社長インタビュー

取締役 代表執行役社長 山本清博
- Q1 前中期経営計画最終年度でもあった2024年度の業績結果とその評価について教えてください。
- Q2 本年5月に新中期経営計画(2025~2027年度)を公表されましたが、どのように成長をしていくのでしょうか。
- Q3 新中期経営計画初年度となる2025年度の業績目標について教えてください。
- Q4 株主還元について教えてください。どのような基本方針で取り組まれているのでしょうか。
- Q5 ステークホルダーの皆様へのメッセージをお願いします。
Q1. 前中期経営計画最終年度でもあった2024年度の業績結果とその評価について教えてください。
A1. 中期経営計画(2021年度策定)目標を、特に利益面で大きく上回る業績を達成しました。
2024年度は、受注高、売上高、営業利益、経常利益、そして親会社株主に帰属する当期純利益の全てで前年度を上回り、過去最高業績を更新することができました。また、2021年5月に公表した前中期経営計画(2021~2024年度)の最終年度にあたる当年度は、特に利益面で目標を大きく上回る成果を収めました。
様々な事業環境変化の中、事業ポートフォリオ再構築を企図したアズビルテルスター有限会社の譲渡等(以下、「アズビルテルスター譲渡」といいます)を実施したうえで、前中期経営計画を上回る業績を達成したことは、事業環境変化に柔軟に対応し、成長に向けた商品開発等、様々な変革を推し進めた成果によるものであると考えています。
Q2. 本年5月に新中期経営計画(2025~2027年度)を公表されましたが、どのように成長をしていくのでしょうか。
A2. 成長事業で顧客基盤を拡大し、基盤事業で持続性、収益性を向上。成長事業⇒基盤事業⇒成長事業というサイクルを回すことにより、持続的な事業の拡大を目指します。
成長事業とは、技術革新及び社会課題への対応が求められる市場での事業であり、具体的には、データセンター・海外等の市場や技術革新が常に要求される半導体市場へ最先端の新商品・サービスを投入することなどにより顧客基盤の拡大を実現します。一方、基盤事業は、例えばビルディングオートメーション(BA)事業における既設改修・サービス事業等、長年にわたって蓄積した既存の顧客を基盤とした事業であり、持続的に収益性を維持・向上させることができると考えています。成長事業において新たな顧客を開拓し、その顧客に継続的に商品・サービスを提供することにより、基盤事業において顧客基盤を拡大する、さらに、その顧客が直面する新たな課題への解決策を提供する。そのように「成長⇒基盤⇒成長」という事業サイクルを構築できるのが、azbilグループの事業モデルの特長であると考えています。
この、azbilグループらしい事業モデルの確立・強化に向けて、人材、競争力ある商品開発、グローバルでの生産体制、生産性やサービスの質の向上に繋がるDX等への投資を積極的に行っていきます。あわせて、環境の変化に迅速に対応し、事業を成長させていくために、資本コストを意識した経営の推進*1・事業ポートフォリオの再構築とともにサステナビリティ経営を推進し、リスク管理、人的資本投資等の経営基盤強化に取り組んでいきます。
前中期経営計画での施策実施を通して築き上げた実績を起点に、前述の取組みを実践することで、新中期経営計画の最終年度となる2027年度において、全社営業利益率についてはこれまでの2030年度長期目標で設定していた15%の前倒しでの達成を、自己資本当期純利益率(ROE)については14%を計画します。また、長期目標についても売上高・利益の目標値を引き上げます。政治・経済が事業環境に与える影響は不透明ですが、収益力強化の取組みの成果と、前中期経営計画期間でも確認できた長年にわたって構築した顧客関係を基盤とした事業をベースに、成長領域の開拓で更なる成長を目指してまいります。
*1 資本コストを意識した経営への取組みとして税引後修正営業利益試算に基づく投下資本利益率(ROIC)を導入しています。2024年度azbilグループROIC(試算)は12.6%、資本コスト(WACC)は6.3%でした。
Q3. 新中期経営計画初年度となる2025年度の業績目標について教えてください。
A3. アズビルテルスター譲渡を主要因として売上面では減収となりますが、収益面では、インフレ、人的資本投資等による費用増加要因を凌駕する収益力の強化に取り組み、増益を見込みます。
