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カーボンプライシング

地球温暖化の主な原因となるCO2(二酸化炭素:カーボン)の排出削減を促進するため、カーボンに価格付けをすることで、企業や家庭などにおける削減効果を可視化すること。さらにはその削減分を金銭的に取引することもできるため、抑制の動機付けにつながりやすい。

「CO2に価格を付ける」ことで温室効果ガス排出削減を促す

自然環境や人々の暮らしに様々な影響を及ぼしている地球温暖化は、世界共通の切実な課題です。その主な要因は、18世紀の産業革命以降、石炭、石油などの化石燃料の使用が増え、CO2(二酸化炭素:カーボン)やメタン、フロンなど温室効果ガス(GHG)*1の大気中濃度が急激に高まったことだと見なされています。

そうした観点に立ち、1995年から温室効果ガス排出削減策などを協議する国際的な会議、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)が開催されるようになりました。2015年に行われたCOP21では「パリ協定」が採択され、参加各国は、産業革命前から今世紀末までの地球の平均気温の上昇を2℃より十分低く保つとともに、1.5 ℃以下に抑えるよう努力するという合意の下、国ごとの温室効果ガス排出削減にかかわる長期目標を策定しています。

このように、世界規模で温室効果ガス排出削減を促す取組みが行われる中で導入が進んでいるのが「カーボンプライシング」です。これは、主要な温室効果ガスである「CO2(カーボン)」に「価格を付ける(プライシング)」ことで、目に見えないCO2の排出量を可視化し、我々が快適な暮らしをする上でどうしても出てしまうCO2の排出削減に役立てようというものです。


燃料や電気の利用によって生じるCO2の排出量に応じて課される税金

カーボンプライシングの考え方に基づく制度実装の方法としては、一般に大きく二つが挙げられます。一つは「炭素税」で、燃料や電気の利用などによりCO2を排出した企業に対して、その排出量に応じた課税を行うというものです。

我が国でも、この炭素税に相当する課税制度が運用されています。その一つが、2003年から導入されている「石油石炭税」です。原油および輸入石油製品、液化石油ガス(LPG)、液化天然ガス(LNG)を含むガス状炭化水素、石炭に対して課されるもので、品目ごとにCO2排出量1トン当たりの税率が設定されています。

そのほか、私たちの生活における身近なところでも、炭素税に相当する賦課金が発生しています。自動車などの燃料であるガソリンに課される「ガソリン税」(揮発油税、地方揮発油税)もその一つ。さらにいえば、月々支払う電気使用料金にも「再生可能エネルギー発電促進賦課金」(FIT賦課金)というものが含まれています。これは、太陽光や風力など再生可能エネルギーで発電した電気を、国が定める価格で一定期間、電気事業者が買い取ることを義務付けた「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT法)」に依拠したもの。その買取り費用を国民全員で負担しているのです。

CO2排出量削減プロジェクトの成果をクレジットとして市場で販売

一方、カーボンプライシングへのもう一つのアプローチが「排出量取引」です。その実施方法として我が国で進めている「ベースライン&クレジット」方式は、CO2排出削減への取組みに対し、その実施前と実施後の排出量の差分を取引可能なクレジットとするものです。過去のCO2排出量などから「削減プロジェクトを実施しなかった場合」の排出量を推定して算出しベースラインとして設定。削減に取り組んだ結果、ベースラインを下回った分をクレジットとして市場で取引することができます。例えば、年間2000トンのCO2を排出するシステムを、省エネプロジェクトによって排出量を1800トンに削減できた場合、200トン分をクレジットとして取引できるようになるということです。このとき、削減分をクレジットとするには、第三者機関による認証が必要です。国が主導するのが、J-クレジット制度や二国間クレジット制度。そのほか民間セクターや非政府組織(NGO)などが主導するボランタリークレジットも想定されています。

また、経済産業省ではカーボンプライシングが中長期的に機能するための基盤として、新たに「カーボンニュートラル・トップリーグ」および「カーボン・クレジット市場」の創設も検討しています。「カーボンニュートラル・トップリーグ」は、参加企業がそれぞれ自主的にCO2排出削減目標を定め、脱炭素対策に参加していく枠組みです。企業は、自ら定めた目標を超過した削減分を、国内外の質の高いクレジットを取引することができる「カーボン・クレジット市場」で売買できるようにするという構想になっています。

このように、カーボンプライシングは、私たちが環境問題に向き合い、成果を収めたことに対し、利益という形で“ご褒美”を与えてくれる、極めて経済合理性の高いコンセプトです。排出抑制の動機付けにつながる仕組みとして、今後もさらなる施策の展開が期待されています。

*1: 温室効果ガス(GHG)
大気圏にあって、地表から放射された赤外線の一部を吸収することにより、温室効果をもたらす気体の総称。


この記事は2022年01月に掲載されたものです。