RPA

ソフトウェアロボットによる業務自動化のこと。主にデータの転記や集計などのパソコン上の定型作業に適用すると効果が高い。

金融業界を中心に定型業務の自動化が加速

製造の現場ではロボットによる自動化(ファクトリーオートメーション)が進み、今では無人でものづくりをしている工場もあります。1980年代以降は、一般のオフィスでもコンピュータを使ったオフィスオートメーションが広がりました。書類や帳簿の作成はコンピュータ上のソフトで行われるようになり、手書き作業から解放されるなど、オフィスの様子は一変しました。

しかし、オフィスオートメーションが広がったといっても、データ入力などの人手を必要とする作業は依然としてなくなりません。それどころか、ITの進歩に伴って新しい業務が生まれたことで、扱うデータ量が増加し、関連する作業も増えているのが現状です。

このように人が行っているパソコンでの定型作業を自動化するのが「RPA(Robotic Process Automation)」です。ロボットという言葉が使われてはいますが、ロボットアームや人型ロボットなど実際に形のあるロボットがパソコンを操作するわけではありません。コンピュータ上で動くソフトウェアロボット(以降botと呼ぶ)が、代わりに作業をしてくれるのです。RPAはDigital Labor(仮想知的労働者)とも呼ばれています。

RPAの活用は定型作業の効率化、人為的ミスの低減につながります。botが作業している間、人は別の作業を行うことができます。しかも、botは人のように疲れたり、ミスをしたりすることはなく、一日中休まず作業させることも可能です。

RPAの導入が特に進んでいるのが銀行です。銀行における定型業務は、本店でも支店でも同じシステムを利用したものが多く、一つの業務を自動化すれば一気に全国規模で作業効率を高めることができます。同様の理由から、銀行に限らず、証券や保険などの金融業界では積極的に導入が進められています。

このように急速に普及し始めたRPAですが、事務系業務の中でも、適用しやすい作業と適用しにくい作業があります。

適用しやすい作業は、データの転記や集計などの定型作業です。例えば、表計算ソフトで作成された申請書から必要事項をシステムに入力する、複数のWebサイトやシステムからデータを取り出して表を作成するといった複雑な手順の作業も自動化することができます。また、システムに対して大量のファイルをダウンロード/アップロードするといった煩わしい繰返し作業や、交通費を精算するといった不定期に数多く発生する作業もRPAが得意とするところです。

対して、状況に応じた判断が求められる場合やコンプライアンスにかかわるような承認作業の場合はRPAには向きません。状況に応じた判断のような柔軟な対応は今のところ人でないとできませんが、将来的にはAI(人工知能)と組み合わせて、人の判断を必要とするような作業の一部も自動化できるようになると考えられています。

定型作業が減った時間をより創造的な仕事に充てる

現状、RPAは専用のソフトを使ってbotを作成します。一度作成すれば、以降はbotがその作業を繰り返し実行することができます。例えば、特定のWeb画面にデータベースのデータを転記する場合、表示したいWebサイトのURLやID、パスワードを入力する、データベースで必要な行だけを選択して転記する、といった一つひとつの作業をbotに覚えさせていきます。ある程度のトレーニングは必要ですが、プログラミングの知識がない人でもbotの作成ができるようになっています。

業務を自動化するとき、RPAツールの使い方以上に重要なのが「業務の洗出し」です。日々の業務の中には何げなく進めているものもあり、同じ作業でも人によってやり方が違うことがあります。しかし、RPAを進める上では、作業を可視化することで業務フローを整理する、無駄な作業を見つける、業務の属人化を避け、きちんとしたマニュアルを作ることなどが欠かせません。もしbotに間違ったことを覚えさせてしまえば、botは教えられたとおりの間違った作業しかできず、人のように機転を利かせることはできません。また、もしbotが動かなくなったときには人がその業務をできるように備えておかなければなりません。そのため、業務フローの整理やマニュアルの準備が重要なのです。

RPAの導入で定型作業を自動化することは、国が推進する「働き方改革」につながるとされています。労働力人口が減少する中では生産性向上が不可欠です。RPAにより、労働力不足を補いながら、人が行う業務の中から定型作業を減らし、より創造的な業務を増やすことが目指されています。

業務を効率化することでプライベートな時間に余裕が生まれれば、仕事以外の学習や趣味、家族と過ごす時間に充てることもできます。そのようにして一人ひとりが充実した時間を過ごし、新しいアイデアが生まれやすい土壌をつくる。RPAのbotは、そんな働き方を実現するための心強いアシスタント役になってくれそうです。


この記事は2019年04月に掲載されたものです。