HOME > アズビルについて > 会社PR > azbil MIND > 人の「体感」に基づく、より小規模なエリアごとの空調制御でオフィス空間の快適性と省エネルギーを両立

人の「体感」に基づく、より小規模なエリアごとの空調制御でオフィス空間の快適性と省エネルギーを両立

建物の空調における永遠のテーマの一つに、オフィス空間における「暑い」「寒い」といった空調ニーズがあります。アズビル株式会社は、より細かなエリアごとに風量、風向、温度を複合的に制御することで、快適な空調空間を実現するセル型空調システムを開発しました。温度設定に代わる「温冷感設定」という独自のアプローチで、さらなる快適性と省エネルギーの両立を実現します。

これまでより細かい空間単位での気流制御で、個々の居住者に快適な室内環境を提供

azbilグループは「人を中心としたオートメーション」で、人々の「安心、快適、達成感」を実現するとともに、地球環境に貢献することを企業理念とした取組みを推進しています。プラントや工場の課題を解決する「アドバンスオートメーション事業」、ガス、水道などの生活インフラを支える「ライフオートメーション事業」とともに、azbilグループの三つの事業軸を構成する「ビルディングオートメーション事業」では、先進の環境制御技術を追究することで、より快適で省エネ効率の高い建物空間の創造を目指しています。

近年、ビル内の快適性をコントロールするための空調設備は、ますます高性能化、多機能化を遂げています。しかし、オフィスなどの執務空間では、居住者ごとの「暑い」「寒い」といった、空調クレームは減少傾向にあるものの、まだ散発しているのが実情です。アズビル株式会社では、こうした状況を改善するための研究・開発を、長年にわたり続けてきました。

2015年8月にリリースしたセル型空調システム「ネクスフォート™」は、そうした実情の課題解決に貢献する中小規模ビル向けのシステムです。

ネクスフォートの特徴は大きく三つあります。まず一つ目は、独自の「セル型」による空調を実現していることです。

現在主流の天井隠蔽(いんぺい)型のビル用マルチエアコンでは、天井に設置されたすべての吹出口から、同程度の量と同一方向の風を吹いて空調を行っています。このため、場所や人によって「暑い」「寒い」といった体感の違いが生じやすくなっています。

ネクスフォートは、オフィス空間を25m²程度の「セル」に分割して、それぞれで空調制御を行います。セルごとに違う風向、風量の気流を吹き出すことで、該当するエリア内にいる人々に最適な温冷感を提供します。システムとしては、天井隠蔽型ビル用マルチエアコン1台に対して、送風量を制御するセル風量分配ユニットをセル当たり1台、風向きの制御を行う体感気流切替機能付き吹出口をセル当たり2台付設します。

セル型空調システムの全体図

セル型空調システムの全体図

セル環境集中設定器(壁リモコン)

セル環境集中設定器(壁リモコン)

人々の心理的な温冷感に着目した、空調制御における新機軸を考案

ニつ目は、「温冷感設定」という独自の空調コントロール方法です。通常のエアコンでは、温度設定によって、空調の運転を切り替えていきますが、人の温冷感を左右するのは必ずしも温度だけではありません。

ネクスフォートでは、例えば「暑い」と感じた居住者がタッチパネル式のセル環境集中設定器で「涼しく」するという操作をすると、天井吹出口からの風量を増やしたり、風向を変えて心地よい冷風を感じられるようにしたりするなどの制御を行い、「涼しい」という体感をもたらします。居住者は、設定器から操作を行ったという事実と、それによって得られた風による体感の変化が相まって、室内環境への満足度が高まりやすくなります*1

風量や風向きが最も涼しい状態になっていても、さらに涼しくする操作も可能です。この操作により、初めてエアコンの設定温度を下げます。つまり、気流による「涼しさ」を提供し、それでも暑ければエアコン本体の温度設定値を変更するという手順を踏むことで、居住者に満足感を提供しつつ空調にかかわるエネルギーを低減します。

ネクスフォートでは、管理者用メニューを用意しており、居住者の操作によるエアコンの設定温度の上下限について許容範囲を設定したり、居住者が設定した温度での運転を設定した時刻に解除し、所定の設定温度による運転に戻すことも可能です。

操作の反応を感じてもらい、省エネ環境をキープ

操作の反応を感じてもらい、省エネ環境をキープ

快適性を損なうことなく、消費エネルギーの最適化を実現

三つ目は、省エネルギーをさらに前面に押し出した「エコモード」という運転方法を用意している点です。これは、居住者の快適性を維持しながらエアコンの消費電力を最適化するもので、「ゆらぎ設定値緩和」と呼ばれる制御を採用しています。

例えば、夏に26℃設定でエアコンを運転している場合、ネクスフォートが自動的にエアコンの運転を26℃から28℃くらいまで徐々に上げていき、それをまた26℃に戻すという制御を繰り返し行います。28℃に至る過程では、エアコンの運転温度が緩和されるため、その分、省エネルギーにつながります。一方、26℃に下げる段階で居住者は涼しさを特に意識することになり全体的に快適性を維持しつつ、省エネルギーが得られます。アズビルが実施した試験条件下*2での検証では、エコモード運用によって得られる省エネ効果は、約9%と算定されています。

アズビルでは、ビルのセントラル空調の制御分野で長年にわたりノウハウを蓄積し、居住者の快適性と省エネルギーに関する研究・開発に取り組んできました。さらに、工学院大学などの学術機関との産学連携による、居室快適性や環境制御の領域についての共同研究も積極的に展開しており、そうした長年の取組みにより、ネクスフォートが実現したといえます。

今後は、実際にネクスフォートをご利用いただいているお客さまの声をフィードバックする形で継続的に改善を進めていきます。近々、設定器のインターフェースをタブレットやスマートフォン上に組み込むことも予定しています。将来的には、より大規模なセントラル空調の環境でのセル型空調システムの採用や、温度や気流といった環境要素にとどまらず、湿度なども含めたトータルな制御の実現など、ビル空調におけるさらなる快適性と省エネルギーの両立を目指していきたいと考えています。

*1:工学院大学の野部達夫教授の研究「ヒューマンファクターの可能性」では、空調に関して同一環境であっても、会社が提供した室内温熱環境では居住者からのクレームが発生しやすく、居住者自身がリモコン操作で調節した結果として獲得された環境についてはクレームを言わないという傾向を指摘している。

*2:試験条件は次のとおり。基準温度26℃、温度ゆらぎ制御の設定範囲26~28℃、外気温度33℃、室内熱負荷9kW(1kWヒーター8台+照明)、室床面積120m³/高さ3m、空調設備は天井隠蔽型室内機14kW×1台、室外機22.4kW。

※ネクスフォートはアズビル株式会社の商標です。

この記事は2016年04月に掲載されたものです。