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事業等のリスク

azbilグループの経営成績及び財政状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクは、以下のとおりです。これらのリスクについては、総合リスク委員会及び取締役会にて審議され、総合的なリスク管理体制の推進を図るとともに、関連部門におけるリスク軽減策やリスク発生時の対応策を講じております。

1. 経営環境に係わるリスク

当社グループの商品やサービスの需要は、その事業に関連する市場である建設及び製造業や機械産業市場等の経済状況に左右される構造的な要因があり、事業を展開する地域の経済環境、感染症の蔓延に伴う社会環境の変化や市場の大幅な景気後退、需要減少は、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

これに対して、当社グループでは景気循環サイクルの異なる各事業(建物市場におけるビルディングオートメーション(BA)事業、工業市場におけるアドバンスオートメーション(AA)事業、生活関連市場におけるライフオートメーション(LA)事業)に取り組んでおり、景気変動の影響の軽減を期待できる複数の事業構成となっております。

BA、AA、LAの各事業領域においては、景気変動に対し比較的安定した需要特性をもつライフサイクル型ビジネスに取り組んでおります。上記の景気変動による影響に加え、個別の事業領域における変化として、BA事業では、リモートワークの急激な普及に伴い、国内外のオフィス需要が想定以上に急激に減少する可能性があります。これに対して当社グループでは、オフィスの将来像を事前に予測し、オフィスの有用性をアピールしてまいります。また、省エネルギーソリューションに加えて、空気質の向上やパンデミック対応の環境を提供するなどの施策を強化してまいります。

一方、事業構造改革を進めるLA事業の今後の成長に向けた取組みを含めて、バランスの取れた3事業の展開及び3事業におけるライフサイクル型ビジネスの拡大を進め、安定した経営に注力してまいります。

2. 競争環境における成長に係わるリスク

① 事業運営に係わるリスク

昨今、新たな技術やそれらの影響による社会インフラの変化、エネルギー市場の自由化等の規制緩和、グローバル化の進展、深刻化する少子高齢化など社会動向の劇的な変化が既存の事業に大きな影響を与え、新たなビジネスモデルの出現や異業種競合の市場参入など業界の構造変化を引き起こす可能性があります。当社グループにおいても、この変化に伴う事業形態・運営における新たなリスクを認識したうえで、新しいサブスクリプションモデル等の展開や戦略的な協業展開等にも積極的に取り組んでおります。

こうした競争環境の下での更なる成長を実現するために、当社におきましても他社との更なる提携やM&Aも視野に入れた事業展開を採りうる選択肢としておりますが、適正なタイミングでの望ましい候補先との機会を得ることや、またM&A後のシナジーにつきましても初期段階から効果を得ることは難しい可能性もあり、さらに提携、買収先企業とのコミュニケーションや理解不足による事業遂行上のリスクを負う可能性もあるため、十分 な検討の必要性を認識しております。

このような事業や技術の提携及びM&Aの候補先検討を多面的に継続する一方で、新たな事業等に自社単独で参入する場合におきましては、体制構築や人材配備、法令や契約等の法規制や商習慣への対応等が必要となり、成果を得るために要する時間や投入すべき経営資源負担増の懸念も考慮し、事業等の目的や条件と照らし合わせ、慎重かつ合理的な判断を行ってまいります。

② テクノロジー(技術)に係わるリスク

研究開発におきましては、AIやビッグデータなど新たな技術潮流の見誤り、研究開発の遅れ、また不十分なオープンイノベーション活用や技術開発の失敗等、技術対応力の不足等により、グループの成長を阻害する競争力の低下や新製品の市場投入の遅延及び売れ行きの不振等による業績への影響が懸念されます。また、データ活用や業務ツール標準化等のデジタル化対応に遅れが発生した場合は競争力の低下が懸念されます。

