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生産革新を軸にグローバルな事業展開を支える、最適な生産体制と拠点機能拡充を目指す

― マザー工場において確立した高度な生産技術を国内外の拠点に展開 ―

グローバルな事業展開に注力するazbilグループでは、その事業を支える生産体制の構築に向け、生産最適配置と合わせて国内外での生産拠点の整備・強化を推進しています。併せて、湘南工場と藤沢テクノセンターをグローバル生産におけるマザー工場と位置付けて、最新技術を活用した新たな生産技術の開発・自動化を核とした生産工程の革新・標準化に取り組み、お客さまに対してazbilグループならではの価値をタイムリーかつ高品質に提供するための体制を整えています。

グローバルな事業展開を支える、生産体制の整備を進める

azbilグループでは、海外市場のより広範なお客さまに対して、アズビル株式会社が国内で培ってきた技術、製品、サービスの価値をお届けしたいと考え、グローバルにおける事業の拡大に向けた取組みを本格化させてきました。これを受け、生産体制についてもグローバル生産体制の整備を段階的に推進し、競争力のある生産体制構築に取り組んできました。

海外の生産拠点については、1994年3月にアズビル機器(大連)有限公司(当時:大連山武機器有限公司)を中国の遼寧(りょうねい)省に設立し、建物市場向けの空調用バルブやメカスイッチの生産を開始。ここ数年においては、プラント・工場市場向けの工業用バルブ、ポジショナや差圧・圧力発信器などの生産品目の拡充が進められています。また2013年2月には、東南アジアでの新生産拠点として、主に制御機器やセンサ・スイッチなどのコンポーネント製品を生産するアズビルプロダクションタイランド株式会社を設立。これにより、現在の日本、中国、タイの3拠点による生産体制が確立されました。

azbilグループでは、海外生産拠点の新設や拡充だけではなく、国内工場を含めたグローバル生産体制の最適化を推進しています。この取組みの一環として、アズビルの伊勢原工場の生産機能を、2019年春に、同じ神奈川県内の湘南工場に移転。もともと湘南工場では、自動調節弁、ポジショナ、差圧・圧力発信器、液面計などを生産していましたが、そこに伊勢原工場で生産していたシステム製品やコンポーネント製品群が加わりました。

生産体制としては、海外においても高度な製造技術を伴ったものが整ってきており、コンポーネント製品などの量産製品、また、加工・溶接などを伴う多品種少量生産の製品についても海外生産を行っています。そしてより精密、かつ高度な生産技術や設備などが要求される製品については湘南工場で生産しています。今後、工程や設備の標準化、多品種少量生産における生産管理や品質管理の水準向上を行うとともに、さらに海外生産規模の拡大を進めることにより、現在の海外生産比率約25%のところを5年程度の間には30%台半ばにすることを目指しています。その一方で、大きな災害などでどこかの拠点が生産できない状況に陥った場合などは、その機能をほかの拠点が肩代わりすることができる生産BCP(Business Continuity Plan)の体制も整備してきています。

差圧・圧力発信器のセンサ部分の基板のはんだ付けを行う自動はんだ装置。AI画像処理により合否判定まで行う。

差圧・圧力発信器のセンサ部分の基板のはんだ付けを行う自動はんだ装置。AI画像処理により合否判定まで行う。

高付加価値製品を生み出す、多品種少量生産の自動化にチャレンジ

アズビルでは、湘南工場と技術開発拠点である藤沢テクノセンターを、自社のグローバル生産体制におけるマザー工場と位置付け、次世代の生産にチャレンジしていくことを念頭に、「生み出す」「実証する」「リードする」という三つの機能を持たせています。

まず「生み出す」については、最新技術を活用した新たな生産技術の確立に取り組む一方、センサ、電子回路などの機械要素を集積させた超小型デバイスであるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)センサのパッケージについて、AIなどの先進デジタル技術を利用した自動微細組立て加工の実現などにより、他社の追随を許さないアズビルならではの高付加価値製品を生み出すための生産工程の創出に取り組んでいます。

