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デマンドレスポンス

利用者の需要に合わせて発電する従来型の考え方に代わって、利用者側の電力使用量を発電状況に合わせて調整して需給のバランスを取る電力システムの施策のこと。

電力を使う側にピーク時の節電行動を促すよう働きかける

真冬の冷え込んだ夕方、真夏のしゃく熱の午後――。こうした時間帯には電力使用が1日のピークを迎えます。東日本大震災の後、電力の需要に対して供給がひっ迫したため、電力使用状況の予報を日々のニュースなどで報じていたのも記憶に新しいところです。

電力会社は、電力がピーク時に不足しないように発電設備を用意しなければなりません。しかし、需要のピークに合わせて設備を用意すると、多くの場合は設備が大きくなりがちです。実際、1年の平均的な発電設備の稼働率は50~60%程度です。年間数十時間程度のピーク需要を確実に 削減できれば、電力会社は多くの設備投資を抑制することができます。このように電力消費のピーク時などに、電力の利用者側に使用量を調整してもらって、需要と供給のバランスを取る施策を「デマンドレスポンス」と呼びます。電力の「需要=デマンド」に応じて、利用者の「反応=レスポンス」を引き出すことから、この名称が付けられました。

「電力が不足しそうだ」というときに、デマンドレスポンスではどのような方法で利用者の電力消費を調整するのでしょうか。ここでは代表的な方法を紹介します。

一つ目は「時間帯別料金制度」です。電力消費がピークを迎える季節や時間帯には料金単価を高くして、単価が安い時間帯に利用するように利用者を誘導する制度です。日本でも「夜が安いプラン」「土日が安いプラン」などが導入されていることをご存じの方も多いでしょう。

二つ目は「クリティカルピークプライシング」です。これは需給がひっ迫するピーク時の料金単価を大幅に高くして利用を抑制する緊急的に発動される制度です。アメリカでは、真夏の10日程度だけ単価を数倍から数十倍にするような方法で実際に使われています。

三つ目は「リアルタイム料金」で、その名のとおり市場取引によって決まる電力調達コストに応じて日々時間ごとに電力単価が変動する制度です。電力単価は需要予測に基づき前日に決定し、利用者は当日のコストを意識しながら電力を使用することで全体の使用量が抑制される制度です。

さらに「ピークタイムリベート」と呼ばれるもの。これはピーク時に電力消費を減らした利用者に、料金の一部をキャッシュバックする方法です。

いずれも、料金的なインセンティブ(動機付け)を利用者に提供することで、ピーク時の利用を抑えてもらうように誘導するわけです。インセンティブによる需要誘導の分かりやすい例は、スーパーマーケットのレジ袋でしょう。レジ袋を使わない買い物客に「2円」などのキャッシュバックをすることで、レジ袋の需要を抑制しています。これも、一種のデマンドレスポンスといえます。

再生可能エネルギーでもデマンドレスポンスは活用可能、IT化の進展も普及を後押し

日本でデマンドレスポンスが注目され始めたのには、いくつかの理由があります。今後の電力の自由化により電力料金が変動する可能性が出てきたこと、東日本大震災後に電力不足を経験したこと、IT(情報技術)の発展などが挙げられます。特に、ITによって電力料金をきめ細かく調整することが可能になっただけでなく、「電力の見える化」をはじめとした省エネルギーをサポートするIT技術がその実現を後押ししました。

こうした需要調整の仕組みは、再生可能エネルギー普及・導入拡大への貢献も期待されています。例えば、太陽光発電は日照状況で発電量が変化してしまう不安定さが課題になっていますが、デマンドレスポンスによって発電量に見合うように需要を調整できる可能性があるからです。

デマンドレスポンスでは、商業施設やオフィスビル単位でピーク需要を調整する“まとめ役”となるアグリゲータ事業者の存在も重要です。ITを活用した仕組みの導入から、実際の運用を一括して請け負う事業者です。日本でも、電力会社などがアグリゲータと協業してデマンドレスポンスの実証実験を進めています。

デマンドレスポンスは、ピーク時に対応するために、発電容量を増やす投資をするのではなく、利用者の需要抑制を促進するために投資する方策、ともいえます。電力会社は必要以上の投資を抑制できますし、利用者はインセンティブなどが得られます。実用化への取組みは、日本でも今後進 んでいきそうです

この記事は2014年04月に掲載されたものです。

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