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豆知識
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サーモスタット
サーモスタットとは、周囲の温度を検知して、あらかじめ設定した温度に保持するために加熱や冷却を自動的に制御する装置です。その役割は、“温度を一定に保つ”ことにあります。私たちの身の回りでも家庭用電化製品(エアコン、冷蔵庫、こたつ、給湯器など)や、オフィスなどのビル空調システムで使用されています。
また、医薬品産業や半導体・電子製品製造業においては、以前からサーモスタットが重要な役割を担ってきました。これらの分野では、温度管理の良しあしが製品の性能や生産効率を左右するため、近年、より厳しい温度管理が必要とされています。
サーモスタットの原理は、温度変化を物理的または電気的な変化として検知し、その変化を利用してスイッチをON/OFFすることです。
物理的な変化を利用し、昔から使われてきた代表的な方式がバイメタルと呼ばれるものです。バイメタルは、熱膨張率の異なる二種類の金属を貼り合わせたもので、温度が上がると二枚の金属はそれぞれ膨張しますが、熱膨張率の大きい金属の方がより大きく伸び、熱膨張率の小さい金属側へ曲がります。
このバイメタルの曲がり具合の変化によって、電流の通り道となる接点が開閉(OFF/ON)します。あらかじめ設定した温度に達すると電流が遮断され、その設定温度を下回ると再び通電させる仕組みとなっています。
バイメタルの材料としては、高膨張側に鉄・ニッケル・クロム合金、銅合金など、低膨張側にインバー(ニッケル36%、鉄64%)、ニッケル系合金などが使われています。また、金属ではなく液体や気体の膨張を利用するサーモスタットもあります。簡単な構造で温度制御ができるという特徴はあるものの、より厳密な温度管理が求められる用途においては、対応が難しくなっています。
そのような用途では、電気的な変化を利用する電子式サーモスタットが使用されています。これはサーミスタなどの温度センサを用いて直接温度を測定し、設定した温度と比較を行い、電子回路やマイコンを用いてリレーや半導体スイッチを介して加熱・冷却を制御します。
この方式では温度を細かく設定でき、ヒステリシス制御*1やタイマー制御、省エネ制御など高度な機能を実現できます。単なるON/OFF制御だけでなく、PID制御*2や、より細かい温度制御をしている装置もあります。さらに、アラーム機能やインターネットに接続して外部制御ができる機能などを有している装置もあります。
このようにサーモスタットは、単純な物理現象から高度な電子制御のものまで、用途に応じて様々な方式で温度を一定に保つ役割を果たしています。目に見えないところで働きながら、私たちの快適さや安全性、さらにはエネルギー効率を支える重要な技術となっています。
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*1:ヒステリシス制御
システムが直前にONかOFFかといった状態を踏まえて動作することで、ONとOFFが同じ値で切り替わらないようにする制御方式。 -
*2:PID制御
フィードバック制御の基礎的な手法であり、入力値の制御を出力値と目標値との偏差、その積分、および微分の3つの要素によって行う方法。