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画期的な新製品の投入で時代のニーズを満たす

― 性能、安全性、環境、デザインの各側面でチャレンジングな取組みを展開、時代の要請に応える新しいデュアルバルブが高度な顧客価値を創出 ―

空気圧機器の専門メーカーとして、創業以来、独自の「空気を操る技術」により国内外の産業を長年にわたり支えてきたアズビルTACO。2012年11月にazbilグループに参入した同社では、先ごろデュアルバルブの新製品を市場投入しました。性能、安全性、環境、そしてデザインの各側面において、時代の要請を満たし、顧客に対し新たな価値を提供しています。

機械式プレスの“心臓部”となるデュアルバルブ製品で圧倒的シェア

空気圧機器の専門メーカーとして1955年に創業したアズビルTACO株式会社。2012年11月にazbilグループに参入した同社は、独自の「空気を操る技術」により長年にわたり国内外の産業を支えてきました。同社のビジネスの柱の一つが、デュアルバルブをはじめとする方向制御弁事業です。

自動車のボディからパソコン・スマートフォン部品、硬貨に至るまで、多種多様な部品の加工にプレス機械が用いられています。プレス機械は加圧する動力源によって機械式プレス、油圧式プレスに分かれており、デュアルバルブは機械式プレスに組み込まれています。機械式プレスは、モーターで駆動するフライホイールの回転力を、クラッチを経由してクランクシャフトに伝えて直線運動に変換することで金型を上下させ、金属板を挟みつけて加工を行います。このとき、金型を上下させるタイミングをコントロールしているのがデュアルバルブで、まさに機械式プレスの“心臓部”に相当するといえます。

アズビルTACOが初めてデュアルバルブをリリースしたのは1979年のこと。同社は当初から海外市場への展開を強く志向しており、当時、プレス機械産業が立ち上がりつつあった台湾のプレス機械メーカーへ製品供給を積極的に進めていきました。その後、プレス機械の製造は工業化が急速に進む中国へ渡り、台湾でスタンダードとなったアズビルTACOのデュアルバルブも中国製機械式プレスに組み込まれるようになりました。

今日、プレス機械の生産の中心である中国の主要メーカーに採用され、世界で新たに生産される機械式プレスの半数以上とともに世界中に供給されています。

「世界No.1の性能」実現を目標に新時代の様々な要請に応える

近年、機械式プレスにおけるデュアルバルブのニーズも変化してきています。作業者の安全を守ることを目的に、機械式プレスを確実に止めるための応答速度や故障時残圧の低減などの基本的な機能の向上に対する要求に加え、持続可能な社会の実現に向けた取組みが産業界において不可避なテーマとなり、環境配慮設計にかかわる要求も急速に高まっています。

こうした状況を見据え、アズビルTACOでは1979年のリリース以来、約40年にわたり提供してきた現行製品のさらなる安全、そして環境にやさしい製品を実現するために、抜本的な見直しを決断。「世界No.1の性能」を目標に新製品の開発に着手し、2020年5月にリニューアルした新型デュアルバルブ 形 TX-A(以下、TX-A)をリリースしました。

企画・開発にあたり、重視した点は大きく三つ。一つ目は、より速く安全な作動を実現し、販売されているデュアルバルブのうち、大きさ、価格が同等の製品群の中で最高性能を目指すことです。機械式プレスは空気圧を利用して、クラッチからの動力伝達を操作することで作動します。緊急時は、この空気圧を速やかに排気してクラッチからの動力伝達を遮断し、素早く停止させることが求められます。新モデルとなるTX-Aでは、圧縮空気の流路について、これまで採用されてきたクロスフロー流路の構造を進化させた独自のL型クロスフロー流路を開発。これにより片側バルブの故障などの緊急時に、より迅速に機械式プレスを停止させることが可能となり、作業者の安全性を大きく高めています。

二つ目は環境に配慮した設計です。TX-Aでは、プラスチック成形部品やアルミダイカスト部品を積極的に採用するとともに、機能を集約して部品点数の削減を図り、約22%の軽量化と、約41.4%の省資源化を実現。さらにデュアルバルブの主要な機械要素である、コイル、パイロットバルブ、主弁を一体で最適設計することで、消費電力を約50%削減し、エンドユーザーの製造現場における省エネルギーにも貢献しています。また、こうした設計により、TX-Aは従来製品比で年間約51.7%のLC-CO2*1削減を実現しています。

デュアルバルブ動作

デュアルバルブ動作

製品が持つ高度な価値を伝える洗練されたデザインを追求

三つ目のポイントは最高の機能、性能と、最高のデザインの両立です。従来のデュアルバルブはデザインよりも機能、性能が優先されてきましたが、TX-Aでは機能はもちろん、より洗練された新しいデザインという外観にもこだわりました。例えば、従来のアズビルTACO製品はグリーンゴールドという製品カラーが「安全・高品質」のシンボルとして海外プレス機械メーカーやエンドユーザーに広く認知されてきましたが、TX-Aでは、塗装による環境負荷への配慮のため、製品カラーを含むデザインを一新。工業製品の分野で豊富な経験を持つデザイナーや、アズビルのデザインマネジメント部門の協力も得ながら、アズビルTACO製デュアルバルブの価値がより効果的に訴求できるような製品デザインを追求し、TX-Aの新しさ、精密さ、堅牢さを表現できる意匠を実現しました。また新しい製品デザインは、冗長化されたデュアルバルブ構成、クロスフロー構造が外観を通してイメージできる形となっており、まさに「形態は機能に従う」を体現。お客さまをはじめ各方面からも高く評価され、2021年度のグッドデザイン賞にも輝きました。

デュアルバルブ 形 TX-A

デュアルバルブ 形 TX-A

従来のアズビルTACO製デュアルバルブを搭載している機械式プレスについては、TX-Aへのリプレイスも着実に進んでおり、2022年度中には5割、2023年度中には8割程度が置き換えられるものと見込んでいます。

アズビルTACOでは、今後、中国での市場拡大や新興国での生産拡大に合わせ、販路の拡大やサービス体制の強化を進める予定です。また、今回のデュアルバルブのリニューアルで得た知見やノウハウを、フォグ式潤滑装置をはじめとした、同社のほかの製品群にも展開し、お客さまへのさらなる価値提供につなげていきたいと考えています。

*1:LC-CO2(ライフサイクルCO2
製品のライフサイクル(企画~製作~運用~解体)にわたって排出する炭素(CO2)量の合計数値。

この記事は2022年07月に掲載されたものです。