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エフ・エル・エヌ・ジー

「浮体式液化天然ガス」の略。洋上において天然ガスを液化するための設備全般を指す。

天然ガスの液化プラントを「陸上」から「洋上」へ

ここ数年、「FLNG」という用語をよく耳にするようになりました。これは「浮体式液化天然ガス(Floating Liquefied Natural Gas)」の略で、洋上における天然ガスの液化設備および再ガス化設備全般を指します。また、洋上において天然ガスの液化・貯蔵・搬出を行うLNG-FPSO(Floating Production, Storage and Off-loading system:浮体式海洋生産貯蔵積出設備)を指すこともあります。

これまで、海底の天然ガスの供給は、まず「洋上」に建設された固定式の採取施設からパイプラインで「陸上」の精製・液化工場へ送り、LNGへと加工。次にLNG運搬船で需要国のガスターミナルへ輸送し、再ガス化・製品化した上で、消費者の元へ届けるというプロセスで行われていました。

しかし、洋上で採取したものを一度陸上に揚げて処理した後、また洋上(LNG運搬船)に運び出すというのは非効率的であり、精製・液化工場の建設地を最寄りの陸上のどこかに見つけ出さなければならないという点からも柔軟性を欠いています。そこで、天然ガスの採取から液化・貯蔵までの一連のプロセスを洋上に浮かべた施設に集約し、LNG運搬船に直接積み込むことによって、生産全体の効率化を図ろうというコンセプトが生まれました。それがFLNGです。

技術革新が実用化を加速

実は、FLNGの基礎となる浮体式施設のコンセプトは、原油採掘・石油生産を対象に30年ほど前に打ち出されていました。 本格的には1980年代から1000m以上の大水深開発を目指して数多くの研究開発とコストダウンが実施され、石油生産の現場では1990年代には実現され始めていました。いち早く実現された理由は、石油の生産プロセスそのものがシンプルであり、低コストで設備を構築できたことにあります。FLNGの場合は、精製・液化・貯蔵・搬出の各プロセスで技術的に難しい点がいくつもあり、つい数年前まで実現することができませんでした。

なかでも難しかったのが液化のプロセスです。メタンを液化するためにマイナス162℃の超低温にする必要がありますが、その厳しい環境下で、バルブなどの部品や設備を安全に機能させなければなりません。また、精製のプロセスでは、硫黄酸化物や硫化水素、窒素などを除去したり、エタンやプロパンなどのガスを分離したりする必要があります。

これらの処理に必要となる電源設備などの様々なユーティリティもコンパクトかつ効率的でなければなりませんし、貯蔵タンクについても、タンク内のLNGが船体の揺れによってLNGタンク隔壁に衝突して隔壁を破壊し最悪の場合、LNG流出、引火、爆発する危険を回避するための安全性、信頼性が求められていました。

こうした課題も、ここ最近の技術革新によって、クリアされつつあります。既にオーストラリアの海上ガス田で2017年の生産開始に向けて年産360万トン規模の本格的なFLNGプロジェクトが始動しているほか、ブラジルやマレーシアなどの世界各地でプロジェクトが進行しています。FLNGは今後、エネルギー供給を担う主要な柱として位置づけられるようになるでしょう。

主要なエネルギー供給源として有望視

近年、このFLNGに注目が集まっている背景には、資源の開発や生産技術の進歩による天然ガスの可採埋蔵量の増加と需要の拡大があります。

2011年に、IEA(国際エネルギー機関)は、シェールガス(技術的な問題で開発が難しかった泥岩層=シェールから採取する天然ガス)などの非在来型ガスを含めた天然ガスの可採年数が250年を超えると発表しました。これまで可採年数は六十数年と考えられていましたので、はるかに多くの天然ガスが地下に眠っていたわけです。IEAは、天然ガスの需要が今後も拡大を続けると予想しており、2035年には2008年のおよそ1.5倍に拡大すると見込んでいます。

このように今後の主要なエネルギー資源として有望視されている天然ガスですが、陸上で本格的に採取できるのは北米とロシアなどの一部地域のみ。そのほとんどは、中東、大西洋、太平洋の海底に眠っているといわれています。こうしたことからFLNGが注目されているのです。


※可採年数
2011年現在の技術と経済状況を前提に、確認可採埋蔵量を年間生産量で割った年数。

この記事は2012年10月に掲載されたものです。