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長年培ってきたVAV制御技術を新たな発想で応用し、住宅向け全館空調にさらなる価値を創出

アズビルが提供する戸建住宅向け全館空調システム「きくばり」。2016年冬には同製品sシリーズのプレミアム仕様としてVAV(可変風量)制御搭載システムの販売を開始しました。アズビルの各事業部門の知見と技術を活用し、部屋単位での温度設定変更やecoモードの設定などを可能にしたこの新仕様は、お客さまにさらなる快適性や省エネ効果を提供します。

部屋ごとの温度制御により、さらなる快適性向上と省エネ効果を目指す

建物分野のビルディングオートメーション(BA)事業、工業分野のアドバンスオートメーション(AA)事業と並ぶ、azbilグループ第3の事業の柱に位置付けられるライフオートメーション(LA)事業。ここでは建物・工業分野で培った計測・制御の技術を活かしながら、人々のいきいきとした暮らしに貢献することを目的とした事業を展開しています。

LA事業の一分野として、アズビル株式会社は戸建住宅向け全館空調システム「きくばり™」を提供しています。「きくばり」は、居室をはじめ廊下やお風呂の脱衣所なども含めた、住宅内全体の温度差軽減による「温度バリアフリー」を実現する空調システムです。高度な快適性を提供し、ヒートショック*1の原因となる部屋ごとの温度差を減らすことができる製品として、1997年の発売以来、現在までに8,000台以上の販売実績を誇っています。

アズビルでは、2016年冬に「きくばりsシリーズ*2」のプレミアム仕様として、VAV(可変風量)制御*3を搭載したシステムの販売を開始しました。これまでの「きくばり」では、建物内の全空間を同一の温度に維持することで快適性を追求していましたが、この新仕様ではそれに加えて、部屋単位での温度調節やecoモードへの切替え、温調オフを可能にしています。

この新システム開発の背景には、居住環境におけるお客さまからの多様なニーズがありました。温度の感じ方は人それぞれ異なる上、居室内の人数や日射といった環境も家や時間によって様々です。また、生活スタイルの違いによっても、好まれる温度は異なります。さらに、省エネルギーのために「人がいない部屋を空調するのはもったいない」というニーズも挙がっていました。そこでアズビルでは、こうした状況を踏まえ、居住者の好みや用途・使用状況に応じた部屋ごとの温度設定を可能とするため、新たなシステムの開発に着手しました。

VAV制御の仕組み

VAV制御の仕組み

ビル空調の技術を住宅に応用、既存技術がさらなる進化を遂げる

新システムを検討する中で、アズビルがBAの分野において長年の実績を持っているVAV制御に着目しました。ビル空調におけるVAV制御は、大規模ビルにおいてゾーン単位で、きめ細かく質の高い空間を提供する技術です。基本的な仕組みは、設定温度に合わせて、天井などに取り付けられた吹出し口から室内に送り込まれる冷暖房の風量を調節するものです。今回、この仕組みを住宅に応用するに当たり、アズビルでは小型のVAVユニットを新たに開発しました。

その特徴として、ビルで用いるシステムを住宅用に単純に置き換えたのではないということがあります。一般的にビル空調のVAV制御では、室温計測に加えて、吹出し口から送出される風量をセンサで計測し、その値を制御に用います。しかし、住宅では、ビルと比べて限られたスペースへの設置となり、頻繁な点検も難しいため、VAVユニットを小型でシンプルな機構にする必要がありました。そこで、「きくばり」の開発チームは、不可欠だと考えられていた風量センサを利用しないという斬新な着眼点で開発に取り組みました。各部屋の温度設定や現在温度、空調機の持つ特性から、各部屋に必要とされる送風量を予測するロジックとともに、過去の温度推移や変化の度合いを考慮した空調制御方式を考案しました。フィールドテストでの検証と調整を重ねて、風量センサの設置を不要としたVAV制御を実現しました。また、新規開発した風量可変ダンパとの相乗効果により、VAV制御で高性能と小型化を両立させるという大きな進化を遂げました。このコンセプトは今後、ビル空調におけるVAV制御でも採用される可能性もあります。

