HOME > アズビルについて > 研究開発 > azbil techne-研究開発の事例 > データセンターの安定運用と省エネルギーを実現する環境ソリューション

データセンターの安定運用と省エネルギーを実現する環境ソリューション

データセンター向け環境ソリューション

データセンターの最大の役割は、サーバ、ストレージ、ネットワーク機器といったIT機器類を安全かつ安定的に稼働させて保守・運用サービスを提供することです。耐震性のある建物に、セキュリティ設備や非常用電源設備などを配備。温度環境の維持も徹底し、空調設備やエアフローを総合的かつ継続的にマネージメントしてIT機器に安定的な冷気を供給します。アズビルは冗長性と省エネルギーを実現する、データセンター向け環境ソリューション「AdaptivCOOL™」を提供しています。

背景・ニーズ

IT機器類を守るデータセンターにおいて安定的な環境維持に不可欠な空調機器

IT機器の安定的な稼働を保証しなければならないデータセンターでは、空調が極めて重要な役割を担っています。空調が適切でなく、データセンターに収容されているIT機器が出す熱によって環境温度が規定範囲を超えてしまうと、信頼性が低下するとともに最悪の場合、誤動作(いわゆるシステムダウン)を引き起こしてしまう可能性が高まるからです。データセンターでこうした事態が起こると、企業は事業活動の中断を余儀なくされ、大きな損失を被ってしまいます。これを防ぐために必要以上に冷却を行い、エネルギーコストの上昇を招いているケースもあります。そこでデータセンターの空調には、次のような機能や特性が求められます。

  1. 局所的な熱だまりや排熱の回り込みをなくすとともに、過剰な冷却によるアンバランスを解消し、すべてのIT機器に適切な温度の冷気を供給すること
  2. 処理負荷の変動に伴うIT機器の発熱量の増減に加えて、IT機器やラックの増設(撤去)にも対応できること
  3. メンテナンスまたは故障によって一部の空調機が停止した場合でも、ほかの空調機によって温熱環境を維持できる冗長性と運用性が確保されていること
  4. 上記を満たし安定的な運用を実現しながら、過剰冷却を排除し省エネルギーを推進して、ランニングコストの低減とCO2排出量の抑制を図ること

これらを実現するために、データセンターのエアフローを全体的な視点で適切に制御・管理しながら、データセンター内のすべてのIT機器に最適な温度環境を常に維持し、さらには冗長性と省エネルギーを兼ね備えたソリューションとして提案しているのが、アズビル株式会社のデータセンター向け環境ソリューション「AdaptivCOOL」です。

データセンターの空調が抱える課題

データセンターの空調が抱える課題

柱や梁(はり)、ラックや障害物などの様々な要因によりエアフローが乱れ、熱だまりや過剰冷却が発生。

※米国暖房冷凍空調学会(ASHRAE)は、データセンター内の機器の吸い込み温度として、推奨値18~27℃、許容値10~35℃などの条件を規定しています。

ソリューションのポイント

流体解析による“見える化”やセンシングを活用して、エアフロー全体を継続的にマネージメント

「AdaptivCOOL」の基本的なコンセプトは、機器の発熱量に応じて必要なところに必要な冷気を供給する「Demand Based Cooling」です。まず、サーバルーム内の温熱環境を調査し、流体解析(CFD)を用いてデータセンター内のエアフローや温度分布を“見える化”するとともに、空調機の一部停止などの様々なアクシデントのシナリオをシミュレーションして、エアフローの最適化に必要な対策を導き出します。

次に、対策に基づいて床冷却ファンや天井還気ファン(これらHotSpotr™)などの機器を設置して、熱だまりや過剰冷却などを解消します。また、各所に設置した温度センサのセンシングデータに基づいて空調機や床冷却ファンを制御します。空調機が賄っているエリアを定義したゾーン内はもちろん、ゾーン間でも冷気を融通するなどしてエアフローの効率化と均一化を図り、IT機器の安定動作に必要な冷気を発熱量に応じてすべてのラックや機器に供給します。

さらにデータセンターの運用管理者と密接な連携を図りながら、ラックや機器の大幅な増設、消費電力(処理負荷)の大幅な変動があった場合に、エアフローのゾーンや制御の見直しを行って、安定的な環境を継続的に維持します。アズビルは、熱・気流の解析ノウハウを有していること、データセンターにおける様々な機器の特性を熟知していること、さらに多くの実績と経験を持つことによって、冷却における信頼性と安全性の両立を実現しています。

データセンター向け環境ソリューション「AdaptivCOOL」

エアフローマネージメントソリューション「AdaptivCOOL」

床冷却ファン制御+天井還気ファン制御+空調機台数制御によって、機器の吸込温度や空調機の状態を常に監視しながら、適切な温熱環境を維持。

成果と今後の展望

環境の安定化に加え冗長性と省エネルギーを実現。数十サイト以上に導入され顕著な効果を発揮

データセンターの空調を効率化かつ均一化して、IT機器の安定的な動作環境を実現する「AdaptivCOOL」は、アズビル社内のデータセンターをはじめとして数十サイト以上に導入され、冗長性の確保および省エネルギーを含めて顕著な効果を上げています。

例えば、首都圏にある情報通信事業者さまのデータセンターでは、エアフローの最適化と床冷却ファンなどの設置によって熱だまりを解消して冷却の均一化を実現しました。さらに、相当台数の空調機の運転を停止し、運用コストの削減に成功しました(空調機はバックアップ用に割り当て)。さらに、温度センシングデータのリアルタイム監視により、安定的な運用を可能にしています。

データセンター内の温熱状況は、機器の増設などによって頻繁に変化します。これまで、こうした変化に継続的に対応できるソリューションはありませんでした。

アズビルの「AdaptivCOOL」は、流体解析技術を用いたデータセンター内の気流や熱分布のシミュレーションおよびシナリオ分析、ゾーン間での冷気の融通などによる冷却の均一化、IT機器の増減設や発熱量の短期的および長期的変化にも対応する継続的なサービスなどを特長とするエアフローマネージメントソリューションであり、データセンターの長期的な安定性の実現に寄与しています。

「AdaptivCOOL」の導入前(左)と導入後(右)の温度分布(実測)

「AdaptivCOOL」の導入前(左)と導入後(右)の温度分布(実測)

従来は推奨温度範囲を超える29℃の熱だまりが発生。「AdaptivCOOL」の導入により、均一な冷却と空調機台数の削減を実現。


azbil Technical Review

データセンターのエアフローマネージメント (PDF/2,048KB)

 

 



※AdaptivCOOLとHotSpotrは米国Degree Controls社の商標です。