医薬品業界のお客様を対象にした、
製造実行システムのエンジニアリングを担当しています。
私が所属するFAソリューション部は製造現場における課題解決を担当する部署で、主に医薬品業界や食品業界のお客様を対象に製造実行システム(MES|Manufacturing Execution System)を提供しています。私はその中で医薬品製造企業様を担当し、アズビルが医薬品業界向けに開発したMESパッケージソフトウェア「Pharmanage(ファーマネイジ)」のエンジニアリングに従事しています。
お客様の製造現場にPharmanageを導入し、製造ラインの安定稼働の実現とシステムの保守・運用まで担うことが仕事ですが、そこに至るまでには複数の工程があります。仕事のスタートは、お客様の課題のヒアリングです。営業や先輩エンジニアとお客様を訪問し、現在のシステムの課題や、Pharmanageの導入によって実現したいことを詳しくお聞ききします。その後、お客様からいただいた課題を持ち帰り、Pharmanageというパッケージソフトウェアをどのようにカスタマイズすれば、お客様にとって最適なシステムになるかを検討し、作業内容やコストを算出します。その結果、導入が決まれば決定した仕様書に従ってシステムを構築し、お客様へ納品します。また、その後の保守・運用業務では、技術・運用・操作方法など複数のお問い合わせに対応し、ソフトウェア不適合への対応も行なっています。
このように、アズビルのシステムエンジニアは、単にプログラムを書くのではなく、お客様に合ったシステムを設計構築するところまでが仕事なのです。

数百件にも及ぶお客様からの要望を細かく検討し、
システム仕様を定義していく。
Pharmanageの導入にあたり、お客様が抱えている課題はさまざまです。まずはお客様が何に困っているか、ヒアリングを通して詳しくお聞きし、システムの仕様書として形にすることが重要な仕事です。新工場の建設にあたってのシステム導入というケースもありますが、最も多いのは現行の製造実行システムからPharmanageへの切り替えを検討中のケースです。その場合、現在のシステムに不足している機能や、システム切り替え後も現在と同等の使用感を担保できるかといった課題点を一つひとつ洗い出し、最終的にユーザー要求仕様書という形にまとめます。ここには、ときに数百件に及ぶお客様からの要望がずらりとまとめられています。
それらの要望を一つひとつ検討し、解決策を定義するのが私の仕事です。そもそも、Pharmanageの標準仕様で解決できる要望であれば問題ないですが、中にはカスタマイズ対応が必要なもの、対応可能だがコストや時間がかかるもの、対応不可能なもの、検討が必要な事項が山ほどあります。これら一つひとつの要望に対して答えを出していくのは大変な作業です。しかし、ここでの整理が最終的にシステムの仕様書となり、開発コストの土台にもなりますので、気が抜けない作業です。また、こうした地道な積み重ねでシステムがゼロから形になっていく過程を実感できることが、この仕事の面白さでもあります。

社会に安全で高品質な医薬品を提供するために、
重要な役割を果たすシステムを担当する責任感。
そもそも製造実行システムとは、生産管理から製造現場までの一連の情報の流れを管理するシステムとして、ものづくりの現場に欠かせないものです。製造のために必要な、工期・原材料・現場での作業指示といった広範囲に及ぶ情報が、システム上で管理されています。その上で、医薬品製造現場には原材料の受け入れから最終製品の出荷まで厳格な管理基準があります。例えば、万が一製品の不具合が発生したときに原因特定と回収(リコール)を迅速に行うためのトレーサビリティ(追跡可能性)機能などは、医薬品製造における必須項目であり、製造実行システムが果たす役割は非常に大きいと言えます。
社会に安全で高品質な医薬品を提供するために、私が担当するシステムが重要な役割を担っているわけですから、気が抜けません。しかしあるとき、経験不足ゆえのミスをしてしまったことがありました。システムの仕様書を整理してまとめる際に、一部機能の詳細を記入し忘れてしまったのです。幸いにも、システムの構築作業が進行する中で、もともと想定していた機能と製作中システムの機能との差異に気づくことができ、早めに軌道修正をすることができました。自分の経験の浅さや実力不足を痛感し、エンジニアとして成長するための重要な学びとして、この経験を忘れない様にしています。

高い技術力+お客様の課題解決能力、
この2つを併せ持つ人材になりたい。
私がシステムエンジニアを目指したのは、高い技術力とお客様の課題解決能力の2つを併せ持つ人材になりたいという目標があったからです。仕事での経験、また、上司や先輩とコミュニケーションを交わす中で、まだまだ目標とする姿には遠いと実感しています。技術力の向上については今後も勉強の継続が必須です。資格取得などで体系的な知識を増やし、仕事で得た学びを自分のナレッジとして蓄積していく活動を続けていきたいと思っています。
そしてもう一つ、お客様の課題に対する解決能力の向上には、コミュニケーションスキルを磨くことが必須だと考えています。現在、先輩と同行してお客様との打ち合わせに出席していますが、お客様の要望を100%理解できているかと言えば、まだそのレベルではないと思います。お客様の業務を理解して、お客様から聞いた表面的な課題だけでなく、真の業務課題を把握して解決策を提示できるエンジニアを目指しています。私はマレーシア出身で、大学入学と同時に日本に来ました。正直に言えば、お客様とのコミュニケーションの中で会話に苦労することもあります。そんなときに頼りになるのは、周囲の上司や先輩の存在です。私が壁に直面するたびに助力をいただき、不安なく仕事に集中できる環境があります。今後も、数多くの現場を経験して学びを深めていきたいと思っています。
記事及び写真は取材時のものです。