HOME > 株主・投資家情報 > 経営方針 > 社長インタビュー

社長インタビュー

社長インタビュー

Q1 azbilグループは持続的成長に向け、 長期的にどのような姿を目指しているのですか。

A1 「人を中心としたオートメーション」の追求を通じ、社会的な課題の解決に貢献できるグローバル企業を目指しています。

azbilグループは1906年の創業以来、「技術の力で人々を苦役から解放する」という創業者の想いを受け継ぎ、「人を中心に据えて課題を解決する」という発想でオートメーションの技術を進化させてきました。この独自の発想は時代のニーズに合わせて領域を広げ、2006年には「人を中心としたオートメーション」の理念を制定し、今日では「安心、快適、達成感、地球環境への貢献」という価値提供に結びついています。

オートメーションとは、高度な計測技術によって様々な課題の現場における状況を可視化し、それを最適な状態に管理・制御することで、新たな価値をつくり出す仕組みです。したがって、課題が存在するかぎり、オートメーションはなくてはならない存在であり、社会や技術の変化とともに新たな領域が拡大すると考えています。現在、IoT やAI、ビッグデータ活用による技術革命が、想像を超えるスピードとインパクトをもって進行しています。さらに5G(第5世代移動通信システム)時代の到来は、オートメーションが社会的な課題を解決する新次元のサービスの開発・提供を可能にすると考えています。

また、社会的な課題という観点では、国連でSDGs(Sustainable Development Goals̶持続可能な開発目標)が採択され、環境、エネルギー、安全、働き方といった諸問題が世界共通のものとして明確になりました。同時に世界規模での課題解決に、企業活動を通じた貢献がますます問われるようになってきています。日本政府も科学技術政策の基本方針として、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会「Society5.0※1」を提唱しています。こうした社会の変革期において、当社グループが1世紀以上にわたって追求している「人を中心としたオートメーション」の果たす役割は、日本を含むグローバルな視点でより重要性を増し、大きく広がっていることを実感しています。

これからの時代にオートメーションが果たすことのできる可能性と企業がなすべき役割を考え、SDGsの17の目標のうち、特に当社グループならではの貢献が考えられる8つを優先課題として取り上げ、これらに取り組んでいます。私たちは、「人を中心としたオートメーション」の追求を通じて、SDGsの目標に取り組み、環境負荷低減、超スマート社会の実現、安心・快適な社会の実現等、オートメーションで社会的な課題の解決に貢献できるグローバル企業を目指していきます。

※1 Society5.0:日本政府が「第5期科学技術基本計画」(2016年度~2020年度)で提唱した科学技術政策の基本指針のひとつ。狩猟社会(Society1.0)、農耕社会(Society2.0)、工業社会(Society3.0)、情報社会(Society4.0)に続き、第4次産業革命によって、新しい価値やサービスが次々と創出され、人々に豊かさをもたらしていく人間中心の社会です。


Q2 現在進行している中期経営計画で重点的に取り組んでいることは何ですか。

A2 2021年度の長期目標を実現するため、利益体質の強化を推し進めるとともに、その先の持続的成長も視野に入れた3つの事業領域の拡大に取り組んでいます。

azbilグループは、2021年度に「人を中心に据え、人と技術が協創するオートメーション世界の実現に注力し、顧客の安全・安心や企業価値の向上、地球環境問題の改善等に貢献する世界トップクラスの企業集団となる」ことを長期目標に掲げ、計数目標としては「売上高:3,000億円規模、営業利益:300億円以上、ROE:10%以上」を設定しました。

この目標実現に向けた第2ステップとして、2017年度にスタートした3ヵ年中期経営計画では、3つの基本方針に沿って、収益性の強化と事業成長を実現する事業構造の変革に取り組んでいます。1つ目は、IoT、AI 等を含む技術と製品・サービスを基盤に、お客様の現場で課題解決に貢献し、長期パートナーとしてのポジションを数多く確立することです。2つ目は、顧客ニーズに応じた新たな製品に加え、コンサルティング等のサービス提供を含めたソリューション展開で質的な転換を図りながら、展開地域をグローバルに拡大することです。3つ目は、非連続的な環境変化に柔軟に対応できる「学習する企業体」を目指すことです。これら3つの基本方針は、私が経営のバトンを引き継ぎ社長に就任した2012年当初から、一貫して重視してきたことでもあり、徐々に目に見える成果として現れてきています。

