D.K
Interview
まだ世の中にない製品を市場に
出すことを夢見て、地道な開発サイクルに
向き合う毎日が楽しい。
Interview
まだ世の中にない製品を市場に
出すことを夢見て、地道な開発サイクルに
向き合う毎日が楽しい。

研究開発

D.K
技術開発本部 マイクロデバイス部
MEMS開発グループ
新領域創成科学研究科 物質系専攻 修了
2018年入社
私の仕事

センサの性能向上を目的に、
新たな技術の研究と製品開発に挑んでいます。

アズビルのコア技術は計測と制御ですが、その中で私は、「計測技術」の研究開発を担当しています。具体的には、アズビルが市場に供給しているセンサの性能向上を目的に、新たな技術の研究と製品開発に挑む仕事です。現在の担当業務は大きく2つに分かれています。一つは、お客様からの「こうしたい」という要望に応えるための、既存のセンサ性能のアップデートを目的にしたニーズベースの開発。もう一つが、産業にまだ応用されていない先端技術原理と、アズビルが培ってきたMEMS加工技術の組み合わせにより、既存の性能を超える次世代計測デバイスの創出を目指すシーズベースの開発です。

一つ目のニーズベースの開発での私の担当は、流体の流れを測る流量計の開発です。ひとくちにセンサ開発と言っても仕事は多岐に渡ります。センサを完成させるには、大きく分けて二つの開発要素があります。一つは、心臓部として計測を担う「センサチップ」自体の性能向上です。ここにはMEMS技術を用いた微細な構造設計が欠かせません。そしてもう一つが、そのチップの能力を最大限に引き出すためのパッケージ設計です。例えば、流体を流すための流路設計、流路にセンサチップを取り付ける方法の検討、筐体の材質選定など。求められる仕様を満たすため、解析や現象論に基づく計算から構造設計を導き出し、試作と評価試験に臨みます。そこで見つかった課題を一つひとつ解決し、お客様の要望に合致する製品を届ける仕事です。

センサの性能向上を目的に、新たな技術の研究と製品開発に挑んでいます。
仕事の大変なところ、面白いところ

ひとつの開発がゴールに辿り着いたときの
喜びは、この仕事ならでは、です。

ニーズベースの開発における課題の出発点は、お客様からのさまざまな要望です。例えば現在は、カーボンニュートラル社会の実現に向けた次世代エネルギーへの対応など、新たな計測対象に対してセンサ構造の見直しや材料選定を日々進めています。その他にも「もっと幅広い流量を測りたい」という要望に応えるため、流量レンジの拡大を狙った開発に挑むケースもあります。いかに幅広い流量を安定して測れるようにするか、鍵を握るのは流路の構造設計です。流路を数コンマ数ミリ単位で伸ばすのか、広げるのか、あるいはどの位置にどの程度の傾斜をつけるのか。求められる仕様を満たすために課題を一つひとつ解決していくプロセスに、非常に大きな手応えを感じています。

どんな開発でも常に、複数の角度からの検討が欠かせないのですが、それでもうまくいくとは限りません。「これで大丈夫」と確信して評価に挑んだところ、課題が見つかり開発が最初の工程に戻ることも頻繁にあります。その都度、問題点を明確にし、1年〜2年といった時間をかけて設計・試作・評価の開発サイクルを回し、製品を完成に導いていきます。大変ですが、それ以上に、一つの開発がゴールに辿り着いたときの喜びはこの仕事ならではだと思います。

ひとつの開発がゴールに辿り着いたときの喜びは、この仕事ならでは、です。
思い出深い仕事の経験

先端の物質科学の応用と
アズビルのMEMS技術の融合により、
次世代センサの開発に挑む。

研究開発におけるもう一つの主題であるシーズベースの開発の分野では、これまでのセンサには用いられてこなかった物理現象を応用した次世代センサの開発に挑んでいます。既存の枠組みを超えた超高感度な素子と、アズビルが培ってきたMEMS技術を融合させるという、非常にチャレンジングなテーマです。私自身、大学院で物性物理専攻だったこともあり、新しい材料特性を深く理解してデバイスに応用するプロセスには、当時の学びが直結していると感じています。

まだ研究段階のため詳細はお話しできないのですが、この素子を使えば既存のセンサの限界を遥かに上回る、圧倒的な超高感度を実現できるポテンシャルを秘めています。ただ、ここでも開発の壁は立ちはだかります。

一つは、精度の安定化です。圧倒的な感度を持つがゆえに、わずかなノイズの影響や、センサが過去に受けた影響が残存し出力がブレてしまう特性があり、これをいかに制御し安定させるかが問われます。

そしてもう一つが、製造プロセスにおける「歩留まり」の壁です。このセンサ素子をつくるには、ナノスケールの特殊な成膜技術や極めて精密な微細加工技術が不可欠です。どんなに性能が良くても、安定してつくれなければ製品にはなりません。未知の領域の技術のために試行錯誤の連続ですが、技術的な障壁を一つひとつ突破していくため、日々研究開発に向き合っています。

先端の物質科学の応用とアズビルのMEMS技術の融合により、次世代センサの開発に挑む。
私のこれからの目標

大変さと面白さの両方を行ったり来たりする毎日が、
自分にとっての喜びです。

研究開発というと言葉のイメージは良いかもしれませんが、裏側では地道な努力が欠かせない仕事です。お客様からいただいた課題の解決を目標に開発に挑みますが、ゴールに着いたと思った瞬間に予期しないエラーが何度も起こります。原因を見つけないと前に進めませんから、あらゆる数値をもう一度見直し、ときには世の中に発表されている論文から課題を突破するヒントを探します。こうした活動には、いつも苦労を感じます。その反面、解決策に辿り着いた瞬間の喜びがあります。また、自分で発見した技術で特許を取得できる嬉しさもあります。大変さと面白さの両方を行ったり来たりする毎日が、自分にとって仕事の喜びになっているんだと思います。

この先はやはり、新技術を活用した製品を、将来は自らの手で市場に送り出したいと考えています。具体的には、現在取り組んでいるような新たなアプローチを応用した次世代センサを形にすることです。ただ、特定の技術そのものに固執しているわけではありません。もし今取り組んでいる技術で壁を越えられなかったとしても、別の何かを探して再度チャレンジを繰り返していくだけです。その先にまた、新しい大変さと面白さが待っているんだと思います。

記事及び写真は取材時のものです。