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光センシング

光の持つ多様な性質を利用して、対象物の様々な状態をセンサにより計測する技術。社会の広範な領域に深く浸透している。

光を利用して対象物に触れることなく計測

我々の日常にあふれている光。その多様な性質を利用して、対象物の様々な状態を計測するのが「光センシング」技術です。光は波としての性質と、粒子としての性質を併せ持っているとされ、光センシングでは主に波としての性質を活用しています。人の目に見える、波長400~700nm(ナノメートル)の可視光に加え、目には見えない紫外線領域から赤外線領域、具体的には100nm~1mmの波長の光を光センサで捉えることで計測します。

対象物に触れることなく計測できるのが最大のメリットです。センサ機器の設置や人の立ち入りが困難な過酷な環境、例えば工業炉や焼却炉内などの高温下や、半導体製造工程のような真空状態の空間などでの計測をガラス越しに行うことが可能です。さらに、計測機器などの接触によって、形が崩れてしまうような軟らかい物質や、容易に温度変化を引き起こしてしまう物質の計測にも、非接触による光センシングは大変有効です。

光センシングで利用される光の性質としては、反射や透過、屈折、干渉、偏光、吸収、蛍光などが挙げられます。そのほかにも、光の伝搬にかかわる時間(TOF:Time Of Flight)や、対象物の移動によりセンサとの間に生じる光の波の周波数変化(ドップラー効果)なども計測に用いられます。また、光センシングによって測定が可能となる対象物の状態としては、物体自体の有無や距離、変位、振動、速度、内部構造などがあり、対象が液体や気体の場合にはその濃度を測ることも可能です。

我々の身近で急速に広がる、光センシング技術の適用

では、身近な光センシングの例を紹介しましょう。代表的なものが自動ドアです。以前はドアの前に敷いたマットの下にスイッチを仕込み、人がその上に乗った重みで開く仕組みでした。現在ではドア近辺に赤外線を照射し、反射や透過の変化量を光センサで捉え、所定の範囲内に人が入ってきたことや、いなくなったことを検知して、ドアを開閉する仕組みが一般的です。

また、光の屈折を利用した計器として糖度計があります。コップの中の水にストローを入れると、水に浸っている部分のストローが曲がって見えます。これが光の屈折であり、コップの水に砂糖を加えると、ストローはさらに曲がって見えます。つまり、糖度が高いほど、光はより大きく屈折するのです。糖度計はこの原理を応用しており、採取した果物の果汁サンプルを投入して、光の屈折率を検出し、糖度(甘み)を計測します。今日では農家や農協でも広く利用されています。

一方、気体などは種類によって、特定の波長を吸収する性質を持ちます。CO2(二酸化炭素)なら、赤外線領域の波長4.26μm(マイクロメートル)の光を吸収します。つまり、空間に光を照射して、4.26μmの波長帯域がどれだけ吸収されているかを調べれば、CO2濃度を測ることができるのです。ビルの室内や駐車場などで利用されているCO2センサには、こうしたメカニズムが採用されています。

また、最近では自動車の走行にかかわる安全対策として、各自動車メーカーでは自動運転の実用化を進めており、そこで採用されているレーザーレーダーによる対象物検知の仕組みなども、光センシング技術適用の好例です。そのほかにも、医療分野では患者の体内組織の構造を検査する機器において、光センシングが近年活用されています。

光センシング技術は常に進化を遂げながら、我々の暮らしや社会活動の広範な領域に急速に浸透しています。今後、さらに光センサや周辺回路の集積化が進み、小型化が実現すれば、既に光センシングの活用が盛んなスマートフォンやウェアラブル機器にも、より高度な機能性がもたらされる可能性もあります。昨今、大きな注目を浴びているIoT(Internet of Things)の分野では、インターネットなどの通信技術を用いて診療を行う遠隔医療などの取組みの中で、心拍数を計測する技術として光学式心拍センサが既に実用化されています。IoTの領域にも新たな価値創造の可能性を開く技術として、光センシングへの期待が高まっています。


この記事は2017年08月に掲載されたものです。