HOME > アズビルについて > 会社PR > azbil MIND > IoT化を推進するLPガス用メーターを開発

IoT化を推進するLPガス用メーターを開発

― クラウドサービスと併せて提供し、ガス事業者のデータ活用ニーズに応える ―

国内のガスメーター市場をパイオニア的存在として常に牽引してきたアズビル金門では、IoTの時代の到来を見据えて、LPWAなど様々な無線方式に対応した通信モジュールを搭載する新型のLPガス用膜式スマートメーター K-SMαを開発しました。クラウドサービスと併せて提供することで、ガス事業者の各種業務の効率化や、より高付加価値なデータ活用を支援していきます。

スマートメーターの提供により、すべてのメーターのIoT化を目指す

「人々のいきいきとした暮らし」に貢献することを目指して、azbilグループが展開するライフオートメーション事業。建物分野のビルディングオートメーション事業、工業分野のアドバンスオートメーション事業と並ぶ、第3の事業の柱に位置付けられています。2005年からazbilグループに加わり、その一翼を担っているのがアズビル金門株式会社です。同社は、一貫してガス・水道メーターなどの計量器専門メーカーとして様々な製品・サービスを供給し、事業を展開。会社創業の1904年に国産初のガスメーターを開発・市場導入するなど、国内におけるパイオニアとして、この領域を牽引してきました。

アズビル金門のLPガス(プロパンガス)メーターにかかわる取組みは、1953年に国産初のLPガスメーターを開発したことに始まります。その後、1987年には、通常の使用量以上のガスが流れた場合や、一定時間以上ガスが流れ続けた場合などの異常を感知して、遮断するという安全機能を持つマイコンメーターを業界内で共同開発。LPガスの安心・安全な利用に貢献してきました。またIoT(Internet of Things)化時代に先駆け、メーターに特定小電力無線通信機を設置し、固定回線やPHS回線を利用して遠隔地の検針データや異常警報をセンターシステムへ送信する仕組みを提供してきました。

現在、アズビル金門では中期経営計画の中で「世の中すべてのメーターのIoT化を目指す」をスローガンに各種メーターの開発を推進しています。自社製品に限らず、すべてのガスメーターがIoT化されるような世界を目指し、その活動をリードしていきたいと考えています。これを受け、アズビル金門では、この110年で培ってきた自社技術にazbilグループの技術も加え、通信機が内蔵可能なLPガス用メーターを開発。2017年5月に新型LPガス用膜式スマートメーター K-SMα™を販売開始しました。

K-SMα(TM)

ガス事業者のIoT化を見据えて、LPWA通信に対応

今日の社会ではIoTが浸透し、家電製品や自動車など、あらゆるモノがネットワークにつながって、そこから送信されるデータを活用することで、様々なビジネス上の価値創造に活かしていこうとする動きが加速しています。近年では、IoT領域のニーズを満たす通信技術として、LPWA(Low Power Wide Area)への注目が集まっています。LPWAは必要なデータを低消費電力で、かつ広範囲に送信できる無線通信技術です。

この技術を活用することで、ガスメーターのメーター情報を低コストで送信することが可能となります。アズビル金門が新たに開発したK-SMαの通信機能は、LPWA方式をはじめ様々なネットワーク規格に柔軟に対応。今年各キャリアがサービスを開始する通信方式LTE Cat.M1の低消費電力タイプの無線通信装置も販売開始しています。このようなスマートメーターを利用することで、より広い範囲での需要家のガスメーターの情報を低コストで送信することが可能となり、人手を介した検針作業が不要となります。さらにメーターのデータを多頻度に送信することができるため、ガス事業者にとっては、この大量のデータを利用することで、新たなサービスを展開することや、遠隔から安全を見守るなど、きめ細かなサービスを実現することができます。

メーターから送信されたデータの高付加価値な活用を支援

アズビル金門では、2019年4月より、ガス事業者がK-SMαや既存ガスメーターに新たな通信機を接続することで取得したデータを活用するためのクラウドサービス ガスミエール™の提供を開始しました。具体的な仕組みとしては、各需要家に設置されたガスメーターの情報を無線通信で送信。例えば、供給圧力異常警告や流量式微少漏えい警告などの安全機能にかかわる情報など、大量に収集したデータをクラウドに保存します。ガス事業者は、クラウド(ガスミエール)上でアズビル金門が提供する各種アプリケーションを利用しながら、さらに、収集したデータに基づいて請求書の作成業務を行うことや異常を検知した際には需要家にお知らせし、必要に応じて需要家の元に伺うなどの保安サービスに活用することができます。

LPWAに対応したK-SMαとガスミエールを併せて利用することで、メーターの情報もこれまでのように1カ月に1回というサイクルではなく、1日に1回といった、より短いサイクルで収集することが可能となり、需要家のガスの使用状況を詳細に管理することができます。例えばLPガスの容器配送業務については、これまでは需要家の1カ月当たりの使用量の傾向から、ガス容器内の残量を推測し、定期的に配送・交換を行ってきました。需要家の使用状況によっては、まだ残量が十分にあるといったケースもあり、その場合でも多大な労力を要する配送を行っていることがあります。短いサイクルでメーターの情報を収集することができれば、ガス容器内の残量を随時把握することができます。ガスミエールのアプリケーションを利用することで、ガス事業者の業務エリア内におけるガス容器の最適配送計画まで行うことができるようになり、より合理的な配送業務を行うことが可能になります。

ガスミエールのアプリケーションについては、前述のLPガス容器配送業務合理化をはじめ、例えば当日の使用量に対して請求を行うアプリケーションなどガス事業者のニーズに応じて随時追加していく予定です。近年、電力自由化・ガス自由化の影響を受け、電力やガスの提供だけでなく、需要家にとって有益なサービスなど付加価値の提供も重要になってきているといわれています。今後、azbilグループが一体となって蓄積してきたノウハウを基に付加価値の高いサービスをご提供できるよう体制を整えていきたいと考えています。

アズビル金門では、こうしたガスメーターをセンサとするIoT環境の整備をさらに推進し、ガス事業者における各種業務の効率化や、ガス事業者および、その先の需要家に対して、より高付加価値なデータ活用を支援してまいります。

ガスミエールの概要

ガスミエールの概要

*1:ACU(Auto Calling Unit〈自動通報装置〉)
電話回線を利用した、LPガスメーター専用の自動通報装置のこと。

*2:マルチホップ
各無線機が周囲の無線機と互いに送受信して、広い範囲のデータ収集を実現すること。

※K-SMα、ガスミエールはアズビル金門株式会社の商標です。
※LoRaWANは、Semtech Corporationの商標です。

この記事は2019年06月に掲載されたものです。