特に、現中期経営計画においては、持続的な成長の実現に向けて、「ライフサイクル型事業の強化」「新オートメーション領域の開拓」「環境・エネルギー分野の拡大」の3つの成長領域にフォーカスして、技術開発・商品(製品・サービス)拡充・体制整備等の施策を実行しています。

中期経営計画(2017~2019年度)の方針・目標

Q3 2018年度の業績についてはどのように評価していますか。

A3 一部市場の市況悪化の影響はありましたが、期初計画を超える利益を計上することができ、安定的な成長に向けた体質強化が進捗していることを実感しています。

2020年に迫った東京オリンピック・パラリンピック開催及び一連の都市再開発計画で、大規模建物向けの空調システム需要は堅調に推移していますが、半導体製造装置市場等で市況が減速するなど、事業環境はまだら模様となりました。しかしながら、azbilグループの業績は、売上高で前年度比0.6% 増の2,620億円、営業利益は11.1%増の266億円を達成することができました。特に利益面については、原価低減や営業施策により大きく売上総利益率が改善したアドバンスオートメーション(AA)事業をはじめとして、ビルディングオートメーション(BA)事業、ライフオートメーション(LA)事業においても売上総利益率が改善し、BA事業における一時的な引当費用の発生やグループ全体の研究開発費の増加を補って、期初計画を上回る増益を実現しました。これは、中期経営計画最終年度(2019年度)の営業利益目標を前倒しで達成するものであり、前年度に続いて過去最高益を更新したことになります。

当社グループは、オートメーションを核に据えながら事業サイクルの異なる3つの事業、「BA事業」「AA事業」「LA事業」で事業を運営し、さらに各事業においても安定性と成長性を兼ね備えた経営を目指し、事業構造の改革に取り組んできました。この結果、当社グループは現在、お客様の重要設備のライフサイクルに関わる部分で価値を提供し、比較的中長期の視点でビジネスを展開できるようになっています。安定収益の見込まれるMRO(MaintenanceRepair and Operations)をはじめとする設備納入後の運用管理ビジネスも一定割合を占め、成熟市場においても収益を維持・向上できる体質になってきました。今回、一部市場における事業環境の変化があっても全体として期初の計画を上回る収益を計上できたことは、AA事業の事業収益力の改善を含め、グループ全体としての持続的かつ安定的な成長の実現に向けた取組みの大きな成果と捉えています。


Q4 一部事業環境に不透明感がありますが、中長期の事業戦略に変更はありますか。

A4 事業環境の変化を的確に捉えつつ、各施策の着実な実行を図るとともに、技術開発・生産体制等の事業基盤整備への投資を行い、持続的な成長を目指します。

2018年度の業績を振り返って、あらためて取組みの方向性への確信を深めており、事業環境の変化を的確に捉えつつも、変化による悪影響やリスクを排除できる3つの事業の特性に応じた施策を展開し、さらなる「収益力の強化」と「持続的成長に向けた3つの事業領域の拡大」を推し進めます。併せて、新たな投資を含め持続的成長に向けた事業基盤の強化を着実に実行していきます。

ビルディングオートメーション(BA)事業
~ソリューション展開で既設建物市場へのアプローチも強化~

国内外ともに事業環境の見通しに変化はなく、特に国内については2020年以降も需要は継続する見込みです。BA事業では、施工現場での業務遂行能力を高め、一連の都市再開発及び東京オリンピック・パラリンピックに向けた高水準の需要に対し、受注高を着実に伸ばしてきました。同時に、省エネルギー化や運用コスト低減に関するソリューション需要が高まる中、2020年以降に拡大の見込まれる既設建物の改修需要へのアプローチを強化しています。今後はさらに、海外市場向けの製品ラインナップの拡充等を進めるとともに、新BAシステム「savic-net™G5」を核に、エッジコンピューティング、クラウド等の新技術を活用した次世代製品・サービスの開発・投入を推し進めることで、新しいオートメーション領域の拡大を図ります。また、大きく進展した「働き方改革」への取組みを進化させ、もう一段の効率化に向けた事業プロセスの整備に取り組みます。