当社グループではこのような状況を認識し、競争優位を獲得するための適切な研究開発への投資やITソリューション推進、クラウドサービス運用等の専門分野に特化した新組織体制の構築、新たなビジネスモデル検証のための活動、企業内大学(アズビル・アカデミー)による職種転換・教育による体制整備、M&A機会の探索を継続、基幹情報システムの更新・強化・グループ展開等、今後とも環境変化への対応遅れや競争上の不利な状況を回避すべく施策展開を継続してまいります。

3. 商品の品質に係わるリスク

当社グループにおきましては、製品開発及び生産段階において専任の組織による品質確認や、適正な検査作業工程維持のための生産ラインの管理・改善の取組み、及び工場運営に関わる法令遵守状況の確認等、品質管理対応を強化しており、活動状況や関連する情報は、品質保証委員会をはじめとする会議体にて共有・可視化されるように努めております。

また、サービスや製品を安心してご使用・ご採用いただけるよう、設計段階や生産工程における確認に加え、安全面に特化した専任組織による審査を行うなど、対応を図っております。

製造物責任につきましては、保険に加入するなど問題発生に際しての備えも強化しておりますが、当社グループの製品、システム及びサービスの欠陥や不良による事故が発生した場合は、多額のコスト発生や顧客からの評価に重大な影響を与え、それにより事業、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

4. グローバル事業活動に係わるリスク

当社グループでは、グローバル化が進展する昨今の情勢下、高い成長率が見込まれる海外市場での事業拡大を目指し、活動を展開しております。

成長戦略としての海外での事業拡大は、現在40以上の現地法人及び2つの支店による営業・サービス活動をはじめ、中国の大連とタイの基幹工場における生産活動及び新たに投資した海外グループ企業による事業活動等により、積極的な展開を行っており、それらの効果も現れておりますが、今後の活動の継続にあたりましては、以下のようなリスクを想定しております。

① 地域の政治経済変化、法改正、テロ・商習慣の違いなどによる影響

グローバル事業の拡大に伴い、進出先においての政治経済情勢の変化、現地の法律や規制等の改正、自然災害、テロ、ストライキ等の発生、また新型コロナウイルス等の感染症の蔓延等、不測の事態に遭遇する危険性が増しており、防災対応や在宅勤務の導入、BCP(Business Continuity Plan-事業継続計画)の検討等により、そのリスクへの備えを進めておりますが、事業、与信管理も含めた業績及び財政状態に一定の影響が出る可能性があります。

② BA事業の海外事業展開遅行による影響

BA事業では、東南アジア・中国を中心とした拠点設立と自社エンジニア及びパートナ-企業の確保等の事業遂行体制の整備、ビルディングオートメーション(BA)システム「savic-net G5」等の海外市場向け商品の投入、並びに海外でのライフサイクル型ビジネス立ち上げのためサービス事業の定着を図るべく施策を展開しておりますが、BA市場における地域の特異性等により計画している事業展開に遅れが生じ業績に影響が出る可能性があります。

③ 為替変動による影響

当社グループは、為替変動に対して、適切な財務上の為替ヘッジを行いつつ、海外生産の拡大等によるリスク軽減に取り組んでおりますが、急激な為替レートの変動は、売上高、原材料・部品の価格、販管費等の経費に影響し、当社グループの業績及び財政状態に一定の影響を及ぼす可能性があります。

5. 人材の確保と育成に係わるリスク

当社グループは、「社員は重要な財産であり、新たな企業文化と企業価値の創造の源泉である」という普遍の考え方をベースに、「健幸経営」をスローガンに各種人事施策を展開しておりますが、以下のような状況においてリスクが生じる可能性を認識しております。

① 事業構造変化に応じた適材適所の人材配置

当社グループでは、今後の技術発展や社会情勢の新たな展開等に誘発される事業構造の変化に対しての適切な人材配置の必要性を認識しており、加えて少子高齢化や多様性の進展、働き方改革をはじめとした新労働法制の施行等への対応も求められていることなどから、2018年度に新たな人事制度の定着に向けた活動を展開しております。しかしながら、求める人材の確保、教育や円滑な配置展開等に支障をきたす場合には、生産性など組織パフォーマンスが低下するおそれがあります。

