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DX推進機能の強化を目的に新本部を創設

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既存の関連部署を傘下に収めて体制を一本化
DX施策の迅速な実施により変革を加速

新たに発表した中期経営計画において、DX推進を通じた「azbilグループらしい事業モデル」の強化を掲げたアズビルでは、DXの取組みを統合的に担う組織として「デジタル推進本部」を新設しました。既存のIT関連部署をその傘下に位置付け、各部署が連携して迅速かつ柔軟に対応できる体制を整備。統一された方針に基づいて、「攻め」と「守り」のバランスを最適化した施策を、適切な統制下で実行することでazbilグループ全体のDXの取組みを加速させていきます。

3部署を傘下に置く新本部で、DX推進体制の課題を解消

azbilグループが2025年5月に発表した2025~2027年度の3カ年を対象とする「新中期経営計画」では、「azbilグループらしい事業モデル」の強化に向けて、人的資本や商品力の強化を図るとともに、DX*1(デジタルトランスフォーメーション)の推進に関する投資を着実に進め、経営基盤のさらなる強化を継続していく方針が示されています。

この方針に先立ちアズビル株式会社では、2025年4月1日付で「デジタル推進本部」を新たに創設。同本部は、「デジタルそうぞう部」「業務システム部」「サイバーセキュリティ室」を傘下に置き、DX推進の中核機能を集約することで、デジタル活用の取組みを加速させる体制を整えました。

これまでアズビルでは、業務システム部が自社の業務プロセスを支える情報システムの企画や開発、運用・保守を担ってきました。また、サイバーセキュリティ室は、自社の製品・サービスおよび社内の情報システムの安全性を担保するために、セキュリティレベルの向上とビジネスの継続性を支える役割を果たしてきました。

2024年10月にはDX推進体制の強化と事業変革の加速を念頭に、「攻めのDX」を推進する組織としてデジタルそうぞう部を新設。同部署では、社内専用の生成AIチャットサービスの活用推進など、事業成長に直結するDX推進に向けて取り組んできました。

これら3部署はそれぞれ異なる目的や職務分掌があり、ときには方針などの違いから、迅速な課題解決が難しい状況でした。例えば、攻めのDXを担うデジタルそうぞう部の施策が、セキュリティ上の懸念からサイバーセキュリティ室の慎重な姿勢と対立し、両者のすり合わせに時間を要することもありました。

こうした課題を解決するために、デジタル推進本部が3部署を傘下に集約し、連携体制を整えることで効率化を図り、全方位からのDX推進を加速しています。実際に、社内でIT施策などを検討する際に相談・申請を行う「IT相談」窓口については、本部の総合的な管理の下で従来にも増して迅速な対応が可能となり、相談の回答スピードが3倍に向上した例もあります。また2023年8月から利用開始した社内専用の生成AIチャットサービスについては、活用のプロモーションを社内各部門に展開し、その効果もあって社内の90%の人が同サービスを活用するようになりました。

デジタル推進本部の組織体制 デジタル推進本部の組織体制

攻めと守りを両立するDX戦略を三本柱の施策で展開

これらの背景を踏まえて創設されたデジタル推進本部は、新中期経営計画で掲げる「azbilグループらしい事業モデル」の実現に向けて、商品力や人的資本の拡充をDX推進の側面から支える役割を担っています。azbilグループのDXの推進は次の三つの柱で展開されています。

一つ目は、「商品DX、営業DXによる商品・サービスの創造」です。商品DXは、azbilグループが2030年に向けた長期目標における駆動力の一つとして、SDGs目標に掲げている「新オートメーション」領域に資するものであり、商品・サービスの開発、展開を技術の面で支援します。また、営業DXではデジタルマーケティングや顧客管理システムの活用に加えて、リモートサービスやエンジニアリング業務の改革を通じて、顧客から見ても魅力のあるサービスを目指しています。

二つ目は「Fit to Standard*2による業務フローの変革」です。グローバルでベストプラクティスとされる業務プロセスを実装したパッケージを現場に適用することで、azbilグループ全体の業務を効率化・最適化し、生産性の向上を図ります。これにより、各種の法改正や税制改正といった環境変化にも柔軟かつ迅速に対応していくことが可能です。

そして、三つ目は「DXによる事業基盤強化」です。生成AIやデータ活用基盤の整備・強化を通じて、現場で培われた技術や知見の利用活性化を促進し、かつセキュリティ対策レベルの継続的な向上に貢献するための基盤環境を整えています。例えば、現場で作業を行うベテランの技術者から得られた情報をデータ化し、既存の教育資料や技術資料と統合して技術継承のためのデータベースを構築。これを生成AIと連携させ、チャットボット経由で現場の若手社員がノウハウを獲得し、業務に活用していく仕組みを整えています。さらに、現場のサービススタッフのリスクアセスメント業務を支援するAIサービス「生成KY(危険予知)」の提供なども、DXによる事業基盤強化の一環として進めています。

DXによる事業基盤強化を支える施策 DXによる事業基盤強化を支える施策

DX人材の育成と社外との共創によって生まれる価値創造

一連の施策を展開していく上で、人的資本の強化に向けたDX人材の育成も、デジタル推進本部の重要なミッションと位置付けています。そうした人材育成の一環としてアズビルでは、2024年2~3月に自社の538人の社員を対象にDXリテラシーに関するアセスメントを実施しました。その結果、デジタルスキルの高い社員が32%と一般水準を上回る一方で、変革マインドが高い社員は20%にとどまりました。この結果を踏まえ、デジタルスキルの向上に加え、変革マインドの醸成にも注力した人材育成に取り組んでいます。スキル面については、社内の人材育成機関であるアズビル・アカデミーと協力しながら教育プログラムを展開しています。また、経営層によるデジタル推進に対する積極的なプロモーション活動を通じて浸透を図っています。

DXによる事業基盤強化は社内の変革だけがスコープではなく、環境への負荷や労働力不足といった社会課題の解決にもつながる重要な取組みです。azbilグループは、お客さまやパートナー企業をはじめとする社外の皆さまと密接に連携しながらDXを進めていくことで、相互に良い影響を与え合う好循環を生み出し、さらなる価値の創造へとつなげていきたいと考えています。

  • *1:DX(Digital Transformation)
    進化したデジタル技術を浸透させることにより、人々の生活やビジネスモデルをより良いものへと変革すること。
  • *2:Fit to Standard
    システムやソフトウェア導入時に、業務をシステムの標準機能やプロセスに合わせる考え方。カスタマイズを行わず、標準機能を最大限に活用してベストプラクティスを適用することを目的とする。