凍結防止

気温が氷点下になると、水道管や給湯器、空調機などが凍結し、破裂や故障の原因となる恐れがある。そのようなトラブルを防ぐこと。

大型施設の空調設備ではコイルの凍結防止が重要

冬場、外気温が急激に下がると、様々な設備が凍結する恐れがあります。身近なところでは水道管です。水道管が凍ると水が出なくなるだけでなく、水が液体から固体になることで体積が増え、水道管が破裂することもあります。

オフィスビルや病院、学校などの大型施設の場合は、空調設備の凍結が課題です。

大型施設の空調は建物全体を中央で制御しており、外から取り入れた空気をコイル(熱交換器)で温度調節して、各部屋に送っています。こうした空調設備では、設備内の凍結防止対策として、外気温に応じて外気取入れ口に取り付けられているダンパを開閉させて冷気が入り過ぎることを防いだり、ポンプを作動させてコイル内に水を流すことなどが行われています。

ところが、そうした設備面での凍結防止対策が十分だとしても、機器の故障や設備の凍結に関する認識不足による設定などによって設備内が凍結し、深刻なトラブルに発展することもあるのです。

ポンプや制御弁の故障のほか認識不足による凍結トラブルも

空調設備が凍結するとどうなってしまうのか、実例を紹介しましょう。

ある建物では、外気温が一気に下がる夜間に、屋外に設置された空調機のコイルが凍結して破損。夜が明けて気温が上昇すると、コイル内で凍っていた氷が解け、破損した配管から水が流出し、外部に大量の水が漏れ出てしまいました。幸い大きな被害にはなりませんでしたが、水が漏れ出た場所によっては精密機器の破損など被害が広がってしまった可能性もあります。

この凍結トラブルの原因は、コイルに水を流すポンプが故障していたことでした。外気温がかなり下がったとしても、水がしっかりと流れていれば凍りません。しかし、ポンプが正常に動作していなかったために流水量が不足し、コイルが凍って破損したと考えられます。

これまでに起きたトラブルの中には、省エネルギーなどを目的に水の流量を意図的に少なくしたために凍結してしまった事例もあります。また、このほかにも、本来ならば外気ダンパを閉じて冷気の流入を防ぐはずが、ダンパモータが故障し、凍結トラブルが発生したこともあります。

東京や九州でも凍結する突然の寒波の翌朝に注意

水は0 ℃で凍るため、外気温が氷点下になる寒冷地だけ対策をしていればいいように思えます。しかし、東京などの都市部や九州地方でも凍結トラブルが多く発生しています。降雪量の多い寒冷地は不凍液の使用など凍結への備えが十分であるのに対して、そのほかの地域では空調設備の凍結への危機感が薄いことも影響しているのでしょう。

日本で「寒冷地」と呼ばれる地域は、最も寒い月の日平均気温が0 ℃以下になる北海道、東北のほか、信越、関東、東海、中国地方の山間部も含まれます。そのほかの地域では、九州と四国、太平洋側の一部を除くエリアが、最も寒い月の日最低気温平均が0 ℃以下になる「準寒冷地」です。このようにほぼ日本全土が「寒冷地」「準寒冷地」になるのですから、凍結に対する備えは必須だといえます。

例年はそれほど寒くならない地域でも、突然の寒波に襲われることもあります。特に、寒波が襲った翌日の明け方、最も外気温が下がった時間帯に、空調機のコイルの凍結トラブルが発生しています。1年を通して見てみると、12月から2月の発生件数が特に多いのですが、気象状況に応じて、11月から5月ごろまで凍結トラブルが起きる可能性があり、気温の変化には注意が必要です。

このような空調設備の凍結トラブルを回避するには、凍結防止システムを正しく動作させることが重要です。まずは、外気ダンパやポンプ、電気ヒーターなどの定期メンテナンスを行い、故障した機器類を放置せず、速やかに修理すること。そして、寒冷地ではないとしても、推奨値に合わせて空調設備を制御することが大切です。

ビル空調設備の凍結トラブルの復旧には、費用と時間がかかります。凍結防止対策を見直し、最も寒くなる時期に備えておきましょう。


この記事は2017年12月に掲載されたものです。