② 事業拡大のためのグローバルな人材確保と育成

海外事業展開のための人材確保と育成に係わる施策の遂行は、当社グループの成長のための重要課題との認識のもと、拠点の増強とあわせて取組みを進めておりますが、目的に合致した人材の確保や事業展開のためのスキル教育等が順調に展開できない場合には、計画した事業成長目標の達成を阻害する要因となる可能性がリスクとして懸念されます。

6. 情報漏洩やITセキュリティ対応等に係わるリスク

① 情報漏洩による影響

当社グループでは、事業上の重要情報及び事業活動の過程で入手した個人情報や顧客、取引先、提携先等の機密情報を保有しておりますが、昨今、国内外ではGDPR(EU一般データ保護規則)等に代表される個人情報を主体とする各種情報の保護に対する法令の制定が進んでおり、遵守とそのためのルール整備や情報システムの強化が求められております。当社グループにおきましても、事業上の重要情報の機密保持とあわせて、個人情報保護に関しての法令遵守のため社内規程整備と運用及び社員への教育を行っておりますが、2020年度はコンピュータウイルス「Emotet(エモテット)亜種」に感染した事象が発生いたしました。当社ではこの事態を重く受け止め、今後、同様の事態が発生しないようにマクロ付ファイル送受信やzipファイル送信等のメール添付ファイルの送受信制限やVPN方式の変更、社外へのネットワーク通信への対応等を含めた更なる情報セキュリティの管理強化の徹底に努めております。

しかしながら、万一、予測できないウイルス感染等による情報漏洩が生じた場合は、業績及び財政状態への影響や企業評価が毀損するリスクが想定されます。

② ウイルス・サイバーテロ等による影響

当社グループでは、激化するコンピューターウイルス等によるサイバー攻撃に対しての備えとして、より強固なIT環境の整備や社員の情報リテラシー(情報活用能力)を高めるため定期的な教育等の対応を継続的に行っております。

また当社で販売する商品やサービスの情報セキュリティ対応として、既存の開発部門に加えて、2019年4月に設置の情報セキュリティに特化した新たな審査部門(商品サイバーセキュリティ審査室)による確認を中心に、安心してご使用いただけることを目指した対応を図っておりますが、2020年度のコンピューターウイルス感染の事態を重く受け止め、日々変化する状況に対応して、情報セキュリティ対応の高度化に、より一層努め てまいります。

しかしながら、新たな手口の出現が絶えない現在の状況に対して、サイバー攻撃を完全に防御することは難しいと言われており、想定外の攻撃によるリスクは残るものと考えております。

7. 環境・気候変動・自然災害に係わるリスク

① 不測の事態発生時の生産機能への影響及び製品・サービスの供給支障による業績と企業評価への影響(国内拠点の集中によるリスク)

当社グループのBA事業、AA事業の国内生産拠点(製造子会社を含む)は、過去3つの主要拠点が神奈川県に立地しておりましたが、生産と研究開発部門の再編や、主要生産品目を国内他地域及び中国とタイの海外工場へ移管するなど生産拠点の分散化を図ることにより、拠点集中リスクの軽減を図ってまいりました。ただし、マザー工場として生産機能の中核となる湘南工場や、海外の生産拠点において、大規模災害等による直接的又は間接的な被害が及んだ場合は、一定程度の業績及び財政状態に影響が出る可能性があります。

② BCP(事業継続計画)対応に起因する影響

当社グループでは、災害等発生時に生じる顧客や関係取引先企業、自社への損害を最小限に抑えるべく、これまで特定の事態を想定のうえ、対応可能な事業継続期間を検証し、そのために必要な資金及び製品や部材の在庫、人員や生産設備等に求められる対応準備も進めるとともに、特定の事象に限定せずに事業の中断、阻害を引き起こす様々な事象の発生でも対処できるよう取り組んでおりますが、BCP対応の想定を超える事態(世界レベルでのパンデミック事象の長期化等)が発生した場合には、業績及び財政状態に大きな影響が出る可能性があります。