新中期経営計画初年度となる2025年度の業績目標については、事業ポートフォリオ再構築としてのアズビルテルスター譲渡*2による影響から全体としては減収となりますが、米国における関税政策変更の影響を考慮しても、ファクトリーオートメーション市場の回復によるアドバンスオートメーション(AA)事業の伸長等、事業環境の変化を着実に捉えて売上高を拡大することで、譲渡による影響を除けばBA・AA・ライフオートメーション(LA)の3事業ともに実質増収となる売上高2,970億円を見込んでいます。収益面については、インフレや人的資本への投資増加による影響はあるものの、収益力の強化に引き続き取り組むことにより、営業利益は430億円、営業利益率は14.5%を計画します。一方、親会社株主に帰属する当期純利益については、2024年度はアズビルテルスター譲渡による76億円の売却益を計上したことなどから前年度比で減少の310億円を見込みます。
*2 2024年度アズビルテルスターの売上高は146億円でした。
Q4. 株主還元について教えてください。どのような基本方針で取り組まれているのでしょうか。
A4. 資本政策の基本方針に基づき2024年度期末配当及び2025年度年間配当につき増配を実施します。あわせて自己株式150億円の取得と200億円の消却を実施します。
azbilグループの資本政策に関する基本方針は、株主還元の充実、成長に向けた投資、健全な財務基盤の3つのバランスに配慮しながら、規律ある資本政策を展開し、企業価値の維持・向上を図るものです。また、株主還元については、純資産配当率(DOE)を主な指標として、配当水準の向上に努めつつ、安定した配当を維持することを目指しています。2024年度の期末配当については、この考えに基づき、持続的な成長の実現、企業価値の向上に向けて必要な技術・設備・人材等に積極的な投資を行いつつ、計画を上回った業績結果も踏まえ、従来の計画から1株当たり2円増配の13円とさせていただく予定です。また、2025年度の年間配当としては、引き続き収益力の向上を見込むことから、普通配当を2円増配し、1株当たり年間26円を計画しています。この結果、DOEは5.6%を見込み、米国の関税政策等が不透明な環境下でも、着実な株主還元を実現したいと考えています。また、規律ある資本政策の考えのもと、150億円又は2,400万株を上限とする自己株式の取得を実施します。自己株式の消却についても、今回の取得予定分に加えて、前年度取得分一部相当も含めた約200億円、1,930万株の消却を実施します。これにより、ROEの改善を図るとともに、配当とあわせて株主の皆様への利益還元に注力します。
なお、資本政策(自己株式活用)を通じた人的資本への投資として、昨年度導入した諸制度*3に続いて、信託型従業員持株インセンティブ・プラン(E-Ship®*4)を再度導入いたします。人的資本への投資の一環として福利厚生と財務施策を組み合わせた制度を充実させることにより、社員エンゲージメントの強化を図ります。
*3 2024年度、当社は「社員株式給付制度(J-ESOP)」の「譲渡制限付株式型社員株式給付制度(J-ESOP-RS)」への改定や、社員持株会を通じた株式付与を可能とする特別奨励金スキーム導入を実施しました。
*4 E-Ship®は野村證券株式会社の登録商標です。
Q5. ステークホルダーの皆様へのメッセージをお願いします。
A5. 更なる事業拡大による持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献を通じて、社会と社員のWell-beingを実現、様々なステークホルダーの皆様のご期待に応えます。
新たな価値創造に向けた技術革新への対応やカーボンニュートラル等の新たな社会課題の解決は、オートメーション事業が果たすべき役割・事業領域の更なる拡大をもたらすものであり、azbilグループにとっての成長機会と捉えています。様々な新たな課題に挑戦・解決し、商品、エンジニアリング、サービス事業を通じて持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献を積み重ね、事業を拡大することで社会や社員のWell-beingの実現に貢献し、株主の皆様をはじめとするステークホルダーの皆様のご期待に応えてまいります。
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- azbilレポート(統合報告書)