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社員持株会制度の新たなインセンティブ・スキームにより、
社員のさらなる経営参画意識を醸成

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従来の社員持株会制度にインセンティブを加えた制度導入で
社員の資産形成を支援し企業価値向上も実現

アズビルでは、社員一人ひとりの成長を企業価値向上の原動力と捉え、人的資本の強化を積極的に進めています。2022年には、長年運用してきた社員持株会制度を基盤に社員へのインセンティブを強化した新たな施策として「信託型従業員持株インセンティブ・プラン(E-Ship®)」を導入しました。これは、社員が自らの意思で参画した社員持株会制度に、福利厚生の一環として会社が資産形成を支援するとともに、社員が企業価値向上に貢献できる仕組みとして導入しています。

人的資本強化に資する、新たな株式保有の枠組み

azbilグループでは、オートメーションにかかわる製品・サービスの提供を通じて、持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献をしながら成長を目指し、企業価値の向上を図っています。アズビル株式会社では、これらの取組みを支える人材への施策を通じて「人的資本強化」を進め、会社と社員がともに持続的な成長を実現できるよう、「社員株式給付制度(通称:J-ESOP[株式給付型ESOP*1])」と「信託型従業員持株インセンティブ・プラン(通称:E-Ship®*2[従業員持株会処分型ESOP])」を導入しています。これらの制度は、福利厚生の役割を担うとともに、社員一人ひとりの企業価値向上への意識を高めることを目的としています。今回は、これらの株式関連制度のうち、前回の社員株式給付制度の説明に続いて、「社員持株会制度」の拡充について紹介します。

アズビルでは1977年以来、持株会を通じた社員持株会制度を運営してきました。これは自発的に持株会へ参加した社員が、自身の給与から一定額を拠出し、その拠出金に対して会社が10%の奨励金を上乗せした合計金額でアズビルの株式を取得するという制度です。取得した株式は持株会名義の管理となり、拠出額に応じて会員である社員に株式が分配され、株式の配当金も再投資されます。会社はこうした仕組みを通じて、社員の資産形成をサポートするとともに、社員自身が株主の立場から、経営参画意識を高める制度として長年にわたり定着してきました。

2022年には、この従来の制度をさらに進化させた「信託型従業員持株インセンティブ・プラン(E-Ship®)」を導入。社員の資産形成を支援しながら、より中長期的な企業価値向上を目指す株式保有の取組みへと進化しました。

進化する社員持株会制度、インセンティブで高まる社員の意識

2022年5月から2025年5月までの3年間の期間で導入されたE-Ship®は、従来の社員持株会制度にインセンティブを加えた新たな制度です。基本的な持株会の仕組みはそのままに、期間終了時に自社の株価が上昇した場合、持株会の会員である社員は、その期間に積み上げた株式数に応じて分配金を受け取ることができます。

この制度では、アズビルが信託銀行に対して、持株会の会員を受益者とする従業員持株会信託(従持信託)を設定します。従持信託は、アズビルを保証人として銀行から自社株式の取得に必要な資金調達を行い、信託期間中に持株会が取得すると見込まれる数のアズビル株式を株式市場からあらかじめ取得します。

一方で社員は、給与から毎月一定額を拠出し、その拠出金に会社が10%の奨励金を上乗せした合計金額で、従持信託からアズビルの株式を時価で購入します。月々の拠出額は、口数変更を行うまで固定であるため、株価が上昇すれば会員が購入できる株式数は当初想定している株式数よりも減少することから、信託内には残余財産として株式売却益相当額の株式が残ることになります。この残余財産の株式が、3年間の信託期間終了時に時価で売却されることとなり、それが分配金の原資となります。会員には、信託期間中に積み上げた株式数に応じて残余財産の株式売却等により得られた現金が分配されます。

E-Ship®の仕組み E-Shipの仕組み

信託期間中、従持信託は取得した株式を毎月時価で持株会に売却し、その売却代金および株式配当金で、銀行からの借入金を返済していきます。仮に、信託終了時に株価が下落し、取得時の価格を下回り借入金が残った場合には、その残債をアズビルが保証人として弁済するため、持株会の会員である社員は保有株式の時価の下落のみ(≒通常の持株会で運営している場合と同じ)リスクを負うこととなります。

分配金の仕組み 分配金の仕組み

さらにアズビルでは、持株会への社員の加入を促進するため、2025年2月に新たな施策として「特別奨励金スキーム」を実施しました。これは、新たに加入した社員だけでなく、既に加入している社員も含めて、すべての持株会加入者に対してアズビルの株式40株を付与するという取組みです。これまでも拠出金に対する会社からの10%の奨励金に加え、株価上昇による差益やE-Ship®導入による分配金がもたらすメリットがありましたが、今回の特別奨励金はこれらの仕組みに上乗せされるインセンティブとして社員に受け取られ、持株会への加入者数増加に大きく寄与しました。実際、このプロモーション実施前の2025年2月時点の加入率約51%から、実施後は約71%に上昇する成果が得られました。

また、2025年5月から2028年6月までの約3年間でE-Ship®を再導入することも決定され、社員が企業価値向上(=株価上昇)のインセンティブを享受できる制度が継続されることになりました。

社員の株主意識を醸成し、企業価値の持続的な向上を図る

E-Ship®は、従来の社員持株会制度にインセンティブを加え、社員が自らの意思で自社株を保有するきっかけを提供する制度です。これにより、社員のエンゲージメントやモチベーション向上を促進し、会社と社員が一丸となって企業価値向上を目指す取組みとなっています。「社員株式給付制度(J-ESOP-RS*3)」が全社員を対象に会社から株式を給付するのに対し、E-Ship®は社員の自主参加によって取得した株式数に応じて現金を分配する仕組みであり、社員の資産形成と経済的安定を会社が支援するものです。

E-Ship®のような制度に社員が自主的に参加することで、社員自身が「株式会社で働いている」という意識をさらに持つことにつながり、自らの業務が企業価値にどう影響するかを考えるようになります。こうした意識の変化は責任感や当事者意識を高め、会社と社員の関係をより強固にするとともにガバナンスの強化にもつながり、株主・機関投資家から好意的に受け取られています。

アズビルは、E-Ship®を通じて社員のエンゲージメント向上と資産形成を両立させ、会社と社員の双方にとって良い影響をもたらす制度を展開してきました。今後も、人的資本強化の一環として、社員の成長を支援する取組みを推進し、会社と社員がともに持続的な企業価値を向上させることを目指していきます。

※E-Ship®は野村證券株式会社の登録商標です。
※本記事でご紹介した制度は、日本国内のazbilグループ企業の一部にのみ導入されており、その他のグループ会社は対象外です。

  • *1:ESOP(Employee Stock Ownership Plan)
    企業が拠出する金銭を原資に自社株式を取得し、受益対象者である社員にインセンティブとして自社株式を給付する仕組み。
  • *2:E-Ship®(Employee Shareholding Incentive Plan)
    米国で普及している従業員持株制度ESOPを参考に野村證券株式会社と野村信託銀行株式会社が開発したもので、社員持株会の仕組みを応用した日本初の社員向けインセンティブ・プラン。
  • *3:J-ESOP-RS(Japanese Employee Stock Ownership Plan- Restricted Stock)
    一定期間の譲渡が制限された普通株式を社員に割り当てることで、株主と同じ目線に立ちながら、持続的な企業価値向上を図るインセンティブを付与することを目的としている給付制度。