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微粒化(アトマイゼーション)

液体が表面張力によって自ら丸まろうとする性質を利用して、気体中へ高速で噴出した液体を微粒子レベルの大きさで均一の霧状に変化させること。

均一化し、量を少なくする微粒化(アトマイゼーション)技術

今春、中国で発生した大気汚染の原因物質といわれる「PM2.5」が日本の各地に飛来し、大きな社会問題になりました。PM2.5は、直径2.5μm(マイクロメーター)※以下の小さな微粒子状物質の総称で、自動車の排ガスや工場のばい煙などに多く含まれているといわれています。非常に小さいため、人間の体内に入り込むと、気管や肺の奥まで到達し、悪影響を及ぼすことが懸念されています。

このように大気中の微粒子は健康に悪影響を及ぼす厄介者なのですが、実は微粒子には、環境の保護や産業の発展に大きく貢献しているものもあります。そんな役に立つ微粒子を人工的に作り出す技術が「微粒化(アトマイゼーション)」です。

微粒化は、液体が表面張力によって自ら丸まろうとする性質を利用します。ノズルや回転円盤などを使って液体を気体中に高速で噴出すると、表面張力により均一の大きさの霧状になるのです。この技術では様々な微粒子を作り出すことができますが、微粒子の大きさによってその呼び名が 変わることがあります。例えば、機械産業の業界では、粒径がやや大きいものを「ミスト」、数μmのものを「フォグ」、フォグより小さいものを「ヒューム」という具合です。

微粒化は、不揃いな物を均一にしたい、使用する液体の量を減らしたいといったニーズに適した技術です。インスタントコーヒーのような粒状食品を均一に作ったり、水、農薬、消火剤などを効率的に散布できたりするのです。さらにはスプレー美顔器など、微粒化技術は、様々な分野で 活用されています。

特に、自動車業界では欠かせない技術で、燃料の気化や駆動部への潤滑油の噴霧、塗料の吹きつけなどにも使われています。とりわけ、エンジンにおいては微粒化特性が重要とされています。微粒化される燃料の粒径が大きいと、燃費効率が悪くなり、すすが増えて、大気汚染の原因となっ てしまいます。そのため、日本の自動車メーカーは、古くから燃料の粒径を小さくする取組みを積極的に進めてきました。

将来は旅客機のエンジンにも搭載!?微粒化を利用した噴霧潤滑

工場などにおける「噴ふんむじゅんかつ霧潤滑」も、微粒化によって大幅なエネルギー効率の改善を達成した技術です。これは、高速で回転 する機械駆動部のベアリングなどに微粒化した潤滑油を噴霧するもので、機械の運転効率を高め、消費エネルギーを削減し、さらには機械の寿命を延ばすなどの利点があります。

この噴霧潤滑では、噴霧するフォグの大きさをいかに小さくし、均一化するかが一つのポイントです。これを実現するため、ノズルの形状や噴霧圧力の調整などの試行錯誤が繰り返されてきています。

さらに重要なポイントが、潤滑油の量をいかに少なくし油膜を薄くするかですが、これは何よりも難しい課題でもあります。潤滑油を少なくすれば油膜は薄くなることで機械の動作は軽やかになるものの、小さすぎると摩擦によって機械が焼けてしまう危険が生じます。一方、潤滑油が多いと 油膜が厚くなることで機械の動作が重くなり、エネルギー効率が低下してしまいます。

多すぎても少なすぎても良くないというこのバランスは、人体内のコレステロールの存在に似ています。体内のコレステロールは、多すぎると健康に悪影響を及ぼしますが、一方で細胞膜やホルモンを構成する重要な成分でもあるので、少なすぎても不都合が生じてしまうからです。ちなみに、現在は潤滑油を必要とする機械部品側の精度も上がってきており、必要とされる油膜の厚さは薄くなる傾向にあります。機械を効率的に稼働させるのに、かつては1μm程度の油膜を必要としていたのが、現在では10分の数μm程度で足りるようになっているのです。

この噴霧潤滑は、これまで鉄の塊を鉄板に加工する圧延機、糸を紡ぐための繊維機械など主に製造現場で利用されてきました。しかし今後は、旅客機のジェットエンジンや電車の車両といった工場以外での利用にも期待がかかっています。実現するには、メンテナンスの手間、装置の小型 化などの課題を解決しなければなりませんが、実用化が進めば、さらに産業を発展させられるのはもちろんのこと、地球環境にもやさしい技術なのです。

※ 1μmは1mmの1,000分の1

この記事は2013年08月に掲載されたものです。