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豆知識

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メートル

メートル

ものの長さを測るとき、私たちは「m(メートル)」を当たり前のように使っています。しかし「この長さはどうやって決まったの?」と考えることはありませんか。

実は「メートル」には身体 → 地球 → 自然界へとつながる、驚くほど長い歴史があります。

メートルが生まれる前の世界では、国や地域ごとにさまざまな長さの単位がありました。たとえば、欧米で使われる「フィート」は足の長さ、 「ヤード」は腕を伸ばしたときの鼻先までの距離など、身体を基にしたものが多く使用されていました。道具がなくてもものを測れる便利な方法ですが、人によって体の大きさが違うため、正確さはどうしても曖昧になってしまいます。

世界

そこで「誰が測っても同じになる長さを決めよう」と考えた人たちが18世紀のフランスに現れました。彼らが目をつけたのは「地球の大きさ」。赤道から北極までの距離を調べ、その1000万分の1の長さを「1メートル」と決めたのです。スケールの大きな発想ですが、地球をそのよりどころとすることで、より普遍的で公正な基準を定めたといえるでしょう。

とはいえ、地球を毎回測るわけにはいかないため、その長さを金属の棒で再現した「メートル原器」がつくられました。しばらくの間、このメートル原器がメートルの基準として使われることになります。

しかし金属は、温度によってほんの少し伸びたり縮んだりするという弱点がありました。そのためもっと正確な基準が必要になり、1983年にようやくメートルは一つの定義に落ち着きます。

現在の1メートルは、

「真空の中を、光が 1/299,792,458 秒で進む距離」

と決められています。自然界の普遍の法則を使うことで、地球上のあらゆる人々が同じ長さを使えるようになりました。

アメリカでは今もフィートやヤードがよく使われていますが、人体由来の単位は感覚的にイメージしやすいことから生活文化として残っているようです。

メジャー

メートルは、建築物の高さや道路の広さ、移動距離はもちろん体形や居住空間の設計など、私たちの生活に欠かせない多くのサイズの基になっています。ものづくりの場面でも、まずは正しいサイズ認識が必要です。世界共通語ともいえるメートルがあるからこそ、安心で快適な環境づくりができるのです。

いつも何気なく見る「メートル」の歴史は、地球から光の速さまで広がる大きな物語でした。定規やメジャーを手にするとき、いにしえの人々の試行錯誤を思い出せば、身近な数字がもっと面白く感じられるかもしれません。

参照:
国立開発法人産業技術総合研究所「メートル条約締結と原器の来日」
https://unit.aist.go.jp/nmij/library/nmij_icp/introduction.html

東京都計量検定所「探検!計量の世界」
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.lg.jp/keiryo/policy/documents/tanken-keiryounosekai220328.pdf