社長インタビュー

取締役 代表執行役社長 山本清博
社会課題の変化は、私たちの成長機会でもある
私たちを取り巻く社会や事業環境は、これまで以上のスピードで変化しています。カーボンニュートラルへの対応、半導体産業の成長、生産の現場でのフィジカルAI活用機運の高まり、AI時代の到来を支えるデータセンター建設の拡大、新しい働き方に対応した環境づくり、社会インフラの持続可能な運営等、お客様が向き合う課題はますます高度化しています。
一方で、私はこうした変化を、当社グループが新たな価値を創造する大きな機会だと捉えています。お客様が抱える課題が大きくなり、複雑になるほど、オートメーションを事業とする当社グループが果たせる役割も大きくなると考えているからです。
こうした課題は、一つの製品や技術だけで解決できるものではありません。だからこそ私は、当社グループが長年培ってきた計測と制御の技術、そして現場で価値を創り出す力が、これからの時代にさらに大きな価値を発揮すると確信しています。私たちに求められているのは、お客様や社会が直面する課題に対し、解決策そのものを提供していくことです。社会課題の解決と企業成長は決して相反するものではありません。社会課題に真摯に向き合い、その解決に貢献することこそが、持続的な成長と企業価値向上につながると私は考えています。
私自身が現場で学んだこと
こうした考え方の原点となった経験があります。
私はかつて、設計事務所とのジョイントベンチャーであるコンサルティング会社の立ち上げに携わりました。そこで学んだのは、お客様は設備を買いたいのではなく、成果を得たいのだということです。省エネルギーであれば、省エネ設備を導入することが目的ではありません。建物の運用改善、人の行動変容、データ活用まで含めて初めて成果が生まれます。現場にはそれぞれ固有の課題があります。お客様と同じ目線で課題を見つめ、ともに解決策を考え、実行する。その積み重ねが価値を生み出します。私はこの経験を通じて、当社グループの本当の強みは技術そのものではなく、「現場で価値を創る力」にあると確信しました。
計測と制御の技術を核にしながら、お客様の現場に深く入り込み、ともに課題を解決する。その姿勢こそが、創業以来受け継がれてきた当社グループの強みであり、今後も成長を支える源泉になると考えています。
azbilグループらしい価値創造
私は、当社グループが持続的に成長できる理由は、事業構造そのものにあると考えています。当社グループは、工場・プラント、商業ビル、ライフラインなど、日本国内外の幅広いお客様との長年にわたる信頼関係を基盤として事業を展開しています。こうした基盤事業を通じて培った技術や知見を活かしながら、データセンター、半導体、カーボンニュートラルといった技術革新・新たな社会課題を成長事業として取り込んでいます。なお、基盤事業を中心にお客様の現場のライフサイクル全体を支える既設改修、メンテナンスサービスなどのビジネスをストック事業として展開しており、この事業が安定した収益基盤を支えています。
私は、この「基盤事業」「成長事業」が相互に循環する事業モデルこそが、azbilグループらしい持続的成長の源泉であると考えています。
中期経営計画初年度で見えてきた成果
2025年度は、中期経営計画の初年度として総じて着実なスタートを切ることができました。業績が伸びたことはもちろんですが、私が最も評価しているのは、将来の成長につながる変化が実際に見え始めていることです。収益構造改革や商品力強化、サービスビジネス拡大の成果が表れ始め、利益創出力は着実に高まっています。
また、データセンター市場への取組み、グローバルでのキーアカウントマネジメントの推進、MEMSセンサ技術を活用した特長ある商品の展開等、これまで準備してきた施策が具体的な成果として表れ始めています。私は、中期経営計画の達成だけではなく、2030年度長期目標の実現に向けた土台づくりが着実に進んでいることに大きな手応えを感じています。
一方で、中東情勢の緊迫化を背景に、資源価格や物流、調達面には依然として不透明さがあります。日本はエネルギーや原材料の多くを海外に依存しており、その影響は産業活動全体に及ぶ可能性があります。しかし当社グループは、コロナ禍やサプライチェーン混乱を経験する中で、調達力や事業継続力を強化してきました。こうした知見を活かしながら今回も適切にリスクへ対応していきます。
また、2026年度からIFRSを任意適用しました。これはグローバル経営をさらに進化させるとともに、海外投資家の皆様にも当社グループの事業や成長性をより理解いただくための重要な取組みであると考えています。
課題も明確になってきた
一方で、さらなる成長に向けた課題も明確になっています。例えば、海外事業の拡大は大きな機会である一方、ビルディングオートメーション(BA)事業に関しては、新設建物向けの事業が主体であり、事業拡大と収益性向上の両立が重要なテーマです。しかし私は、この状況を将来の成長に向けた投資局面だと捉えています。
