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キャビテーション

液体の流れの中で圧力降下によって発生した蒸気泡が、圧力回復によりつぶれて、再び液体に戻る一連の現象。

流れる液体に発生する衝撃波やマイクロジェットが、配管やバルブ・ポンプなどを破壊する

 「キャビテーション」とは、水や石油など液体の流れの中で蒸気の細かい泡(蒸気泡)が発生して、それがつぶれて再度液体に戻るという一連の現象のことです。この現象が起きると衝撃波や局所的に強いマイクロジェットが発生して、液体が通る管路に振動や異音が発生したり、管路となる配管やそこに設置されたバルブ・ポンプなどと液体との接触面が、徐々に疲労破壊(壊食)されるといった問題が発生します。

キャビテーションは液体の流れの中で、場所によって圧力が変化することが原因で起きます。なぜ、圧力の変化で蒸気泡が生じるのでしょうか? それは、圧力の変化により液体の沸点が下がるからです。

水の場合、大気圧下では100℃で沸騰して泡が激しく発生し始めます。この温度を沸点といい、水が液体から気体に激しく変化する境界の温度のため、蒸気泡が発生するのです。

沸点は、気圧が低くなると低下し、低い温度で沸騰するようになります。よく知られているのが、高い山に登ると気圧が下がって沸点が下がる現象です。例えば、富士山の山頂では水の沸点は87℃ぐらいになります。逆に調理用の圧力鍋は、鍋を密封して内部圧を2~3気圧に高くすることで、沸点を120~130℃ぐらいに高めているのです。

液体の圧力が急激に変化することでキャビテーションが起こりやすくなります。それが顕著に起こる場所に、工場や発電所の配管内があります。工場の配管内では通常、高圧の液体が流れています。家庭用の水道管だと水にかかる圧力は大気圧の2倍、つまり2気圧程度なのですが、工場や発電所では、液体を効率よく搬送し、高差圧でタービンを高速回転させたりするため、配管内の液体に数十から数百気圧という大きな圧力をかけて移送しているのです。この液体の圧力が、所々で急激に低下することでキャビテーションが発生します。キャビテーションが発生しやすい箇所の一つが、配管内の圧力や流量を調整するために使用されるバルブを使っている場所です。バルブを閉じて液体通路断面積を狭くすることで、配管内を流れる液体が加速されます。液体には“流速が高くなると圧力が低下する”というエネルギーの法則があるため、そこでは沸点が下がり液体が気化して蒸気泡が生じるのです。バルブで乱れた流れによってできた渦の中心部分などでも、圧力変化によりキャビテーション蒸気泡が発生します。キャビテーションで生じる泡は、ごく小さなものでも、大きなエネルギーを含んでいる場合があります。理論計算によると、1μm(マイクロ メートル=0.001mm)の大きさの泡がつぶれる際に、90気圧の圧力と約570℃の高温が局所的に発生します。連続して大きなエネルギーを含む無数の蒸気泡を浴び続けるため、バルブの中のステンレス製の硬いプラグ(弁栓)でも、10時間ほどでボロボロになる場合があるのです

キャビテーションによる損傷を防ぐ工夫と知る技術

このように多数の蒸気泡が常時発生している状態が長時間続くと、バルブの壊食が進み、圧力・流量の正確な制御ができなくなることで、工場などで生産される製品の品質などに問題が生じます。やがてバルブを閉めて液体を止めることすらできなくなったり、最終的には配管などが圧力に耐えきれずに破壊する状態にもつながりかねません。

バルブや配管の壊食状態は、損傷が壁内部で起きるため、外部から目で見て確認できないのが難点です。かつては損傷の度合いをわずかな音から耳で判断するという熟練技術者もいましたが、省人化や合理化が進んでそれも難しくなりつつあります。

とはいえバルブや配管の交換には工場の稼働停止が必要になるため、安全な範囲でできるだけ長く使い続けられることに越したことはありません。そこで、キャビテーションによる損傷を防ぐ工夫として、壊れにくい材質のプラグを使ったり、多段階構造として圧力変化を小さくするバル ブを使ったりする方法があります。また最近は、バルブの診断機能を持つポジショナを組み付け、デジタル通信によりバルブの状態を監視できるメンテナンスサポートシステムの導入や、現場でレコーダーに録音した異音の解析など、IT技術によって交換時期を判断する手法も導入されているのです。

この記事は2014年02月に掲載されたものです。