③ 気候変動がもたらす市場構造や顧客状況の変化による影響

当社は地球温暖化に対する取組みとして、2030年のazbilグループの事業活動に伴う温室効果ガスの排出量削減目標について「Science Based Targetsイニシアチブ(SBTi)」の認定を取得、さらに2050年には「排出量実質ゼロ」を目指す長期ビジョンを策定いたしました。「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同の表明を行うとともに、自らの企業活動にとどまらない環境負荷低減に努めておりますが、気候変動による、長期的な市場構造の変化や主力事業における顧客の売上減少等による業績への一定の影響が発生する可能性があります。そのため気候変動により引き起こされる可能性のある様々な事象と、その経営に与えるリスク内容や影響を確認したうえで複数シナリオで分析・分類して、リスクの明示化を図ってまいります。

また、気候変動に関するグローバルな規制、国内の政策、金融機関や投資家等のステークホルダーの要請の変化が進んでおり、上述のTCFDやSBTi等の対応を進めておりますが、変化への対応が遅れる場合や対応や説明が不十分とステークホルダーから認識される場合等は、業績や財政状態に影響が出る可能性があります。

なお、当社においては、当社グループにおける2030年の気候変動の影響を把握し、評価するため、TCFDの枠組みを活用して、ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標の観点での整理、分析に取り組んでおります。現時点で当社が特定している主なリスクと機会に基づく評価・試算においては、当社の製品・ソリューション・サービスによるCO2削減量が、自社の事業活動によるCO2排出量を大きく上回ることから、機会の方が大きいと認識しており、今後もさらに分析・評価を進めてまいります。

8. コンプライアンスに係わるリスク

① 法令違反(独占禁止法、建設業法、労働基準法、贈収賄)による行政罰、課徴金等の発生リスク

当社グループは、事業展開する各国において、事業・投資の許可、環境や安全、製品規格、その他理由による法的規制を受けており、法令遵守は最優先事項であるとの認識のもと、周知・教育活動を全社員に対して行うなど、徹底を図っております。しかしながら、新たに進出する地域や業界特性への対応、新たな法令や既存法制の改正対応の遅れなどにより、違反が生じた場合には、業績及び財政状態に影響が出る可能性があります。

② 営業停止、顧客離れなど二次的な影響が発生するリスク

万一、法令やガイドラインに違反するような事態に陥った場合の影響度合いにつきましては、法令で定められた処罰内容や法令が対象とする事業の範囲等により異なってきますが、深刻なケースでは、国や自治体による特定の事業に対する業務停止命令や入札停止等の事態が想定されます。

当社グループでは、CSR経営推進のもと、法令遵守は最優先事項であると認識し、国内外の定期的なモニタリングによる遵守確認や契約締結体制の強化とあわせて、周知・教育活動を全社員に対して行うなど、徹底を図っておりますが、こうした重大な法令違反等における不適切な行為等により、そのような事態に陥ってしまった場合には、風評被害による影響も含めまして、当社グループの企業評価が低下するリスクも想定されます。

9. 社員のワークスタイルの変化に係わるリスク

働き方改革の取組みや在宅勤務の増加、感染症対策等によるリモート対応等、ワークスタイルが変化しております。システムや業務プロセスの見直しに沿った各種社内基準やルールの見直しなどの対策を進めておりますが、業務標準・共通化が社員の新しいワークスタイルの変化に対応しきれず、その間に統制上の問題が生じる可能性や、業務効率が低下する可能性があります。

また、社員に対して疾病予防セミナー、健康づくりプログラム、アンケート調査や注意喚起等を実施しておりますが、コミュニケーション不足によるメンタルヘルス不調、運動不足に起因する健康問題が社員に発生する可能性があります。