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「空気を操る技術」で新たな価値提供を目指す

― グローバルな市場で高いシェアを誇る空気圧機器による価値提供の場を、製造現場から広範な領域へと拡大 ―

長年にわたり積み重ねてきた空気の流体制御にかかわるノウハウに基づき、各種機器の開発・製造・販売で、お客さまのニーズに応えるアズビルTACO。グローバル市場でのシェア拡大に加え、製品提供を主体とするビジネスから、AI(人工知能)、クラウドなどのデジタル技術の活用をベースにしたライフサイクルビジネスへの進出など、製造現場をはじめとする広範な領域での新たな価値創造に向けたチャレンジを続けています。

アズビルTACO株式会社 代表取締役社長 風戸 裕彦

アズビルTACO株式会社
代表取締役社長
風戸 裕彦

ライフサイクルビジネスの推進で提供可能な付加価値をさらに向上

1955年に空気圧機器の専門メーカーとして創業したアズビルTACO株式会社。2012年11月には、「人を中心としたオートメーション」の理念を共有するazbilグループの一員として再スタートを切りました。長年にわたり独自の「空気を操る技術」により国内外の産業を支えてきた同社ですが、今日では空気などの気体はもちろん、油などの液体を含む流体の制御にかかわるノウハウに基づき、各種機器の開発・製造・販売を通じて、工作機械メーカーをはじめとする広い産業分野でお客さまのニーズに応えています。

アズビルTACOのビジネスの主要な柱となっているのが、フォグ式潤滑装置とデュアルバルブにかかわる事業領域です。

まずフォグ式潤滑装置ですが、例えば自動車エンジンの製造ラインなどで稼働する工作機械では、切削用工具などを取り付けた軸を高速回転させて対象物の加工を行っています。音速の圧縮空気に潤滑油を滴下して霧状にし、その回転部分に瞬時に微量の潤滑油を供給することで回転を円滑にし、摩擦熱や摩耗を低減するのがフォグ式潤滑装置の役割です。このとき、霧状の潤滑油の粒径が均一化されていることが重要で、この潤滑油の粒径をわずか2ミクロン程度の大きさにそろえるという、極めて高度な技術を有しているのがアズビルTACOの強みです。フォグ式潤滑装置の分野において、同社はグローバルな市場で高いシェアを獲得しており、多くの国内自動車メーカーの製造現場で同社製品が採用されています。

一方でそうした精密な機構を備えた装置ゆえ、利用現場では常にしっかりとしたメンテナンスを行い、最良のコンディションで動作させていくことが肝要です。そこでアズビルTACOでは、単に装置を提供するだけではなく、納入した装置の状態を継続的に診断し、故障や劣化の発生、あるいはその兆候を確実に捉えるための予知保全サービスの提供にも注力しています。現在これらの業務は人の手で実施されていますが、今後はこれらをAI、クラウドを活用して提供することで、よりお客さまの利便性を高めていく方向で検討が進められています。

この検討が進めば、各潤滑装置の状態把握に関連するデータを自動的に収集してデータベース化することができます。時系列での状態遷移を管理・分析し、例えば数カ月先、1年先など、ある時点で潤滑装置が十分な性能を発揮できなくなる可能性を捕捉してお客さまにレポートすることで、装置の保全や交換へ向けた計画の立案を支援します。これにより、将来的には潤滑装置のメンテナンスを意識せずに操業可能な体制づくりに貢献していきたいと考えています。

こうした事業の方向性についてazbilグループでは、建物市場向けのビルディングオートメーション事業、工場市場向けのアドバンスオートメーション事業を中心に、開発から生産、保守に至る一貫体制で、製品のライフサイクルを通じてお客さまへの価値提供を目指すライフサイクルビジネスの強化を進めています。その中で、特に製品の運用・保守のフェーズについては、AI、クラウドなどを活用したサポートサービスのデジタル化も積極的に推進しています。アズビルTACOの予知保全サービスは、まさにこうした流れに沿うものであり、潤滑装置内のセンサからの情報を、ネットワークを通じてクラウドに収集するための仕組みの構築に着手する一方、クラウド上で潤滑装置の状態解析を行うAI技術の開発もアズビル株式会社のAIソリューション部門と協働し進めているところです。

対障害性や応答性の向上に加え環境配慮の視点でも優れた製品を開発

アズビルTACOのビジネスにおけるもう一つの主要な柱であるデュアルバルブは、様々な製造現場で用いられている動力プレス機に組み込まれる製品です。動力プレス機の中で使われている、クラッチ/ブレーキの圧縮空気の排出制御を行うのがデュアルバルブで、動力プレス機の非常に重要な機能を担っています。

現在アズビルTACOの同製品は、世界のデュアルバルブ市場の約半数を占めており、流通しているプレス機の約9割を製造しているとされる中国では、動力プレス機メーカーの間で標準品の一つと見なされています。

今日、デュアルバルブには、より高い信頼性や緊急停止時の応答性能などが求められており、アズビルTACOではそうした市場のニーズに応える製品の開発・供給を進める一方、環境負荷削減に向けた環境配慮設計にも取り組んでいます。新たにリリースされた製品であるデュアルバルブTXでは、樹脂成形部品やアルミダイカスト部品を積極的に採用することで従来比22%の軽量化を図り、電磁機構の改善によって消費電力を50%削減。省エネルギー性に優れた環境配慮型の製品として各方面から大きな注目を集めています。

流体制御のノウハウを駆使しより広範な現場のニーズに応える

こうしたデュアルバルブのほかにもアズビルTACOでは、レギュレータなど空気制御にかかわる多彩な製品を展開。それぞれの製品分野において最新のニーズに応える技術や製品の開発に向けたチャレンジを続けています。例えばレギュレータに関しては、クリーンな真空が必要とされる半導体製造で用いられる、ドライ真空ポンプ用のレギュレータモジュールを大手真空ポンプメーカーと共同開発しています。さらにその高度な空気制御技術の適用は、医療分野にも広がっています。内視鏡で消化器官の診断を行う際には、腔内を広げるために炭酸ガスを注入しますが、その際に求められる極めて繊細な空気の圧力や流量の制御を行うための仕組みとして、最近では同社のレギュレータ製品の活用が進んでいます。

アズビルTACOは、このような製品の開発から製造、営業といった一連の業務機能をトータルに備えながらも、従業員約150人程度という小規模な陣容であるという点で、azbilグループ内でもユニークな存在です。現在azbilグループでは、持続可能な社会の実現に向け、SDGs*1を経営の重要な道標と位置付けており、「環境・エネルギー」「新オートメーション」「サプライチェーン・社会的責任」「健幸経営・学習する企業体」という四つのテーマからなる「azbilグループSDGs目標」を掲げ、人材育成も含めた事業活動全体での取組みを推進しています。これに対し同社は、小規模陣営ならではのフットワークの軽さを最大限に活かした独自のアプローチで、グループの掲げる目標に向けた取組みを行いながら、お客さま、そして社会へのさらなる貢献を果たしていこうとしています。

アズビルTACOの取組み

アズビルTACOの取組み

*1:SDGs(Sustainable Development Goals)
2015年の国連サミットで採択された、2016年から2030年までの国際目標のこと。「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会を実現するための17のゴールと169のターゲットが示されている。

この記事は2021年08月に掲載されたものです。