計測器精度保障

高度に安定した校正環境を実現する新校正施設

正しく測るためには計測器を正しい手順で使用することが重要だが,計測器を使用する場所の温度や湿度などの測定 環境にも注意する必要がある。実際,計測器には測定時の温湿度変化によって測定結果が変わるほどデリケートなもの も多く,その計測器が正しく測れていることを確認(校正)する作業においてはなおさら測定環境を安定させることが重要 になる。本稿では,アズビルが建設中の新校正施設で実現しようとしている機能の紹介を通して,計測器で「正しく測る」 ためには安定した測定環境がいかに重要かについて説明する。

アズビル株式会社 技術標準部計測標準グループ 東海林 成樹
アズビル株式会社 技術標準部 加藤 誠司
アズビル株式会社 ビルシステムカンパニーマーケティング本部IBシステム部 太宰 龍太

azbil Technical Review 2022年 

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膨張法による高精度真空標準の確立

アズビルが製造・販売しているサファイア隔膜真空計 形 SPGの信頼性,トレーサビリティ確保のため,真空標準として 膨張法という方式による真空発生装置を導入した。測定の不確かさとなる要因を調査し,その低減を行った。そして,真 空計を仲介して産業技術総合研究所(以下,産総研)との測定結果の比較を行い,導入した装置が十分な能力を持ってい ることが確かめられた。その上で,真空計という区分でJCSS(Japan Calibration Service System)校正事業者として登 録され,サファイア隔膜真空計 形 SPGのトレーサビリティの確保等につなげることができた。

アズビル株式会社 技術標準部計測標準グループ 片岡 俊之

azbil Technical Review 2022年 

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正しく測るための社内基盤整備

企業活動において使用する計測器の校正やそのトレーサビリティは,ISO 9001の要求事項であることからも必須なものであり,当たり前のこととして普及している。ただし,制度上その必要性を認識していても,校正を行う本来の意味や,企業がそのために何をどのようなレベルで実施しているのか,またはすべきなのかに関して深く理解している人は多くないように思える。これらの概要について,いくつかの事例を交えて紹介するとともに説明する。

アズビル株式会社 技術標準部計測標準グループ 新沢 陽介

azbil Technical Review 2022年 

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安定した湿度校正を実現する低露点発生装置の開発

アズビルでは計量法校正事業者登録制度(JCSS:Japan Calibration Service System)が確立される以前から,常温 常湿付近の湿度に関する計測設備を構築しトレーサビリティを確保してきた。湿度製品の仕様範囲拡大に伴い,低湿度 (常温での相対湿度が概ね10 %以下)の領域についても設備を導入しトレーサビリティ確保を続けてきた。しかし最初に 導入した低露点発生装置は偏りやばらつきなどが目標の性能に達せず高精度な測定が行えなかったため,より精度良い 校正を効率良く行うことを目的に新たな装置の検討をすすめ,偏りとばらつきの少ない低露点発生装置を開発した。

アズビル株式会社 技術標準部計測標準グループ 中垣内 直美 

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市場要求に応える気体大流量の標準供給体制構築

世界的に流量計測はエネルギー管理やエネルギー取引きにおいて重要視されているが,国内において気体流量のトレーサビリティに対する重要性の認識は,他の物理量と比較して遅れているのが現状である。それは,受け皿となるJCSS(Japan Calibration Service System)登録事業者の対応可能な範囲が限られているなども要因の1つであった。azbilグループにおいても大流量への標準供給体制の充実が求められてきた。そのような背景の中,アズビル金門校正サービスセンターは,2003年に気体流量計の区分においてJCSS登録事業者となって以来,校正可能な範囲を拡大してきた。現在では,国家計量標準で供給できない校正範囲のJCSS校正を可能にしている。本稿では,その取組みについて紹介する。

アズビル金門株式会社 開発本部校正サービスセンター 古屋 宏樹

azbil Technical Review 2022年 

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液体流量計の開発と品質管理のための標準供給体制構築

アズビルは電磁流量計や熱式流量計などの液体流量計の製造・販売を行っている。これらの製品の開発や生産に欠か すことができない校正設備の紹介と製品の性能を評価できる設備の特徴や能力について述べる。また,これらの技術を 維持する仕組みとしてJCSS(Japan Calibration Service System)校正事業者登録制度を活用し,トレーサビリティの確 立や校正測定能力を維持していることを説明する。

アズビル株式会社 技術標準部計測標準グループ 杉山 信幸
アズビル株式会社 技術標準部計測標準グループ 山口 徹

azbil Technical Review 2022年 

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