「実証する」に関しては、多品種少量生産、カスタマイズ生産への対応をさらに強化していきます。アズビルではお客さま固有のニーズを最適なかたちで満たせるよう、数あるオプション仕様の組合せでコントロールバルブは7000種以上、差圧・圧力発信器で8000種もの製品を生産しています。そうした膨大なバリエーションの製品を効率的に供給していくためには、一つの生産ラインで複数の製品を作る混流生産が不可欠ですが、そこではおのずと生産工程が複雑化するため、人的ミスをいかに防止するか、どのように品質を確保していくのかという点が重要な課題となります。

これに対し湘南工場では、アズビルのソリューション開発部門と協力し、AI技術やビッグデータを活用したヒューマンエラーを防ぐための検査システムや、センサから製品になるまでの数十ステップの生産工程を一つのデータベースでトレースし一元管理できるシステム構築などの整備を進めています。これまで人手による作業や人的なノウハウに基づく判断を必要としていた工程に対しても、AIやIoT(Internet of Things)技術を活用し、高度な自動化の仕組みを構築。徹底した品質の作り込みを実現しています。

また、多品種少量生産、カスタマイズ生産においても、生産効率を高めてQCD(Quality、Cost、Delivery)の最適化を図っていくことは、お客さまへアズビルの価値を提供していく上で不可欠と考えています。そのためには生産工程の標準化だけではなく、部品の標準化を設計段階から徹底して行い、複数の製品のはんだ付けが混流生産でできるようにしたり、今まではパッケージの中に含まれなかった回路部分を収めたりするなど、細部にわたり標準化・最適化が検討・実施されています。

生産のみならず物流や調達、人材育成もマザー工場がリード

「リードする」は、生産技術や標準化、共通化された生産プロセスなどを、湘南工場が主導してazbilグループの生産拠点への適用を進めていくことです。製品設計や生産プロセスの標準化が進むことで、海外の拠点に生産を移管することが容易となります。また生産領域だけではなく、生産管理や品質、物流や調達についての取組みをリードしていくのもマザー工場の役割です。

加えてazbilグループでは、海外生産拠点の技術者を湘南工場や藤沢テクノセンターに一定期間派遣し、生産技術や生産管理に必要なトレーニングを行うという、人材の育成を以前から継続的に実施してきており、そうした教育を受けた人員の多くが大連やタイの生産拠点でリーダーとして現場を牽けん引いんしています。

サステイナブルな社会への貢献と継続的な企業成長

グローバルにおける生産体制の整備や人材育成など幅広い取組みに加えて、サステイナブルな社会への貢献にも力を入れています。持続可能な社会を実現することが、継続的な企業成長につながると考えているからです。

生産面では、ITやAIなどの技術を活用し、生産活動そのもので省エネルギーを実践することに加えて、製品については使用材料を削減するだけではなく、材料に再利用可能な素材を取り入れたり、部品点数を減らすなどの省エネ設計を推進しています。また製造過程での廃棄物についても削減を進めています。さらにアズビルの掲げる目標がSBT*1認定されたことを受け、サプライチェーンまで含めた取組みを強化していきます。

今後もazbilグループでは、グローバル生産体制の最適化を推進し、国内・海外を問わず、最新の技術、製品、サービスをタイムリーかつ高品質で提供することにより、お客さまの多様なニーズ、サステイナブルな社会やビジネスの実現に貢献していきたいと考えています。

主なazbilグループの生産拠点

主なazbilグループの生産拠点

*1: SBT(Science Based Targets)
産業革命前と比較して気温上昇を2℃未満に抑えるため、科学的根拠に基づいて設定した温室効果ガスの排出削減目標。企業に温室効果ガスの排出量削減に関する「目標設定」と「公約」を促す組織であるSBTi(Science Based Targets initiative)に申請し、基準を満たした目標値についてSBTと認定される。

この記事は2020年10月に掲載されたものです。