デジタルトランスフォーメーション(DX)
社内DXによる事業基盤強化を加速。azbilグループならではの計測・制御技術にデジタル技術を融合し、新たな商品DXを創出していきます。

執行役員
azbilグループDX推進担当
安田 一彦
デジタル技術の進歩は継続して加速、さらなるオートメーションの進化によりお客様へまだ見ぬ価値を
azbilグループでは、事業活動における生産性を大幅に向上させ、私たちの働き方の創造につながる変革を社内DX、お客様の生産や建物運用の持続可能性を進め、新たな付加価値の創造に貢献するサービスを商品DXと位置付けています。
社会課題、事業環境、技術潮流、社会のニーズの変化によって、デジタル化を前提とするオートメーションが果たすべき役割と機会が拡大していると認識しています。
デジタル技術の進歩は継続して加速しており、この潮流に確実に追随するために、新中期経営計画(2025~2027年度)において約50億円のDX投資増額(前中期経営計画比)を実施します。これにより社内の業務効率化・収益性の向上(社内DX)を一層強化するとともに、社内で培った経験をもとに、市場ニーズを的確に捉えたお客様向けのDX関連製品・サービスの開発(商品DX)を加速していきます。
社内DXではFit to Standardを推進、そして全社的な生成AI活用が浸透。
商品DXではAIによる意思決定の高度化とクラウド技術でお客様に新たな価値を提供し、社会課題解決に貢献
社内DXでは、「Fit to Standard」アプローチにより、コモディティ業務のプロセスを業界標準に合わせて見直すことで、ベストプラクティスを活用した効率化を進めています。また、ウェビナー・教育コンテンツの提供を積極的に行うことで、日常業務への生成AIの活用が全社的に浸透、そして特化型のAIチャットボットについてもローコードツールなどを活用しながら全社的な実証を進めています。さらに、当社では情報セキュリティリスクへの対処を強化しており、特に生成AIについては、活用に伴うリスクと活用しない場合の機会損失を慎重に評価し、DX推進と情報セキュリティの両立を図ることで、持続的な企業価値向上に努めています。
商品DXにおいては、AIとクラウド技術を中核とした現場提供型サービスを展開しています。2025年1月にAI品質ナビゲーションシステム「Deep Anchor™」をリリース、さらに生産計画を自動作成するAI最適生産計画立案システム「VIRTUAL PLANNER™」を2026年にリリース予定です。これらのソリューションは、現場の意思決定を高度化し、生産性や品質向上を支援するとともに、労働力不足や技能継承といった社会課題の解決にも寄与します。
ビルオートメーションでは、クラウドを活用した「ビル向けクラウドサービス」を提供し、エネルギーや設備管理、テナントサービスを効率化しています。クラウド型への進化により、遠隔操作や柔軟なサービス変更が可能となり、すでに500件以上の契約実績があります。今後も機能改善やサービス拡充を進め、新たな価値提供を目指します。
そして、スマートメーターとクラウドの連携により遠隔検針やスマート保安を実現する「SMaaS(Smart Metering as a Service)」は、ガス、水道、電力の共同検針により、データ一元化、ビッグデータ活用、災害対応力を強化します。安全・安心でスマートな社会インフラを実現していきます。
azbilグループのDX事例
azbilグループでは商品DXと社内DXをDX推進の両輪と捉え、取り組んでいます。
以下では、2024年度までの事例として、商品DXからAI品質ナビゲーションシステム、社内DXからBIMを活用した高効率化と働き方改革の推進についてご紹介いたします。
サステナブルな生産空間と従事する人のWell-beingを目指して、AIが品質管理の重要パートを代行するAI品質ナビゲーションシステム「Deep Anchor™」

アドバンスオートメーションカンパニー
戦略事業開発3部
自律化企画創造グループマネジャー
佐々木 正雄
アズビルは、アドバンスオートメーション(AA)事業において、自律化(Autonomy)への取組みを加速しています。
AI品質ナビゲーションシステム「Deep Anchor™」は、AIが過去の生産データから品質に影響を与える因子を自動抽出し、製造中にモニタリング、傾向監視を代行することで、品質変動の予兆をいち早く捉えます。さらに、品質検査不合格の場合、原料や製造工程に潜む原因を自動で調査し、明確な要因分析結果を提供します。
QMSの重要パートをAIが代行することで、品質問題の解消に大きく貢献する革新的な製品です。これにより原料やエネルギーのロスを抑え、安定品質の維持と生産性向上を両立します。また、迅速な品種改良対応や新製品のスピーディーな市場投入を可能にし、社会イノベーションの加速にも寄与します。品質管理に従事する人の心的負担も軽減され、現場におけるWell-beingの向上を実現します。
今後もアズビルは、DX/SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)パートナーとして、お客様とともにサステナブルな生産空間の実現に取り組んでいきます。
BIM(ビルディングインフォメーションモデリング)を活用した独自の社内DXで高効率化と働き方改革を推進。お客様への提供価値を最大化

ビルシステムカンパニー 事業管理部
デジタル推進本部デジタルそうぞう部
三浦 克人
近年、ビルディングオートメーション(BA)事業を取り巻く建物需要は旺盛であり、業務繁忙への対応や有資格者の確保等が業界全体の課題となっています。アズビルはこれらの課題に適切に対処し、お客様のご要望により多くお応えするために、BIMを活用した業務改革(社内DX)を加速し、持続的成長を目指しています。
BA事業は、開発・製造、販売、設計、施工・エンジニアリング、保守・サービス、さらにリニューアルまでの一貫体制で、お客様の建物のライフサイクルをサポートしています。今回の業務改革によって、それぞれのプロセスにおけるデータの一元管理と可視化、共有を実現し、業務の効率化や高度化を目指します。
また、このような社内DXの取組みは、効率化によって社員一人ひとりが本来取り組むべき業務への集中を可能とし、やりがいや自発的な能力向上をもたらします。当社内に留めず国内外のパートナー企業へ今後展開するとともに、ご要望に応じてお客様にも提供し、業界全体の課題解決を狙うことも予定しています。
データ活用プロジェクトで活躍

デジタル推進本部
業務システム部
ITシステム開発グループ
2チーム
クルカルニ シャラワニ
当社のデジタル推進部門では、インド出身のクルカルニさんがその専門的な知識と幅広い経験を活かし、日々活躍しています。クルカルニさんは2019年にインドのプネ大学を卒業し、2021年に当社へ入社しました。
大学時代に学んだデータベース管理システムなどの知見を活かして、データ活用基盤※のデータ可視化ツール(ビジネス・インテリジェンス)の活用を推進しています。現在はBA事業の業績管理システムのリプレースプロジェクトや、生産システムのデータ連携機能開発に従事するなど、データ活用推進の中心的な役割を担いながら日々多様な業務を遂行しています。
クルカルニさんの視点や斬新なアイデアは、当社のイノベーションを支える重要な要素です。多様な文化背景を持つ社員が協力し合うことで、新しい価値を創造し、グローバル市場での競争力を強化しています。当社は継続してダイバーシティを重視し、多様性を活かした人材戦略を積極的に推進していきます。
※データ活用基盤とは、azbilグループ全体の各種業務データを収集・整理・活用して価値創出を実現するためのデータ基盤です