アドバンスオートメーション(AA)事業
~環境変化にひるまず成長戦略を継続~

一部市場の市況低迷はありますが、国内外での生産設備への投資や生産高度化のための自動化ニーズは引き続き強く、中長期視点では、継続的な成長を見込める事業環境にあるとの見方に変更はありません。AA事業では引き続き、3つの事業単位(CP事業、IAP 事業、SS 事業)※2を軸とした収益力強化と成長戦略に注力します。具体的には、海外事業及び新しいオートメーション領域での事業拡大を加速します。また、高利益事業へのシフト、グローバル生産体制・調達体制の強化、高付加価値エンジニアリング体制の構築等、事業収益力強化への取組みを拡大します。

ライフオートメーション(LA)事業
~利益体質を定着させながら新たな事業機会の創出を目指す~

LA事業は、ガス・水道等のライフライン分野で安定した需要を確保しつつ、製薬・研究所向けのライフサイエンスエンジニアリング(LSE)分野と、住宅用全館空調システムの生活関連(ライフ)分野において利益体質の定着に向けた構造改革を継続して強化します。さらに今後の成長に向けて、ガス自由化やIoT 等の技術革新により新たに生まれたニーズを捉え、新しいオートメーション領域の創出・拡大を図るため、エネルギー供給に関する様々な実証試験への参画を積極的に進めるとともに、クラウドを活用した新たなデータサービス事業への着手、展開等を進めていきます。

※2 3つの事業単位(管理会計上のサブセグメント):

  • CP事業: コントロールプロダクト事業(コントローラやセンサ等のファクトリーオートメーション向けプロダクト事業)
  • IAP事業: インダストリアルオートメーションプロダクト事業(差圧・圧力発信器やコントロールバルブ等のプロセスオートメーション向けプロダクト事業)
  • SS事業: ソリューション&サービス事業(制御システム、エンジニアリングサービス、メンテナンスサービス、省エネソリューションサービス等を提供する事業)

Q5 グローバル展開の進展に向けた施策について教えてください。

A5 販売・サービス体制の拡充、現地生産体制の強化、戦略的な事業推進体制等の整備とともに、ソリューションを主体とした事業モデルの構築・展開を加速していきます。

日本で蓄積した技術、製品、サービスを海外に広げる機が熟し、海外企業とのパートナーシップを含めてazbilグループがグローバル展開を本格化し始めたのは2010年代に入ってからです。それから今日まで、一部戦略の見直しを迫られる厳しい局面もありましたが、現地のお客様との信頼関係を地道に構築し、ランドマークとなる実績を積み上げ、着実に成長を進めています。現在、海外での事業は、先行投資の段階から利益計上の段階に入っています。おかげさまでazbilブランドの海外での認知・評価も定着してきました。また、この期間の様々な経験を通して多くの知見も得ることができました。今後は将来の成長領域とする海外市場において、もう一段の伸長に向けた取組みを行っていきます。

例えば、著しい経済成長を遂げているアジア地域では、一定の温度を維持できればよいといった空調ニーズから、人が心地よくいられる細かな温度管理が求められる時代になってきています。また、様々な業種で環境負荷低減のニーズが高度化し、ソリューション事業展開の機会が増加しています。そうしたグローバルな事業機会を着実に獲得していくため、現地販売・サービス網の拡充・人員増強を進めるとともに、現地ニーズに応じた製品ラインナップの拡充、競争力のある製品の投入を進めています。また、BA事業におけるエネルギーマネジメントやAA事業のバルブメンテナンス等のライフサイクル型事業の拡大、生産体制の整備・拡充等を継続・強化しています。

