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豆知識

リットル

リットル

ジュースや牛乳のパック、ガソリンスタンドなど、私たちの日常生活でもよく目にし、かかわりの深い「リットル」という単位。あまりに身近すぎて、語源や歴史を考えたことがない方も多いのではないでしょうか。

牛乳

「リットル」の語源はフランス語 litre(リートル* に由来し、その元は古フランス語 litron(リトロン*。さらにギリシア語 λίτρα (litra)(リトラ*および中世ラテン語 litra(リトラ* にさかのぼり、もともとは重さを表す単位でした。

*日本語で厳密に再現することが難しいため、一般的な表記に準じています。そのため、原語の発音とは異なる場合があります。

18世紀末、フランス革命後に制定されたメートル法では体積の単位として「リットル」を採用、「1立方メートルの1000分の1=1リットル」と定義されました。分かりやすい基準として広まり、世界共通の単位へと定着しました。

樽

リットルが普及する以前、各地には独自の液体の量を測る単位がありました。たとえば、ヨーロッパでワインの単位として使われた「ガロン(gallon)」です。現在もアメリカでは約3.785リットル、イギリスでは約4.546リットルとして使われています。また、ワイン用とビール用で別々のガロンが存在し、貿易の現場で混乱を招いたこともありました。こうした経緯で、計測単位として「リットル」が広まる動きにつながったのです。

今でも世界では様々な液体の単位が使われています。

  • パイント(pint)
  • イギリスやアイルランドのパブでは、ビールを注文すると「1パイントのグラス」で出てくるのが定番です。1UKパイントは約0.568リットル、米国のUSパイントは約0.473リットルと小さめで、国によって差があります。今も「パイントグラス」という形で飲食文化に残っています。


  • ポット(pot)
  • フランスやベルギー、スイス、デンマーク、ノルウェーなどでワインや飲み物を量るのに使われた単位。1ポットはパリでは1.86リットルですが、マルセイユでは1.07リットルという場合もありました。ワインを売買したり、家庭で分け合うときの目安として使われ、地域ごとの食文化や暮らしに深く根付いていました。


  • 一升(いっしょう)
  • 日本独自の単位で約1.8リットル。江戸時代の米取引に広く用いられ、現代でも日本酒の瓶や枡(ます)の基準として残っています。「一升瓶」「一升枡」という言葉に、その名残をはっきり見ることができます。

こうした単位はその土地の文化と深く結びついていたため、地域ごとに基準が異なり、交流が増えるほど混乱も大きくなりました。その解決策として登場したのが、世界共通の基準である「リットル」だったのです。普段手にする牛乳パックの1リットルにも、長い歴史と文化の積み重ねが隠されているのです。

*参照元:
たのしいお酒.jp「1ガロンは何リットル?ビール容量の国際単位ガイド」「一升瓶の容量と由来について詳しく解説」
https://tanoshiiosake.jp/10705
https://tanoshiiosake.jp/12344

Encyclopædia Britannica「Litre (unit of volume in the metric system)」
https://www.britannica.com/science/litre

MathDa「USパイント (pt (US)) からリットル (L) への変換ガイド」
https://mathda.com/convert/ja/volume/pint-u-s-to-liter

Sizes.com「pot(液体単位)の地域ごとの定義」
https://www.sizes.com/units/pot.htm