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豆知識
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通信プロトコル

通信プロトコルとは、異なる機器やシステム間でデータを正しく交換するためのルールや手順のことです。これを使用することで、例えばパソコンとプリンタ、スマートフォンとイヤホンなど、仕組みやメーカーが異なるデバイス同士でも情報のやり取りができるようになります。人間同士が円滑に会話をするために共通言語が必要なように、機械同士にも「共通言語」として通信プロトコルが必要となるのです。
図は、コンピュータ同士が通信するためには共通のプロトコルが必要であることを示しています。共通のプロトコルで接続されていないと情報が正しく伝わらず、やり取りはできません。通信プロトコルは、データの送受信方法やエラー処理、データ送信のタイミングなどを定めており、適切な通信を行うためには、そのプロトコルに従って操作をする必要があります。

例えば、インターネット接続に用いられるTCP/IPや、Webサイトの閲覧などに用いられるHTTP、メール送受信に用いられるPOPやSMTPなどはよく知られているプロトコルです。これらに加えて、機器間の通信においても様々なプロトコルが用いられており、いくつかの例を紹介します。
- ① HART®(Highway Addressable Remote Transducer)
- ② BACnet (Building Automation and Control Networks)
- ③ OPC UA (Open Platform Communications Unified Architecture)
HARTは、産業機器間の通信プロトコルで、特にプロセス制御において使用されます。もともとはアナログ信号を使用して伝送する機器間での通信を補完するために開発され、「ハイブリッド通信プロトコル」と呼ばれています。デジタル信号とアナログ信号の両方を使用してデータの送受信ができるのが特徴であり、これはアナログ信号の上にデジタル信号を重ねて送信することで、既存のアナログ機器でもデジタル通信の利便性を提供することができる仕組みです。HARTは、圧力計や温度計、流量計などのセンサ機器とPLC(Programmable Logic Controller)などの制御装置の間でよく使用されています。このプロトコルを使用することで、機器からのデータや状態の監視、メンテナンス情報の収集が可能となります。
BACnetは、主にビルの空調システムや照明、セキュリティなどの制御システムで使用される通信プロトコルです。オープンスタンダードであることから、異なるメーカーの機器間でもデータ交換を行えることが大きな特徴です。また、BACnetはETHERNETやRS-485といった通信メディア上で、IPなどのプロトコルを使用して動作するため、様々な環境で柔軟に使用できます。これにより、システム全体の運用効率が向上し、長期的な維持管理のコスト削減にもつながります。
OPC UAは、産業オートメーション分野で使用されている、非常に強力かつ柔軟な通信プロトコルです。これは、従来の産業オートメーションの標準であるOPC(OLE for Process Control)から発展したものであり、データのセキュリティやインターネットを経由した遠隔通信にも対応可能な柔軟性、プラットフォームに依存しない構造を備えています。OPC UAは、異なるシステムやデバイス間でデータの交換を可能にする標準的な通信基盤であり、多様な機能を備えているため、産業用の幅広いシステムと連携できます。
このように、通信プロトコルは異なる機器やシステム間の円滑な情報交換を支え、産業やIoTなど多様な分野で活用されており、今後の技術革新にも貢献していきます。
※HART®はFieldComm Groupの登録商標です。
※BACnetは、ASHRAEの商標です。
※ETHERNETは、富士フイルムビジネスイノベーション株式会社の日本または他の国における商標です。
※OPC, OPC UAは、OPC Foundationの商標です。