このほか、2018年には、シンガポールに「東南アジア戦略企画推進室」を開設し、事業横断的な企画・戦略・管理機能の強化と市場開拓を図っています。既にその活動を通じて、BA事業が提供するライフサイクルでの建物の運営・管理に関する方法論の価値を高く評価いただき、グローバルに展開する大手設計事務所との協業が実現するなど、急速に新たな事業展開が始まっています。

海外事業の展開に関しては、コンプライアンス等、経営管理面での対応に充分留意しながら、当社グループが強みを活かせる事業機会を逃すことなく、ソリューションを主体に、当社グループ独自の事業モデルの構築・展開を加速していきます。


Q6 オートメーション事業の競争力を支える生産・研究開発について説明してください。

A6 デバイス技術の強化とAI技術等の導入による次世代商品の開発に加えて、高度なものづくりを支える生産技術やグローバル生産体制の強化を進めています。

ICT(Information and Communication Technology̶情報伝達技術)の発達を背景に、あらゆるモノがつながるIoT、ビッグデータが価値を生み出すAIによって、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)が高度に融合し、経済発展と社会的課題の解決を実現する「超スマート社会」が到来しようとしています。こうしたSociety5.0の世界では、現場での課題把握、対策、フィードバックを基本とするオートメーション事業による価値提供の範囲が無限に広がっています。

azbilグループは、現場での課題解決のノウハウと、それに必要なセンサやアクチュエータ等の技術、またこれらを微細なチップ上に組み上げるMEMS※3等のデバイス技術を強みとしています。これにビッグデータやAIの技術を組み合わせることにより、オートメーション事業の付加価値を革新的に高め、将来の成長機会の獲得を図っています。このため、研究開発への投資拡大を進めるとともに、新技術の導入についてはスピードと効率性を重視し、M&Aを含め他社とのパートナーシップ強化も積極的に進めていきます。さらに、AIやクラウドといった新技術を活用した製品・サービスの開発・マーケティングを行う専門部署を設置し、産業革新ニーズへの感度と対応力を高めています。

生産面では、グローバルな事業展開を支える最適な生産体制を構築し、海外拠点の生産拡大と海外調達強化、また、商流、物流整備等の取組みと合わせて、品質、スピード、コストの面での競争力強化を図っていきます。国内においては2019年4月に竣工した湘南工場の新棟を活用して、生産の基本要素である4M(Man、Machine、Material、Method)の革新をリードする当社グループのマザー工場として、AIやIoT 技術を活用した高度な生産ライン構築、生産工程の高度化、また、オペレーションの高効率化等を進め、当社グループならではの付加価値の高いものづくりに向けた革新を進めると同時に、マザー工場がリードする形でのグループ生産各社のものづくり力強化を図ります。また、当社の研究開発拠点である藤沢テクノセンターの整備・強化も進めており、高度なセンサパッケージ技術を可能とするMEMS技術の強化等に取り組んでいきます。

※3 MEMS:Micro Electro Mechanical Systemsの略称。センサ、アクチュエータ、電子回路を一つの基板の上に微細加工技術によって集積した機器。


Q7 azbilグループならではの「働き方改革」について教えてください。

A7 オートメーションの現場で培ったノウハウとIoT、AI等の新技術を融合させ、お客様との協働をベースとした事業構造変革で生産性向上、競争力強化を目指します。

「働き方改革」といっても労働時間の短縮ありきで、生産性をないがしろにするようなやり方は長続きしません。効率だけではなく効果も併せて高める働き方を追求し、お客様の価値に結び付けてこそ意味があると考えています。

azbilグループでは以前より、環境変化に柔軟に対応し、常に事業活動の効果・効率を高めることを可能にする仕組みを目指して継続的な取組みを行ってきました。基本方針に掲げる「学習する企業体」がこれにあたります。