BA事業で注力するアジアの市場は、オフィスやデータセンターなどの新規開発案件に加え、これまで納入してきたシステムの更新需要も見込まれており、今後は国内で主流である既設・サービスを中心としたストック事業も拡大しながら、持続的な収益成長につなげていきます。またアドバンスオートメーション事業においては、半導体市場や高度化する生産現場の需要を捉え、競争力のあるシン・オートメーション商品を国内外へ展開していきます。商品開発には先行投資が必要となりますが、サファイア隔膜真空計をはじめとする新商品は高い評価を受けており、販売チャネルも着実に拡大しています。今後はCVトータルソリューションやプラント自律化技術等、当社グループならではの強みを持つ商品・ソリューションの展開を加速し、持続的な成長につなげていきます。
こうした当社グループならではの強みを持つ製品、サービスをグローバルに展開し、成長を実現するには、製品を継続的に進化させ、高い品質でのエンジニアリング、サービスを提供し続ける必要があります。そのためには、人材の確保と育成、そして生産性向上を両立させることも重要な経営課題です。こうした課題と真正面から向き合いながら、成長機会を着実な成果へ結び付けていきます。
加えて、自社の力を磨くだけでなく、外部との共創も重視していきます。当社グループでは、中期経営計画期間中に500億円規模の成長投資枠を設けています。技術や人材、事業基盤の強化につながる提携やM&Aについても積極的に検討しながら、当社グループの持続的成長につなげていきます。
“進化・共創”を支える人材
ここまで申し上げてきたように、市場機会を捉え続けるためには、自らの進化と、お客様やパートナーとの共創が欠かせません。そして、その“進化・共創”を支えるのは人材です。現場で価値を創り出す人材がいてこそ、私たちは成長することができます。だからこそ私は、人的資本への投資、エンゲージメントの向上を経営の最重要課題の一つと位置付けています。社員一人ひとりが挑戦し、成長し、その力をお客様や社会への価値創造につなげていく。その積み重ねが、当社グループの持続的成長の原動力になると考えています。
サステナビリティ経営と企業価値向上
私は、サステナビリティと当社グループの事業は本質的につながっていると考えています。私たちが創業以来取り組んできた「人を中心としたオートメーション」も、その根底には社会課題の解決を通じて価値を創造するという考え方があります。現在取り組んでいるカーボンニュートラルへの対応、データセンターの省エネルギー、水資源の有効活用、生産現場の高度化等もその延長線上にあります。
当社グループにとって、社会課題の解決は社会的責任であると同時に、新たな事業機会でもあります。私は、社会課題の解決、顧客価値の創出、企業価値の向上は一体のものであると考えています。
また、持続的な成長のためには資本効率の向上も欠かせません。将来の成長に向けた投資を継続すると同時に、資本コストを意識した経営を進めることで、企業価値向上と株主還元の両立を図っていきます。
さらに、取締役会議長への独立社外取締役の選任や取締役会の多様性向上等、コーポレート・ガバナンス強化にも継続的に取り組んでいます。こうした取組みを通じて、持続的な企業価値向上を実現していきます。
“進化・共創”による未来へ
創業120周年の節目に、私たちはパーパスと目指す姿を策定しました。それは、市場機会を確実に捉え、持続的な成長を実現するためには、私たち自身が進化し続けるとともに、お客様やパートナーとの共創をさらに深めていく必要があると考えたからです。私たちが最終的に目指しているのは、事業成長そのものではありません。社会課題を解決しながら、社会と社員双方のWell-beingを実現することです。私は、「azbilらしさ」を一言で表すならば、それは誠実さ(Integrity)であると考えています。創業以来受け継がれてきた価値観の下、お客様の現場で価値を創り出し、社会の課題解決に誠実に向き合う。その積み重ねが、お客様や社会からの信頼につながり、企業価値の向上にもつながると信じています。azbilグループは経営と社員が一体となり、お客様や社会のパートナーとして価値創 造に取り組むことで、持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献を通じて、社会と社員双方のWell-beingの実現を目指していきます。
ステークホルダーの皆様には、引き続きご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
- 関連情報
- azbilレポート(統合報告書)






