生物をリアルタイムで自動検出します。アズビルでは、以前から展開している医薬品の市場領域だけでなく、化粧品や食品・飲料など、より広範な市場領域で展開していこうとしています。微生物のみならず、粒子の検知や計測、可視化を通じた新たな価値創出により、お客さまの省力・省エネルギーの実現や安全性の向上への貢献を目指します。

リアルタイム微生物検出技術に事業上の大きな可能性

医薬品の製造では、空気中に浮遊する細菌や真菌などの微生物が生産物に混入することのないよう厳密な管理が求められます。そうした要請に応え得る製品としてアズビル株式会社が提供しているのが、リアルタイム微生物ディテクタ IMD™(Instantaneous Microbial Detection™)です。空気中浮遊微生物用のIMD-A™、水中微生物用のIMD-W™という2種類の製品を提供しています。

現在、製薬工程などにおける微生物の検出では、一般的に培養法が用いられています。これは、サンプルを採取してシャーレなどに用意した培地で培養を行い、発生するコロニー数を目視でカウントするものです。この方法では、結果が得られるまでに数日~1週間程度の時間がかかります。また、サンプルを取り出して計測した時点での状況しか把握できないこと、培養には熟練した専門技術者による手作業が必要なことも課題として挙げられます。これに対しIMDは、空気中や水中の微生物をリアルタイムに自動・連続でモニタリングすることができます。微生物の細胞に含まれる代謝物質やたんぱく質などの有機物は、特定の波長の励起光*1が照射されると自家蛍光を発します。IMDの仕組みは、この性質を利用したもので、この自家蛍光をセンサで捉えることで微生物を検出します。医薬品製造施設などの対象エリアに設置することで測定が可能となり、試薬などの使用やサンプリング・培養などの作業も不要となります。

空気中浮遊微生物用のIMD-Aは、もともと米国のベンチャー企業であるバイオビジラントシステムズ株式会社が開発した製品です。アズビル(当時:株式会社山武)は、2003年ごろに北米の技術動向を調査する中でIMD-Aの存在を把握しました。建物分野のビルディングオートメーション事業や工業分野のアドバンスオートメーション事業の市場との関連性があることや、先進的な光学技術を用いておりアズビルの技術の発展に寄与できることから、お客さまの品質向上にかかわる製品・ソリューションに活かせるのではないかと考え、導入の検討を始めました。その後、アズビルはバイオビジラントシステムズと販売契約を交わし、2004年にIMD-Aの日本市場での取扱いをスタート。2009年に、バイオビジラントシステムズはazbilグループの一員となり、新たなスタートを切りました。

IMD-A(空気中浮遊微生物用)

IMD-A(空気中浮遊微生物用)

IMD-W(水中微生物用)

IMD-W(水中微生物用)

従来の培養法による微生物の測定方式

従来の培養法による微生物の測定方式

製薬以外の広範な分野で適用可能性を探っていく

IMDは医薬品の製造工程を念頭に、医薬品メーカーのお客さまをターゲットとして開発された製品です。人命に直結する医薬品の世界では、日本であれば厚生労働省、米国であれば食品医薬品局(FDA)など、各国の監督機関が厳しい基準を設けております。

アズビルは、そうした医薬品の製造分野においてIMDの利用が促進されるよう医薬品メーカーと協力して、学会や関連省庁への働きかけを継続的に行いながら、お客さまの製造物の品質向上への貢献を目指すと同時に、化粧品や食品・飲料といった別の製造分野でもIMDの普及を図っていくというアプローチを開始しました。

2014年に事業を再編し、米国でのIMDの販売および生産をアズビルノースアメリカ株式会社に、開発をアズビル北米R&D株式会社にそれぞれ移管。また日本側には、国内での販売と、製薬以外の市場領域へIMDの展開を統括するEPS事業推進室をビルシステムカンパニー内に立ち上げました。EPSとは“Environmental Particle Solution”のことで、アズビルのEPS事業では、医薬品、微生物といった枠組みを超えて、空気や水の中のパーティクル(粒子)の検知、計測、可視化をベースとした広範なソリューションを提供し、お客さまの省力・省エネルギーの実現や安全性向上に貢献していくことをコンセプトとして打ち出しています。

水中の微生物を検出する製品の開発で事業拡大へ

展開していく市場領域を拡大する一方で、製品ラインアップの拡張も進めてきました。医薬品や化粧品、食品の製造、医療器具の洗浄などの工程では、清浄度の高い水が使われています。そうした水質管理において、「水中の微生物もリアルタイムかつ連続で検出したい」というお客さまからのニーズがありました。アズビルでは、バイオビジラントシステムズをグループに迎えた2009年ごろから、同社と共同で、空気中浮遊微生物用のIMD-Aの技術をベースに水中の微生物を検出するIMD-Wの開発にも着手しました。

 IMD-Wで検査対象となる水の中には、金属酸化物や樹脂といった微生物以外の様々な粒子が存在しており、その一部は微生物同様に蛍光を発するという課題がありました。IMD-Wの開発では、微生物とそれ以外の粒子、それぞれの蛍光特性(波長ごとの強度分布)を明らかにし、両者の違いを識別する独自のアルゴリズムを開発して実装しました。また、水中の微生物が発する蛍光は極めて微弱なため、それらを集光して検出するための光学系と流路系の仕組みを新たに開発しました。

こうした取組みを経て、2016年にIMD-Wを販売開始。さらにアズビルでは、IMD-Wの開発で蓄積したノウハウを活かし、IMD-Aの改良も現在進めています。2018年2月に行われた、経済産業省、国土交通省、厚生労働省、文部科学省の主催による第7回「ものづくり日本大賞」では、IMD-Wの開発に携わったアズビル 技術開発本部の7人の社員が、製品・技術開発部門の優秀賞を受賞しました。

このようにアズビルでは、医薬品製造工程での品質向上を目的としてIMDを提供する事業を、より広範な市場をターゲットとするEPS事業へと拡大。既に製薬の周辺領域である薬品の容器の洗浄、あるいは化粧品や食品・飲料の製造においてIMD-A、IMD-Wの活用が進んでいます。今後は、浄水施設や医療施設などの分野への適用も探っていきます。

併せてIMDに関しては、事業のグローバル展開にも注力しています。例えば、アズビルノースアメリカでは2017年から米国に加えて欧州での事業展開を進めており、また国内のEPS事業推進室でも、アズビルの各国現地法人と連携の下、アジア諸国への事業拡大を順次進めています。

アズビルでは、IMDの提供を通じて、製薬をはじめとする広範な市場領域で、製品の品質向上、安全・安心を支える新たな価値を創造し、お客さまに貢献してまいります。

*1:励起光
蛍光体などの物質に励起を引き起こす光。

※IMD、Instantaneous Microbial Detection、IMD-A、IMD-W、Biovigilantは、アズビル株式会社の商標です。

この記事は2018年12月に掲載されたものです。