具体的には、アズビル・アカデミーを通じ、技術革新と市場の変化に適応できる人材を育成・再教育し、グループ内での人材の流動性を高めることにより、どんな環境変化の中でも能力を発揮できる体制整備に努めています。さらに、海外展開を牽引するグローバル人材の確保・育成、ダイバーシティの推進にも注力しています。また、中長期的な観点から価値創造への貢献を総合的に評価する人事制度への改定を行いました。当社グループは、「働き方改革」への取組みを契機として、活き活きと働ける人と場を創る「健幸経営」を実践しています。

なお、こうした取組みを継続する上で注意しておきたいのは、当社グループの事業は、お客様の現場でお客様との協働によって課題を解決する仕事であり、独りよがりに「働き方改革」を進められるものではないということです。つまり、当社グループならではの「働き方改革」は、お客様とのWin-Winの関係のもとで、お客様と一緒に新たな仕事のやり方をつくり出すという姿勢で取り組むことが重要であると考えています。

例えば、BA事業においては、その施工現場に必要とされる資格者等の人材を集中的に配置するだけではなく、働き方の形態や仕事の分担、そしてお客様のメリットになるような仕事の標準化を提案することにより、業務の遂行能力の向上を実現しています。また、リモート技術やIoT技術を活用した現場のバックアップ体制を強化するなど、業務の効率化・高度化も推進しました。これにより、現場の人材にかかる負荷に改善が見られ、生産性が着実に向上しています。


Q8 資本政策についてお聞かせください。

A8 経営施策の進捗と中長期的な事業の見通しを踏まえ、2019年度においても増配を予定し、自己株式の取得を行います。

azbilグループは株主価値の増大を図るため、株主還元の充実、成長に向けた投資、健全な財務基盤の3つのバランスに配慮しながら、長期目標としての自己資本当期純利益率(ROE)10%以上を目指して、規律ある資本政策を展開しています。経営の重要課題と位置付ける株主還元については、連結業績、純資産配当率(DOE)、ROE等の水準及び将来の事業展開と健全な財務基盤確保のための内部留保等を総合的に勘案し、配当を中心に自己株式取得を機動的に組み入れた還元を行っています。特に配当については、その水準向上に努めつつ、安定した配当を維持していくことを目指しています。

2018年度におきましては、以上の方針に基づき、株主の皆様への利益還元の一層の充実に取り組むとともに、当社株式の投資単位当たりの金額を引き下げることで、当社株式の流動性を高め、投資家の皆様により投資しやすい環境を整えることを目的に2018年10月1日付で株式分割を実施しました。2018年度における株主の皆様への還元としては、既に実施した約50億円(株式分割後換算187万株)の自己株式取得に加え、配当については、堅調な業績を背景に、公表のとおり株式分割後換算で1株当たりの年間配当を46円※4とさせていただきました。

2019年度、当社グループでは、これまでの事業構造改革、収益体質強化策の進捗により、現中期経営計画最終年度(2019年度)の目標を超える高い水準での利益を引き続き見込んでおり、さらに今後の各事業における中長期視点での戦略展開や環境見通しをもとに、長期目標(2021年度)達成に向けた持続的な成長も展望しております。こうした状況から、株主の皆様への一層の利益還元を進め、安定した配当水準のさらなる向上を図るため、今年度は普通配当を4円増配し、1株当たり年間50円の配当とさせていただく予定です。

これに加え、現時点における事業及び業績の状況・見通しを踏まえ、規律ある資本政策を確たるものとしつつ、資本効率のさらなる向上を図り、株主の皆様への利益還元のさらなる拡大と企業環境の変化に対応できる機動的な資本政策の遂行を可能とするため、2019年3月末時点で保有する自己株式のほぼ全株式である330万株※5を消却し、併せて100億円、380万株を上限に自己株式の取得(取得期間2019年5月13日~10月31日)を行っています。

なお、企業価値向上に向けて重要な「持続的成長の実現や経営体制強化に向けた投資」については、内部留保も含めた資本の活用を通じて、さらなる株主価値の増大等に向けた運営を行っていきます。具体的には、商品・サービスの拡充、先進的なグローバル生産・開発の構造改革等、事業基盤の強化・拡充に注力するとともに、M&Aといった将来に向けた成長投資を進めていきます。また、こうした投資を支えつつ、併せて大規模な自然災害の発生等、不測の事態でも事業を継続し、供給責任を果たすことのできる健全な財務基盤の維持にも引き続き取り組んでいきます。