また、VAV制御搭載のシステムでは、空調機本体と部屋ごとのVAVユニット1台1台をネットワークでつないでいます。一般的には電源ラインと制御ラインの配線がそれぞれ必要でしたが、ケーブル1本で制御通信と電力供給を実現することで、配線工事の工程を簡略化し、省コストとメンテナンス性の向上を実現しています。

さらに、新システムでは、温度センサ内蔵型のリモートコントローラや制御ネットワークモジュールなど、豊富な納入実績のあるアズビル製品の技術を活用することで、短期間で信頼性も高くコストを抑えたシステムを開発することができました。

〈一体型〉VAV吹出し口 ユニット

〈一体型〉VAV吹出し口 ユニット

専用タブレットリモコンを使って、1週間単位での自動運転が可能

このシステムでは、空調機1台に対してVAVユニット24台までを接続できます。そのユニットごとにリモコンによる温度設定が可能です。すなわち、住宅を最大で24のゾーンに分け、きめ細かな空調を実現できるというわけです。

また、外出時や就寝時には設定温度を緩和するecoモードに切り替えることと、使用しない部屋では温調を停止することが可能です。ecoモードや温調オフ機能を使うことで、VAVなしのシステムと比べ約25%の省エネ効果が得られるというシミュレーション結果も出ています。

さらに、今回のシステムでは、オプションとしてタブレットリモコンを提供しています。空調機本体とワイヤレス通信で接続されたタブレットリモコンにより、対象となる部屋に出向くことなく、タブレットリモコンで各部屋の温度設定を一覧できることに加え、温調のオン/オフをお客さまの手元で操作できます。部屋ごとに、1日を起床、外出、帰宅、就寝といった四つの時間帯に分けることができ、それぞれの時間帯ごとに温度設定が行えるスケジュール機能では、1日単位、曜日単位でスケジュールのパターンを変えることもできます。つまり、簡単な操作によって1週間単位での自動運転を実現できます。

このように「きくばりsシリーズ」のVAV制御搭載システムは、お客さまの住環境にさらなる快適性の提供を実現しました。既に「きくばり」で実現している電子式エアクリーナによるPM2.5やハウスダストの除去といった空気の清浄化や今回の取組みで充実させた温熱環境の制御に加え、さらなる住環境の快適性と省エネルギーを追求していきたいと考えています。今後もアズビルでは、こうした取組みを通じてazbilグループの企業理念である「人を中心としたオートメーション」による、お客さまの「安心・快適・達成感」の実現に向けた、さらなる貢献を目指していきます。

タブレットリモコンの使用イメージ

タブレットリモコンの使用イメージ

*1:ヒートショック
温度変化のために血圧が急激に上下することで、心臓に大きな負担がかかったり、脳の血管がダメージを受けたりすること。

*2:きくばりsシリーズ
全館空調システム「きくばり」は、1台のシステムで、冷房・暖房・換気・空気清浄・除湿の五つの働きをする戸建住宅向け全館空調システム。24時間・365日、家全体を快適な空気に保つ。sシリーズは、フラット屋根や屋根の傾斜が少ない住宅でも全館空調システムの導入が容易な床置き型のシステム。押入れほどのスペースに機械室を設けて空調室内機を設置する。

*3:VAV(可変風量)制御
全館空調システム「きくばりsシリーズ」では、部屋ごとの温度設定が可能。設定温度と室温の差を計測し、風の通り道の開閉を自動制御することで室内に流れる冷暖房の風量が変わる。VAVはVariable Air Volumeの略。

※きくばりは、アズビル株式会社の商標です。

この記事は2018年08月に掲載されたものです。