IoTエージェント

azbilグループは、運転員による運転監視システムを活用した監視操作や一日数回の巡回点検など、現在の運転管理方法を「第1の目」とするならば、その第1の目の課題を解消し、熟練者の叡智を継承・超越するよりスマートな運転管理方法となる「第2の目」、「第3の目」を提供していきます。
第1の目の課題と第2、第3の目「IoTエージェント」
工場やプラントの運転管理の現状は、運転員による運転監視システムを活用した監視操作や一日数回の巡回点検を基盤としています。これを「第1の目」と呼ぶこととします。しかし、この第1の目には運転員の力量差があります。また、熟練運転員の引退、労働人口の減少により、スキルが低下し、生産性と事故のリスクが増大するなどの課題を有しています。
これらの課題を解決し、日本のものづくりをより強く、世界をより豊かにするこれからの製造現場「超スマート工場」を考えた時、熟練運転員の叡智を継承、超越し、第2、第3の目となる「IoTエージェント」が必要です。
人工知能(AI)により、工場の作業/運転を支援するアズビルの様々な機能モジュール
熟練者の叡智を継承・超越する「IoTエージェント」は、センシング技術やデータ解析技術、モデリング技術、AI、ロボティクスなどを活用し、これからの製造現場を支援する「第2、第3の目」となり、データエンジニアの部下として操業の安全と効率化に従事します。
第2の目 … 高機能センサを活用した生産状態や設備稼働状態の可視化・診断
製造現場(フィジカル空間)とサイバー空間をつなぎ価値を生み続けるCPS(サイバーフィジカルシステム)において重要なのは、製造現場の“今”を正確に計測する技術です。
新設の設備に限らず、既設の設備でも高機能センサを追加・交換設置することで、現場の状態を詳細に捉え、データ駆動型操業の基盤を強固にします。

高機能センサを活用した設備保全の最適化
スマート・バルブ・ポジショナ 300/700シリーズ, InnovativeField Organizer, PLUG-IN Valstaff
設備保全は日々の巡回点検と定期整備により実施しているのが一般的です。しかし、巡回点検は、人で言えば訪問看護。訪問医である点検員の力量差と気質によりその質(成果)に差を生じます。また、時間基準による定期整備は、設備の長期的かつ安全な使用を可能にしますが、より安全で生産的な状態基準保全の実現が期待されています。アズビルは、Foundation FieldbusやHART Communicationを活用し設備/機器の状態を詳細にデータで可視化。さらに機器調整、確認などの作業効率の大幅な改善を実現し、安全と生産性に貢献します。

緊急遮断弁のパーシャルストロークテストによる
状態基準保全と安全確保
スマートESDデバイス700シリーズ, InnovativeField Organizer, PLUG-IN Valstaff
緊急遮断弁専用スマートバルブポジショナ「スマートESDデバイス700シリーズ」は、これまで電磁弁が担ってきた緊急遮断機能を担います。また、PLUG-IN Valstaffと連携することでプラント運転中に緊急遮断弁を部分的に動かし、弁の作動を診断するパーシャルストロークテストを安全に行うことができます。(IEC62508 SIL2、SIL3認証取得済み)
第3の目 … ビッグデータ、AIを活用した異常予兆検知や未来予測、最適計画
超スマート工場は、熟練者の深い経験に基づく叡智を標準化した上に成り立つ、新しい環境です。
熟練者が豊富な経験に基づいて様々な運転状態下で設備の動きやプロセスを判断するように、ビッグデータに含まれる大量の運転パターンをAIに学習させリアルタイムで“今”を評価することで、異常の早期検知や未来の変動の予測、さらには最適な生産および保全計画を導き出します。

ビッグデータを活用したオンライン異常予兆検知
BiG EYES
アズビルの異常予兆検知用AIエンジン「BiG EYES」は、熟練運転員が経験から学習・判断する様に、ビッグデータから様々な運転パターンを独自のファジニューラルネットワークが学習し、設備/機器/プロセスのいつもと異なる振舞い(異常予兆)を早期に検出します。早い気づきが、オペレータの状況認識力を向上。安全で生産的な操業に貢献します。

データ駆動型未来変動予測
ACTMoS
アズビルのデータ駆動型未来変動予測用AIエンジン「ACTMoS」は、熟練運転員が頭の中で描いていた未来の変動を、刻々と変化するプロセス動特性を考慮した単一変数ごとの逐次更新型自己回帰モデルが当該変数の過去データを学習し、未来の振舞いを予測し、未来トレンド線として表示します。また、未来に異常管理値に到達すると予測した場合には、未来予測警報を発報するとともに、大型モニタにその未来変動トレンドを強制割り込み表示し、その場にいる全員に未来の気づき(予測)を提供することで、素早く、正しい意思決定を導きます。

運転監視目線と手順の標準化
Knowledge Power
装置の立上げ/立下げ、銘柄切替など非定常操作は、運転員の力量差が大きい作業の一種です。アズビルの「Knowledge Power」は、運転員個人のスキルに依存度の高い非定常運転を、誰もが標準化された手順で確実に実施可能にするプログラムレス・エキスパートシステムです。安全性の向上と生産運転に入るまでの時間短縮を実現します。また、異常兆候の早期発見などマニュアル化されていない熟練オペレータの監視目線のシステム化が可能であり、オペレータ全員が熟練者と同じ目線で監視することができるので、潜在的な危険を回避し、より安全で生産的な操業を実現します。