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国家計量標準にひも付く校正サービスで、計測の信頼性向上による顧客満足を実現

azbilグループが展開するライフオートメーション事業の一翼を担うアズビル金門では、計量法トレーサビリティ制度(JCSS)の導入を契機として、気体流量の校正サービスセンターを開設しました。同センターを拠点に、JCSS登録事業者としてガス会社などのお客さまを中心に、国家計量標準へとつながる校正サービスを提供。より正確な計測を実現することで、お客さまの事業に貢献しています。

アズビル金門株式会社
開発本部 校正サービスセンター
所長
古屋 宏樹

計量器に関する知見を活かし、校正サービスを展開

建物分野のビルディングオートメーション事業、工業分野のアドバンスオートメーション事業と並ぶ、azbilグループ第3の事業に位置付けられるライフオートメーション事業。「人々のいきいきとした暮らし」に直接貢献することを目的とする同事業の一翼を担っているのが、ガスメーター、水道メーターなどの計量器・サービスを提供するアズビル金門株式会社です。2005年12月にazbilグループの一員となった同社は、アズビル株式会社と協働しながら、ガス・水道という重要なライフラインを支えています。

その一方でアズビル金門は、計量器専門メーカーとしての高度な知見とノウハウを活かした校正サービスにも注力しています。「校正」とは、計測器の計測値の正確性を証明・維持するため、「基準となる計測器(標準器)」と「現場で実際に使われている計測器」の計測値を比較し、その差を明らかにすることをいいます。メーカーで作られる製品や開発品の計測品質の信頼性を確保するためには、製造や研究開発の段階で使用される計測器が正しい値を示すことが重要です。さらに産業界で取引に使われるメーターも計測の正確性が求められます。そのため、標準器や取引用メーターなどは定期的な校正が必要となります。アズビル金門では、気体流量計にかかわる校正サービスを提供しており、その拠点が福岡県にある校正サービスセンターです。

6~4000m³/hの校正流量範囲は国内唯一、大流量にも対応できるJCSS登録事業者

校正サービスセンター設立の契機となったのが、1993年の改正計量法の施行によって計量法トレーサビリティ制度(JCSS:Japan Calibration Service System)が導入されたことです。JCSSとは、計量法関係法規およびISO/IEC 17025(校正機関の技術能力に関する国際規格)の要求事項に基づいて、日本の計量の大本である国家計量標準に準拠した校正能力を有する事業者を認定する制度です。トレーサビリティとは、使用している計測器が上位の標準器によって校正され、最終的に国家計量標準につながっていくことを意味します。JCSS登録事業者が発行するJCSS標章やJCSS認定シンボル付き校正証明書は、国家計量標準へのトレーサビリティが確保された信頼性の高い校正結果であることを公に証明しています。

アズビル金門では、トレーサビリティの重要性が増大し、産業界からの要求が高まることを想定し、1997年、九州研究所(当時:株式会社金門製作所 九州研究所)内に気体流量の校正サービスセンターを設置しました。

その後、同センターでは、JCSSの認定取得に向けた準備を進め、2003年に気体の中流量(50~1000m³/h)域で、実際にお客さまの現場のメーターで使われている圧力を加え(加圧状態)、現場と同条件で実流量校正が可能な国内唯一の校正事業者として認定を取得しました。2007年には6~1000m³/hにまで流量範囲を拡大。さらに2016年には、国内最大級*1の流量となる4000m³/hまでの認定を取得しました。4000m³/hまでの認定を取得したことで、LNG(液化天然ガス)船やガス会社の幹線ライン、大陸間で使用されるような大口径の気体流量計に対して実流量・実圧力でのJCSS校正にも対応できるようになり、大口径のため国内で校正することができず、海外の校正事業者を利用していたお客さまの校正ニーズを国内で満たすことが可能となりました。

校正サービスセンターのトレーサビリティ

校正サービスセンターのトレーサビリティ

国家計量標準に準拠した、信頼に優れたJCSS校正を実施

アズビル金門の校正サービスセンターは、国内最大規模の校正設備を備えています。設備には校正対象となるメーターの下流側に各種口径の臨界(音速)ノズル*2を並列に設置し、絶対圧力0.09~0.4MPaのライン圧力下で実際に気体を流して校正を実施。信頼性の高い校正値を得ることができます。計測器の劣化状態を確認したい、トレーサビリティが要求されるISO規格の取得・維持に必要、といった校正を求めるお客さまから、対象となる気体流量計を預かり、校正サービスセンター内にある校正設備に取り付けて流量を計測します。

それに加え、2013年には気体流量の分野で国内初となる「現地校正」のJCSS認定も取得しています。アズビル金門の校正サービスセンターでは、アズビルの湘南工場、アズビル金門白河株式会社など、azbilグループの気体流量計を生産する工場における校正業務にも参画しており、現在、azbilグループの生産工場・検査設備4カ所に対しては、校正を担当するスタッフが実際に出向き、現地で実用標準器*3の校正を行っています。このように、定期的にazbilグループ内の実用標準器を校正し、トレーサビリティを確立することで、製品の計測品質を継続的に確保しています。

今後、アズビル金門の校正サービスセンターでは、現在の0.4MPaを大きく上回る1MPaまでの加圧状態で実施する校正の実現を目指しています。azbilグループ内のJCSS登録事業者であるアズビルの技術標準部計測標準グループやアズビル京都株式会社と協業し、グループ一丸となって校正事業者としてのケーパビリティを向上させていきます。そして、ガス・水道という社会インフラの領域において、お客さまの設備の計測に対する信頼性向上に貢献していきます。

校正サービスセンター内には、閉ループ式流量計校正システムが設置されている。このシステムに臨界(音速)ノズルが挿入されている。

校正サービスセンター内には、閉ループ式流量計校正システムが設置されている。このシステムに臨界(音速)ノズルが挿入されている。

臨界(音速)ノズル。国家計量標準から直接校正を受けた特定二次標準器を使用している。

臨界(音速)ノズル。国家計量標準から直接校正を受けた特定二次標準器を使用している。

*1:独立行政法人製品評価技術基盤機構のJCSS登録事業者の登録による(2016年9月8日現在)。

*2:臨界(音速)ノズル
ノズルに気体が流れて、上流側圧力と下流側圧力の圧力比がある値以下になると、スロート(狭い通路)部分で気体の流速が音速になり、流量が一定となるノズル。

*3:実用標準器
実際に現場で計測の基準として用いられている標準器。

*4:特定二次標準器
特定標準器(国家計量標準)によって校正された標準器。

この記事は2018年02月に掲載されたものです。