検定満期

水道やガス、電気などのメーターで、計量法で定められた「有効期限」が満了する期日のこと。メーターの所有者は、検定満期までに新しいメーターに交換する必要がある。

マンガ:湯鳥ひよ/ad-manga.com

水道メーターは特定計量器検定に合格したものしか使うことができない

例えばガソリンスタンドで車に給油をしたとき、1リットル入れたはずなのに、実は0.9リットルしか入っていなかったら、1リットル分の料金を払ったドライバーは損をしてしまいます。逆に、1.1リットル入ってしまったら、ガソリンスタンドが損をしてしまいます。

このように、モノの長さや重さなどを測って取引するとき、計測する量が正しくないと不公平が生じます。身近にある水道やガス、電気などの使用量を測るメーターも、正確さを要求される計量器の一種です。

水道やガスなどのメーターの数値は、料金を決める重要なものです。このメーターのように料金取引に使う計量器を「計量法」という法律で「特定計量器」と呼びます。特定計量器は、正しい量が測定できることを確認する「検定」を受けて合格していなければなりません。一つひとつ試験をして、合格印を与えられたものだけが実際に使われているのです。

合格したメーターは、一定の基準内で正しく水道やガス、電気の使用量を測ることができます。メーターに表示された数値に従って、公平に料金を請求・支払いができるのは検定に合格したメーターを使っているからです。

しかし、検定に合格したメーターであっても、長く使っているうちに計量性能に影響を受ける場合があります。例えば、水道メーターは、メーター本体内部に取り付けられた羽根車の回転で水の使用量を測っていますが、羽根車は長年にわたって回転しているうちに軸・軸受部が摩擦ですり減ったり、水あかが付着したりすることがあります。すると、同じ量の水が流れても回転速度が微妙に変化し、計量値に誤差が生じてしまうため、料金の公平性が保てなくなってしまいます。

計量の誤差が大きくなる前に定期的な交換を義務付け

そこで、「特定計量器」には有効期限が設けられています。例えば、水道メーターは8年、家庭用のガスメーターや電力量計は10年といった具合です。メーターをよく見てみると、有効期限の年月を示したシールが貼られていることが分かります。

この有効期限が来ることを「検定満期」と言います。実は、検定満期を過ぎてメーターを使い続けることは法律違反になり、「6カ月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金に処し、またはこれを併科する」といった罰則があります。メーターの所有者は、有効期限が切れる前に新しいメーターに交換する義務があるのです。

自動車には、自動車検査登録制度に基づいて定期的に検査を受けなければならない「車検」というシステムがあります。車検が切れた自動車で公道を走ると道路交通法違反になりますが、同じように有効期限が切れたメーターも使うことはできないのです。

では、メーターは誰が交換するのでしょうか。それぞれのメーターには所有者がいます。この所有者が、メーターを管理して、定期的に交換をすることになるのです。

水道メーターの場合では水道局が所有者であることが多いです。都市ガスやプロパンガスのメーターは、多くの場合はガス会社が所有者です。つまり、水道やガスを利用している私たちは、水道局やガス会社が所有するメーターが自宅に取り付けられており、それを利用していることになり ます。このことは水道代、ガス代の明細書に「メーター使用料」といった項目が含まれていることからも分かります。私たちの家に設置されているメーターは、その所有者である水道局やガス会社が検定満期を把握しており、実は私たちが気にしていなくても適切にメーター交換が行われているのです。

ちなみに、一部の集合住宅やテナントビルでは各室・テナントの使用量に応じて料金を配分するため大本の水道局のメーター(親メーター)とは別に私設メーター(子メーター)を所有している場合があります。この場合のメーターの所有者はマンションの管理組合やテナントビルのオー ナーになるため、管理組合やオーナーがメーターの交換をしなければなりません。

サービスを利用するすべての人が、検定を受けたメーターの有効期限を守って使うことで料金の公平性が守られます。「検定満期」は、料金の公平性を支える重要な仕組みなのです。


この記事は2014年06月に掲載されたものです。