熱量調整

都市ガスの製造過程において、供給するガスを使用者との供給契約にのっとった熱量に調整すること。都市ガスの原料であるLNGなどの天然ガスは、産地によって熱量が異なるため、供給契約に定められたガスグループとなるよう調整される。

ガス器具を使うときには適合するガスグループを確認

ガスコンロや給湯器、暖房器具など、私たちの生活の中では、様々なガス器具が使われています。これらのガス器具には、「都市ガス用 13A」といったシールが貼られています。これが何を意味するのか、ご存じでしょうか。

これは、そのガス器具に適合性のある都市ガスのガスグループを示しています。都市ガスは、熱量(一定量の燃料を燃やしたときに得られる発熱量)や燃焼速度などによって7グループに分類されます。現在、国内で供給されている都市ガスのほとんどは「13A」というガスグループに区分されます(一部の地域では「12A」が供給されています)。

都市ガスの原料の約9割は天然ガスですが、天然ガスの熱量は一定ではありません。天然ガスのほとんどは液化天然ガス(LNG:Liquefied Natural Gas)として、オーストラリア、カタール、マレーシアなど海外から輸入されていますが、産地によって成分が異なっているためです。

LNGに含まれる成分は、メタンを主に、エタン、プロパン、ブタンなどです。組成(各成分がどれくらい含まれているか)によって、比重や燃焼速度といったガスの特性は変わり、熱量も異なります。そこで各ガス事業者は、供給する都市ガスがガスグループごとに規定された熱量に適合するよう、「熱量調整」を行っているのです。

都市ガス供給のために、どのような熱量調整が必要か

では、どのような熱量調整をするのでしょうか。

一般的には、熱量を高める調整を行います。所定の熱量になるよう天然ガスの主成分であるメタンよりも熱量の高い液化石油ガス(LPG:Liquefied Petroleum Gas)を混ぜることにより実施されます。

天然ガスは気体状態で採掘されますが、大気圧下でマイナス162℃に冷却されると液化し、体積は600分の1まで小さくなり輸送効率が向上します。気体状態に比較して大量に運べるようになったLNGを、LNGタンカーと呼ばれる大型船で海外からLNG基地まで運び、タンクに貯蔵します。需要に応じてLNGを、海水などを使って温めることにより再び気化させます。

現在の熱量調整方式は、気化させたLNGにLPGを混ぜる「液ーガス熱量調整方式」、あるいは、気化させる前のLNGにLPGを混合する「液ー液熱量調整方式」が主流です。

その後、製造過程では、万一ガスが漏れても感知できるようにガスに臭いを付ける「付臭」という工程を経て、都市ガスとして供給されます。

都市ガスを安全に使うために熱量調整が行われる

熱量調整が必要なのは、使用者がガスを安全に使えるようにするためです。

国内では、基本的に13A、または13A・12A両用のガス器具が販売されています。もしもガスグループに合っていないガス器具を使用した場合、様々な保安上のトラブルが起こるリスクがあります。

例えばガスコンロの場合、ガスグループに適合した器具を使っていれば、ガスはきちんと燃焼(完全燃焼)し、青い炎になります。ところが、適合していない器具を使っていると、オレンジや黄色など、青色ではない炎が出ることがあります。これはガスの不完全燃焼によるもので、器具からのガスの噴出速度と、ガスの燃焼速度が合致していないときに起こります。

きちんと燃焼しなかったガスからは有毒な一酸化炭素が発生し、一酸化炭素中毒の原因となります。また、炎が浮き上がったり、逆に戻ったりすることがあり、これらが火災につながる可能性もあります。このような危険を避け、ガス器具を安全に使うためには熱量調整が欠かせません。

また、ガス料金を算定する基準を満たすためにも熱量調整は必要です。各ガス事業者は使用されたガスの体積で料金を算定しており、基準となる1m3当たりの熱量や、成分、圧力、燃焼速度などを供給条件として、ガス使用者と供給契約を結んでいます。そういった供給条件に合うよう熱量調整が行われ、ガス使用量からガス料金が計算されているのです。

このように熱量調整は、保安と料金算定の観点でとても大切な工程なのです。


この記事は2018年10月に掲載されたものです。