数十年間手つかずになっていたTBMの運用ルールにメスを入れようとしたが…

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診断データに基づいてTBMとCBMを組み合わせることでバルブ整備費用を削減!

診断データに基づいてTBMとCBMを組み合わせることでバルブ整備費用を削減!

本事例の企業様

業種 石油化学品製造業P社
部署 設備保全部

本事例のキーワード

#製造業のDX  #TBM  #CBM  #設備保全  #整備費用

背景

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製造現場のDX化を推進するにあたり、解決すべき現状の課題の洗い出しを行っていた、老舗石油化学品メーカーのP社。

「バルブの保全業務に無駄があるのではないか」という上層部からの指摘について担当する設備保全部のメンバーが探ってみたところ、ある問題が見つかった。

課題

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バルブ保全運用ルールの根拠が不明瞭。現場は手間が増えることを懸念し変化には消極的

P社では製造プロセスにおける重要度に応じて、膨大な数のバルブを3つのグループに分け、それぞれ1年、2年、4年ごとの定修で開放点検するTBM(時間基準保全)で運用していました。

その実態について、設備保全部のDX推進チームリーダーE氏はこう語ります。

「定修時に工数をかけて開放点検しても、正常なバルブが多く、無駄な整備費用が発生していました。バルブ保全運用フローは、数十年前に決められたものが継承されています。グループ分けやTBM周期などの根拠は、今となっては実態と合っているか不明瞭です」

一方、開放点検でバルブの異常が発見された際は、交換用の部品手配が定修期間中に間に合わないことも課題の一つでした。その場合は、部品が揃った時点で再度設備を停止させて整備をするか、次回の定修まで待つといった、非効率で安全上も問題がある運用になっていたのです。

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「チームは改善案としてTBM周期の見直しや、CBM(状態基準保全)への一部移行など、整備対象最適化による整備費用の削減を目的としたDX化を検討することにしました。しかし見直しを行う上で、根拠とすべき客観的なデータがありません。さらに現場では、DX化によって余計な手間が増えるのではないかといったネガティブな意見もあり、改善策の具体化に踏み出せずにいました」(E氏)

整備費用の削減を目的としたDX化という難題に解決策が見いだせず、E氏たちチームメンバーには焦りが見え始めました。

課題のポイント

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    バルブの保全業務は、数十年前に決められたルールに基づいて運用されていた
  • TBMによる開放点検には、無駄や部品納期遅延による整備機会ロスなどの課題があった
  • DX化により手間が増えることを不安視する現場の抵抗があった

解決のポイント

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    継続的なバルブのデータ収集・解析・診断の結果で、根拠のある整備周期を設定できた
  • 異常兆候を事前に知ることができ、TBMにCBMを組み合わせた定修計画が可能になった
  • 手厚いサポートによりDX化に対する現場の抵抗感を払拭できた

解決

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バルブ診断データに基づき保全運用ルールをすべて見直し、整備費用を年間約2,000万円も削減

情報収集を進める中、同業者の研究会に参加したE氏はアズビルのバルブ解析診断サービス(Dx Valve Cloud Service)の評判を聞き、興味を持ちました。早速、アズビルに問い合わせて、自社の課題について相談しました。

「Dx Valve Cloud Service」は、クラウド上でバルブの健全性を確認・管理できる製造業向けDXサービスでした。バルブごとに稼働データを継続収集し、自動的に解析・診断します。結果はWEB上で確認できて、診断結果を根拠としたCBMによる保全運用が可能でした。

事前にバルブの異常兆候が監視できるため、TBMで計画した定修にCBMを組み合わせて整備が必要なバルブの最適化を図ることができる点が、同業者の間で好評でした。また異常兆候を監視することで、対策に必要な部品を事前に用意すれば、定修計画通りに整備が可能になると考えられます。

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「さらにアズビルは診断ツールの提供だけでなく、自動的に提供される診断結果に基づく整備計画を立案するサポートまでしてくれます。DX化により『手間が増える』という、製造現場の抵抗感を払拭できるのではないかと期待しました」(E氏)

E氏らは、「Dx Valve Cloud Service 」導入によるバルブ保全業務の最適化および製造現場のDX化推進について上層部に起案を行い、承認を得ることができました。早速、アズビルの協力のもとに同サービスを導入し、バルブ稼働データの収集と診断結果に基づいたバルブ保全運用ルールの見直しを開始します。

「整備周期が短く異常発生傾向にあるバルブは、診断データと実際にバルブを開放点検した結果を比較し、整備要否の判断根拠となる診断の閾値を見直すことで整備周期を最適化しました。また整備周期が長く、異常発生傾向にないバルブは“異常兆候が確認されない”ことを根拠に整備周期をさらに長期化し、一部は異常兆候が出た場合にのみ臨時整備を行うCBMに移行させました」(E氏)

これらを全バルブに対して実施したことで、数十年使われてきたバルブ保全運用フローの改定に成功しました。それに基づきバルブ保全業務を最適化したところ、整備費用を年間約2,000万円も削減できる見通しがつきました。

製造現場のDX化は生産設備の安定化、保安力強化にもつながることから、他工場への展開も決まり、E氏らは準備に追われています。

この課題を解決したサービス

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クラウド型バルブ解析診断サービス
Dx Valve Cloud Service

Dx Valve Cloud Serviceは、調節弁メンテナンスサポートシステム PLUG-IN Valstaff(以下Valstaff)で収集したバルブの稼働データをクラウド上に自動送信・解析を実施し、バルブ解析診断結果をクラウド上のWEBコンテンツで提供するサービスです。

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