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環境への取組みに対する第三者意見

第三者意見交換会様子

松本 真由美 客員准教授とazbilグループ環境責任者

東京大学 教養学部附属教養教育高度化機構 環境エネルギー科学特別部門 松本 真由美客員准教授から、azbilグループの環境への取組みに対して第三者意見をいただきました。

地球温暖化は、海面上昇や異常気象の水準・頻度を押し上げるリスクが指摘されている。二酸化炭素(CO2)の排出量と吸収量が実質同量とする「カーボンニュートラル」の機運が高まっており、世界の国や企業が動き出している。世界の主要国は、脱炭素戦略を打ち出し、社会全体の省エネルギーの深堀りを進めるとともに、非化石エネルギーへの転換を加速させる計画である。

脱炭素の潮流の下、ESG投資※1が加速しており、世界の大手企業はライフサイクル全体の温室効果ガス排出削減が求められ、原料調達から製造、流通、使用、そして廃棄に至るライフサイクル全体を通じて温室効果ガス削減の責任が求められている。デジタルを活用し、製品のサプライチェーン上のCO2排出量を可視化するニーズも高まっている。「脱炭素化」と「企業価値の向上」が、まさに問われる時代になったのである。

一方、2021年以降、ウィズコロナで各国が経済活動を復興させる中、国際的に原油価格や天然ガス価格が高騰する事態となった。日本では電気料金が過去5年間で最も高い水準となり、ガソリン価格は高騰し、運輸・倉庫業をはじめ産業に打撃を与えている。とりわけ日本はエネルギー自給率が約12%と非常に低く、海外から化石燃料を大量に輸入している。2019年の化石燃料の輸入総額は約17兆円(内訳:石炭約2.6兆円、石油約9.5兆円、ガス約4.9兆円)と、膨大なエネルギー費が海外に流出しており、エネルギー価格の高騰は、産業や国民生活に痛手を与える。

こうした現状からも、建物や工場内のエネルギー使用量を一元的に把握・管理し、需要予測に基づいた設備機器の制御を行い、エネルギー使用量の最小化を図る「エネルギーマネジメントシステム」の導入を迅速に進める必要性を痛感する。

azbilグループの主な事業は、「アドバンスオートメーション」「ビルディングオートメーション」「ライフオートメーション」の3つの領域である。この3領域では、オートメーション技術を共通基盤として、顧客のオフィスや製造現場の空間の質と生産性の向上を図るとともに、そのためのエネルギー量の抑制を図る事業を展開している。

筆者は、2021年11月研究開発拠点「藤沢テクノセンター」を視察する機会に恵まれた。azbilグループが開発したBEMS(Building Energy Management System)を用いた自動制御システムやDR(Demand Response)への対応、AIを用いた空調制御などの省エネ技術等について紹介していただいた。クラウドやAIを活用したシステムソリューションやデバイスの開発を加速する中核研究開発拠点となる実験棟2棟が建設中で、完成後には、azbilのセンシング技術の要であるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)など最先端のオートメーション技術の開発を行う計画も説明していただいた。

azbilグループの強みは、計測と制御の技術を用いて、建物や工場・プラント、ライフラインにおける省エネルギーを実現し、既存設備の最大限の活用ができることである。人々に健康で生産性の高い働き方や快適な暮らしをサポートする技術は、サステナブルな事業モデルと言えるだろう。 高いデジタル技術を持つazbilグループには、新たな挑戦として、地域における分散型エネルギーシステム構築への貢献も検討してほしい。脱炭素社会を実現する上で、需要側の取り組みを加速させる必要がある。政府は、脱炭素戦略の一環として、地域に存在する太陽光発電設備、風力発電設備などの再生可能エネルギー源や蓄電池、電気自動車(EV)などを統合し、一体的な運用を行うスマートシティやマイクログリッド※2の構築を進める方針を打ち出している。

分散型エネルギー社会構築の動きは欧州や米国で加速している。例えばスペイン北部のサンタンデール市(人口18万人・面積40㎢)ではEUの実証プロジェクトを経て、現在センサネットワークを活用したスマートシティを構築しており、スマートフォンのアプリケーションを開発し、市民にスマートパーキングシステム等を提供している。しかし、日本では、分散型エネルギーシステム運営を担う事業者が少ない状況であり、政府は新規参入を促す施策を検討しているところである。

azbilグループには、脱炭素化に貢献するオートメーション技術やエネルギーマネジメント技術を社会のさまざまな領域で活かし、国際的な競争力強化と持続可能な成長を果たしてほしいと心から願っている。

※1 ESG投資:環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)に配慮している企業を重視・選別して行う投資
※2 マイクログリッド:Micro(極小の)grid(送電網)。独自の電力網と電源により構成される自律的なエネルギー供給網で、従来型のグリッドとは切り離して個別に運用できる。

中央監視室

中央監視室

太陽光発電設備

太陽光発電設備


東京大学 教養学部附属教養教育高度化機構 環境エネルギー科学特別部門 松本 真由美客員准教授

東京大学松本真由美客員准教授

プロフィール

  • 東京大学 教養学部附属教養教育高度化機構 環境エネルギー科学特別部門 客員准教授
  • NPO法人国際環境経済研究所(IEEI)理事
  • NPO法人再生可能エネルギー協議会(JCRE)理事

略歴

熊本県生まれ。上智大学外国語学部卒業。専門は科学コミュニケーション・環境・エネルギー政策論。研究テーマは、「エネルギーと地域社会との共存」、「環境・エネルギー政策の国際比較」「企業の環境経営動向(脱炭素経営、SDGs等)」等、環境とエネルギーの視点から持続可能な社会のあり方を追求する。

大学在学中から、TV朝日報道番組のキャスター、リポーター、ディレクターとして取材活動を行い、その後、NHK BS1でワールドニュースキャスターとして「ワールドレポート」等の番組を6年間担当した。2004年以降、環境NPO活動に携わる。2008年5月より研究員として東京大学での環境・エネルギー分野の人材育成プロジェクトに携わり、2013年4月より現職。
現在は教養学部での学生への教育活動を行う一方、講演、シンポジウム、執筆など幅広く活動する。2020年9月共著で『「脱炭素化」はとまらない!未来を描くビジネスのヒント』を上梓した。
総合資源エネルギー調査会「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」、産業構造審議会「グリーンイノベーションプロジェクト部会ワーキンググループ1:グリーン電力の普及促進分野」等、政府の審議会等の委員も務める。