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人々の健康への貢献を目指す事業をけん引

― 長年にわたり培ってきた製薬プロセスに関する高度な知見と「人を中心としたオートメーション」との融合で新たな価値提供を目指す ―

1963年にスペインで創業し、約60年の長きにわたり製薬工場をはじめ医薬関係の研究所や病院に向けた各種装置、環境システム、サービスを提供してきたアズビルテルスター。azbilグループが保有する高度な計測・制御技術を積極的に取り入れながら、同社が提供する装置やサービスの継続的な強化を図ることで、世界中の人々の健康に貢献する新たな価値提供を目指しています。

アズビルテルスター有限会社 代表取締役社長 ヨヘン ディック

アズビルテルスター有限会社
代表取締役社長
ヨヘン ディック

人々の健康へ貢献する市場に向けて豊富な経験とノウハウを提供

azbilグループにおいて、建物分野のビルディングオートメーション(BA)事業、工業分野のアドバンスオートメーション(AA)事業に並ぶ、第三の事業の柱と位置付けられているライフオートメーション(LA)事業。アズビル株式会社ではこのLA事業領域において、人々の健康に貢献する市場に向けて「オートメーション技術に着想を得た、次世代の製造装置と環境システムの統合ソリューション」を提供するライフサイエンスエンジニアリング事業を展開しています。その事業を担うのが、2013年にazbilグループに加わったアズビルテルスター有限会社です。スペインに本拠を置く同社は、1963年にバキュームポンプの製造・販売で創業し、その技術を製薬設備に活かすことで、装置メーカーとして約60年の長きにわたり医薬品製造に関する技術・ノウハウを培ってきました。これを基盤に、製薬工場をはじめ医薬関係の研究所や病院向けに凍結乾燥装置、滅菌装置、アイソレータ装置、クリーンルームなどの開発・製造・販売を行うほか、コンサルティングやエンジニアリング、製薬用クリーンルーム施設の建設に関するサービスも提供しています。また、バイオセーフティキャビネット、超低温冷蔵庫、研究室用凍結乾燥装置を病院と研究施設向けに製造・販売しています。今日では本国スペインを含む欧州諸国や北米、中南米、アジアと、世界11カ国・地域に拠点を置くほか、スペイン、英国、中国(上海)の工場で各種装置の製造を行うなど、グローバルにビジネスを展開しています。

製薬装置の提供に加え工程の設計や検証に至る広範な領域を支援

アズビルテルスターの事業内容は四つに大別されます。まず一つ目が、主に製薬工程で利用される各種機器の製造・販売を行うライフサイエンス装置事業です。具体的な製品としては凍結乾燥装置が挙げられます。液体として生産される医薬品を凍結させ、気圧を下げることで昇華点を下げ、低温状態で水分を気化させて乾燥させる、いわゆる「フリーズドライ」にするための装置です。凍結乾燥させることにより医薬品を常温で長期保存することが可能となります。そのほか、製薬の工程で人にとって有害な物質を扱う際に作業者を保護するために広く使われるアイソレータに加えて、新型コロナウイルスワクチン接種で使われる注射器などの製造用機器や、最終製品を安定かつ安全な状態にするための滅菌装置なども取り扱っています。

二つ目はクリーンルーム建設事業です。医薬品の製造においては、空気中に含まれる浮遊微粒子や微生物などを一定レベル以下に維持し、清浄度が保持された環境が求められます。アズビルテルスターは製薬向けの製造プロセスについて高度な専門知識を有していることから、そうした環境を実現するために設備業者として製造設備を設計し、機器の調達や工事のマネジメントに至るまでの支援を行います。設備の設計だけでなく、その設備で生産プロセスが適正に稼働できているかどうかをチェックするバリデーションを含め、データの改ざんなどがされない仕組みづくりやトータルなコンサルティングが行えるのもアズビルテルスターの大きな特長です。

三つ目の事業領域がコンサルタンシー&カスタマーサービス事業で、製薬会社が原材料を調達しているインドや中国をはじめとする国や地域のメーカーに対し、毎年1回実施する第三者監査業務を請け負うというサービスも提供しています。原材料メーカーの製造プロセスや製品品質がGMP(Good Manufacturing Practice)など現地の薬事上の法規制にかなうものとなっているかどうかをチェックし、依頼元の製薬会社にレポートするというものです。また、定期的に行われる製薬プロセスの点検も請け負っており、温度や圧力など、計測機器のキャリブレーション*1を実施するサービスも展開しています。

そして四つ目のリサーチ&メディカル事業では、製薬・バイオ関連の研究所や病院の医療現場を対象に、実験用の凍結乾燥装置やバイオセーフティキャビネット、超低温冷蔵庫などを生産、提供しています。これらの設備は、新型コロナウイルス感染におけるPCR検査のように患者などから採取した検体の検査や安全な保管に役立てられています。

アズビルテルスターの主な製品と事業内容

アズビルテルスターの主な製品と事業内容

共同開発や技術融合の取組みを通じ、製品・サービスを継続的に強化

さらにアズビルテルスターでは、アズビルの計測・制御技術を活用して自社製品の効率化・コスト削減・高品質化にも取り組んでいます。既にアズビルの技術開発部門と協力して、凍結乾燥装置へ医薬品が入った容器( 以下、バイアル)を投入(ロード)し、凍結乾燥処理後にバイアルを凍結乾燥装置から回収(アンロード)する自動搬送装置(ローダ・アンローダ)を新たに開発しました。本製品に採用された技術では、凍結乾燥装置から製品を取り出す際に作業者が薬品を吸い込むリスクを抑える一方で、装置内の薬品へのダストや菌の混入を防ぐこともでき、凍結乾燥プロセスにおける清浄性、洗浄性、滅菌性の担保に貢献しています。

また、アズビルテルスターが提供するアイソレータにアズビル製の流量計を組み込むことで、製品の高品質化にも取り組んでいます。主に医薬品の製造・開発に使われるアイソレータは、アイソレータ内部と外部を完全に分ける働きをするもので、製薬プロセスにおいて、隔離されたユニットの中で無菌環境を維持する、または有害・有毒な物質を扱う際に作業者を保護するための装置です。隔離されたユニット内の無菌環境を維持する際は、ユニット内の除染処理が不可欠です。アズビルテルスター製の除染処理を行う装置では、過酸化水素水を空気と均一に混合して噴霧して行いますが、その量が非常に微小であるため、従来は噴霧量を厳密に捉えることが困難でした。アズビルテルスターは、除染装置にアズビルの熱式微小液体流量計を組み込み、噴霧口に至る経路での過酸化水素水の実流量を計測することで使用量を正確に把握し、除染処理の品質向上を実現しました。現在顧客に提供されるすべてのアイソレータにアズビルの熱式微小液体流量計が組み込まれています。

アズビルテルスターは、今後もazbilグループが長年にわたり培ってきた計測・制御にかかわる高度な知見やノウハウ、技術も積極的に取り入れる形で製品・サービスの強化を進め、azbilグループのLA事業におけるライフサイエンスエンジニアリング領域をけん引していくほか、azbilグループとしてSDGsの取組みにも注力していきます。こうした事業活動を通して世界中の人々の健康に貢献する価値提供にまい進していきたいというのが同社の切なる思いです。

*1:キャリブレーション
指定された条件下にて測定値と正しい値(真値)との間にどのくらいの誤差があるかを調べる作業のこと。調整(アジャストメント)を含めてキャリブレーションということもある。

この記事は2022年08月に掲載されたものです。