※4 2018年度期末配当に関する金額は、2018年10月1日付けで実施した株式分割(分割比率1:2)後の値となります。なお、株式分割を考慮しない場合の2018年度期末配当(株式分割前換算)は46円、年間配当(同)は中間配当と合わせて92円となり、2018年5月11日公表の期初予想から実質的な変更はありません。

※5 2019年3月末時点の保有自己株式数:3,303,558株。なお、上記自己株式数には、株式給付信託(J-ESOP)の信託口が保有する当社株式(1,988,258株)を含んでおりません。


Q9 前年度に続いて独立社外取締役の増員を行いましたが、コーポレート・ガバナンスの強化についてはどのような考えで取り組んでいますか。

A9 必要な制度の整備・体制の構築に加えて、実態面を常に意識した運用を心掛けています。

コーポレート・ガバナンスについては、①経営の透明性を追求し、株主の皆様への説明責任を果たすこと、②多様性に富む取締役会のもと、持続的な成長を実現できる経営基盤の構築、③責任体制の明確化、ステークホルダーの皆様との対話促進、を従来から重点課題に据えて様々な改革を実施してきました。

現時点においても、コーポレートガバナンス・コード改訂の趣旨も踏まえつつ、さらなる改革に取り組んでいます。2018年度は、監督・監査機能を強化し、経営の透明性・健全性の強化を図るため、独立社外取締役を1名増員するとともに、社外取締役が過半数を占める指名・報酬委員会の委員長には社外取締役が就任しました。また、取締役会議長には、執行を兼務しない取締役が就任しました。2019年度は、さらに独立社外取締役を1名増員し、取締役11名の内、5名を独立社外取締役とする等の改革を行っています。

当然のことながら表面的な体制整備では意味がなく、改革の趣旨を正しく理解して長期的な企業価値創造の面で、より一層、取締役会を実効性のあるものにすることが何より重要であると認識しています。このため、従前より社外取締役には議案内容について事前説明の場を設けて取締役会における議論の充実を図っています。また、取締役会とは別に、経営の方向性について、私が社外取締役と定期的に意見交換する機会等もつくっています。

実際、ガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメント、グローバル経営、M&Aなど、多岐にわたる分野で高い専門性を持つ社外取締役に恵まれ、取締役会では活発に議論が行われており、社内では得られない知見と貴重な経験に基づくアドバイスも数多くいただいています。こうした背景から、2019年度における社外取締役と社外監査役の選任にあたっても、私たちの経営強化に必要な実務での知見等を重視しました。今後も引き続き、中長期的な企業価値向上に結びつく実効性の高いコーポレート・ガバナンスの強化を推し進めていきます。

取締役会のメンバー構成 (2019年6月25日現在)

Q10 2019年度の業績見通しについて教えてください。

A10 一部に市況の悪化もありますが、2018年度と同水準の売上高・営業利益を目指し、営業利益では引き続き中期経営計画最終年度の目標超えを見込んでいます。

2018年度は、半導体等の製造装置市場等で市況の悪化が見られましたが、事業施策の進展と収益力強化の取組みが進展し、前年度比増収・増益を達成することができました。2019年度につきましては、引き続き製造装置メーカ市場で低迷が見込まれますが、建物市場の市況は堅調さを維持する見込みです。こうした事業環境を踏まえ、BA、AA、LAの3つの事業セグメントにわたる幅広い事業ポートフォリオを活かしつつ、事業領域拡大及び収益力強化の取組みをさらに推し進めることで、開発・生産等、事業基盤強化のための投資を継続しながらも、売上高は2018年度と同水準の2,620億円、営業利益は265億円を目指します。営業利益は、2018年度と同様、収益力強化施策の計画を超える進捗を反映して、引き続き中期経営計画最終年度の目標を超える額を見込んでいます。