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アズビルが解き明かす「エネルギー管理」 第3回

【ENEFORT™】
アズビルが解き明かす「エネルギー管理」 第3回

エネルギー管理は組織で取組む

第2回では「エネルギー管理標準」と、日常管理の遵守についてお知らせしましたが、エネルギー管理は組織全体で取組むことも大切です。
法律や条例で求められているため、すでに組織がある建物は多いと思いますが、その組織は機能していますか。第3回は組織での活動方法について解説します。

※ENEFORT(energy&comfort)は、お客様にエネルギーと安心・快適につながる情報をお届けするWebページです。
※ENEFORTはアズビル株式会社の商標です。

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活動の組織体制をつくる。

エネルギー管理は、建物運営者や所有者などエネルギーを管理する側とテナントなどエネルギーを消費する側が一体となって取組みます。
エネルギーを管理する側は、エネルギー管理を事業活動の一部として捉えて活動します。また、エネルギーを消費する側は、建物側のエネルギー管理に関する目標や対策を十分に理解して、協力することが重要です。
双方がエネルギー管理に関する認識を高め、当事者意識を持って活動しましょう。

活動の組織体制

組織は下記のような立場の人物で構成します。

①統括責任者:エネルギー管理に関する対策や改修工事の予算や決定権限を有する責任者
②技術者:エネルギー管理の専門知識を持つ技術者*事業所内に適任者がいない場合は、外部機関に委託
③設備管理者:日常のエネルギー管理担当者
④消費者管理部門責任者:テナント管理部門責任者、総務部門責任者などエネルギーを消費する側の責任者
⑤消費部門代表者:エネルギー消費部門の代表者
⑥一般消費者:エネルギーの一般消費者

組織の中で最も重要なのは、統括責任者の推進力です。
技術者と設備管理者に任せる方法もありますが、それでは重要な決定ができないうえに、エネルギー消費側が追従せず、活動が実行できないといったケースを招くことがあります。統括責任者の高い推進力で組織を牽引するようにしましょう。
そしてエネルギー専門家としての高い技術を有する技術者が統括責任者をサポートすれば組織の力はより強固なものとなります。

組織での活動内容 その組織は機能していますか?

組織ができたら、早速活動を始めましょう。以下に組織の活動内容例を記載しましたが、エネルギー管理ならではの特別な項目はありません。みなさんが普段取り組んでいる事業活動と似通っています。持続可能な未来のためにそれぞれの建物のエネルギー管理は企業の社会的責任となっています。「その組織は機能していますか?」とならないように社内で協力して真摯に取り組んでいきましょう。

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活動内容

1. エネルギー管理に関する知識の習得や教育の実施
2. 目標をたてる
3. 年度計画を作成する
4. 計画を実行する
5. 評価、レビューを行う
*「2. 目標をたてる」および「3. 年度計画を作成する」については第5回で詳しくお伝えします。 

活動は全体活動と部門内活動に分かれて実施します。

全体活動

全体活動は、エネルギー推進会議で実施します。
会議の参加者は、前半でお話しした組織員の①統括責任者から⑤消費部門代表者までです。開催の頻度は、四半期に1回を推奨します。なぜならば季節変動があるため、年に1~2回ではCheck 評価 のみの実施となり、Action 改善 が行えなくなるためです。
エネルギー推進会議の目的は、活動内容にあげた「知識の習得」と「評価を行う」ことであり、具体的には以下の通りです。

・知識の習得

エネルギー管理の知識がない状態で目標だけを伝えられても、なかなか実行に移せません。そのため、まずはなぜエネルギー管理が必要なのか、社会動向や法律・条例などの知識を習得し、目標の内容を理解します。法律や社会動向は変化するので、最新の情報を習得するようにしましょう。

評価を行う

目標に対してPDCAサイクルを回します。推進会議では、Check 評価 とAction 改善 を行います。

Step1 四半期の時点で目標を達成しているかを確認する
Step2 達成していない場合は、なぜ達成していないかを考察する
Step3 次の四半期に何を改善するかを合意する

テナントビルでは、年4回もテナント責任者に会議参加を要請するのは難しい場合があります。
その場合は、エネルギー推進会議とは別に、⑤消費部門代表者であるテナント代表者が参加する会議を年に1回程度開催します。
開催は年度の終わり、または始まりに実施し、今年度の結果をフィードバックした後に、来年度の目標を共有します。
ここでも、目標の根拠がなにかをしっかりと理解してもらうことが重要です。社会的背景や法律、実施結果などを踏まえて説明をしましょう。
なお、年1回の開催では、PDCAサイクルを回すことが難しいため、エネルギー推進会議の結果などを都度、テナントに共有すると良いでしょう。

部門内活動

エネルギー推進会議やテナントを交えた会議までは実行できているが、部門内での活動が実施できていない建物が多いのではないでしょうか?
企業活動では、一般社員が業界の動向や会社の方針、目標、業績を理解した上で個々の業務を行います。
エネルギー管理も同様で、エネルギーを実際に消費する一般消費者が、世間の動向や建物の方針、目標、実績を知らないと活動に協力できません。
⑤消費部門代表者は、エネルギー推進会議で得た「知識の習得」と「評価を行う」をしっかりと⑥一般消費者に共有しましょう。
なお、⑥一般消費者には、目標や結果をエネルギー使用量ではなく、金額に換算して伝えると理解しやすいのではないでしょうか。
まずは、エネルギー管理に関する目標を業務目標の一貫として設定し、⑤消費部門代表者は、部下に事業目標を伝えるのと同じように、エネルギー推進会議の結果を⑥一般消費者に共有しましょう。

エネルギー管理に全く関心がなく「エネルギー管理は専門家に任せているから」と言っていた一般消費者が、エネルギー管理を正しく理解したところ、エネルギーの無駄を指摘してくれるようになったという事例もあります。
全員が正しい知識を得て、管理者、消費者が一体となって、エネルギーの削減に努めて脱炭素を目指して活動しましょう。


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◆【ENEFORT™】アズビルが解き明かす「エネルギー管理」シリーズ◆
第1回 エネルギー管理の必要性
第2回 エネルギー管理で行うべきこと。エネルギー管理標準を定める
第3回 エネルギー管理は組織で取組む
第4回 エネルギーの消費状況を把握する
第5回 エネルギー消費の管理目標を設定する
第6回 省エネ法に基づいて報告する
第7回 省エネに向けて現状のムダな運用を見つける
第8回 省エネ対策を計画し実施する
第9回 省エネ効果を確認する。さらなる改善事項を整理する

おすすめリンク集

経済産業省資源エネルギー庁 省エネポータルサイト