サステナビリティ経営担当役員メッセージ
サステナビリティを成長の力へ
〜社会価値と企業価値の好循環を目指して〜
取締役 代表執行役副社長
サステナビリティ(兼azbilグループCSR)担当
横田 隆幸
azbilグループでは、創業時の精神を受け継ぎ、サステナビリティに関する方針を定め、地球環境と持続可能な社会へ「直列」に貢献する取組みを進めています。「オートメーション」の技術で人と社会をつなぎ、建物、工場、ライフラインといった領域の“空間の質”を向上させながら、資源・エネルギー使用量を適正に抑制することで、環境負荷の低減を実現してきました。
持続可能な社会の実現には、限られた資源やエネルギーを効率的に利用する仕組みの構築が不可欠です。こうした社会課題への対応は、私たちに対する社会からの期待であると同時に、当社グループが事業を通じて価値を創出し続ける成長機会でもあります。社会課題の解決と企業成長を両立することこそが、私たちの考えるサステナビリティ経営の本質です。
2026年度には、パーパス「人と社会の可能性を、技術で解き放つ。」を策定しました。このパーパスという新たな存在意義の認識のもと、創業時の精神である「人間の苦役からの解放」の考え方を受け継ぎ、「人を中心としたオートメーション」の実践を通じて、人々の安心、快適、達成感の実現と地球環境への貢献を目指し、あらゆる「可能性を解き放とう」としています。その実践の軸となるのがマテリアリティです。当社グループでは、環境・社会が企業に与える影響と、企業活動が環境・社会に与える影響の両面から重要性を評価するダブルマテリアリティの考え方を取り入れ、5分野11項目のマテリアリティを特定しています。これらに基づき、SDGsと整合する独自目標を設定し、中期経営計画の施策と直接結び付けながら推進しています。
また、パーパスの策定に加えて、近時の大きな事業環境の変化を踏まえ、マテリアリティの見直しを実施し、今回、その結果を開示しています。近年はサプライチェーンや人的資本の重要性が世界的に高まる一方、当社グループが成長領域と位置付ける半導体市場やデータセンター市場、またGXソリューションの領域等では、技術革新や社会課題への対応が急速に進んでいます。こうした変化を踏まえて重要性と財務影響を再評価した結果、サプライチェーンと人的資本の重要度を引き上げるとともに、新たなマテリアリティとして「水資源」を追加しました。
その背景には、生成AIの普及に伴い急増するデータセンターなどでの膨大な水消費量の拡大があります。水資源は空調分野における冷却機能や社会インフラである上水等の効率的な安定供給と密接に関連しており、将来的には事業継続や成長機会そのものに影響を及ぼす可能性があります。特に当社グループがグローバルで事業拡大を進める中、水資源への対応は水資源枯渇に伴う物理的リスクの観点のみならず、新たな 事業機会創出という観点からも重要なテーマになると認識しています。
当社グループでは、物理的リスクも視野に入れつつ、データセンター向け空調システムの冷却水の効率利用等の観点からビルディングオートメーション事業への影響を評価するとともに、アドバンスオートメーション事業における水利用効率化機器・サービスや環境事故防止ソリューション、ライフオートメーション事業における漏水検知サービスなど、各事業領域における事業機会を多面的に分析しています。私たちは、水資源を単なる環境課題として捉えるのではなく、社会的要請への対応と企業価値向上の双方に関わる優先的に取り組む経営課題として認識しています。
また、人権尊重についても重要な経営課題の一つとして位置付けています。自社のみならずサプライチェーンを含むバリューチェーン全体を対象に人権デュー・ディリジェンスを推進し、優先的に対応すべき人権課題を特定し、取組みの強化を進めています。2025年度には国内外グループ会社を含めた取組み状況の調査を実施し、その結果を踏まえ2026~2027年度のロードマップを策定しました。さらに2026年4月にはazbilグループ人権部会を設置し、ステークホルダー(人権団体)との直接的な対話も含めた人権尊重の取組みをより実効的に推進する体制を整備しています。
加えて、TCFDおよびTNFD提言への賛同のもと、気候変動や自然資本に関する機会・リスクの把握と情報開示の高度化にも取り組んでいます。今後導入が見込まれるサステナビリティ情報開示基準への対応も見据えながら、統合的かつ透明性の高い情報開示を進めていきます。
こうしたサステナビリティ経営を支える基盤として、当社グループでは人的資本の強化を重要な経営課題と位置付けています。オートメーション事業を通じて価値を創造する当社グループにとって、人材は最も重要な経営資本です。中期経営計画では総額人件費で前中期経営計画と比較して3カ年累計320億円の増加となる人的資本投資を計画し、「健幸経営の実現」と「学習する企業体の発展・強化」を軸に施策を進めています。
誰もが働きやすく、成果に報いる人事制度の整備に加えて、今後の事業成長を支えるグローバル人材と高度専門人材の育成・確保に注力しています。海外事業では専任組織を設置し、各国・地域の特性を踏まえた採用、育成、定着施策を推進しています。また、AIやデジタル技術の急速な進展を踏まえ、DX人材の育成やリスキリングを強化しています。生成AIをはじめとする新技術を活用し、事業変革や新たな価値創出に挑戦できる人材を育成するとともに、社員一人ひとりのキャリア自律を支援しています。
さらに、人材への投資を能力開発にとどめることなく、エンゲージメント向上や働きがいの創出にもつなげています。報酬制度の見直しや福利厚生の充実、社員株式給付制度(JESOP-RS)などを通じたオーナーシップ意識の醸成に加え、「風通しの良い」働く環境の改善を含め、健幸経営の推進にも取り組んでいます。社員一人ひとりが能力を発揮し、多様な価値観や専門性を持つ人材が互いに学び合いながら成長する企業風土こそが、持続的な企業価値向上の源泉であると考えています。
私たちは、社員一人ひとりのWell-beingの実現が企業価値向上につながり、さらに社会のWell-beingへとつながっていくと考えています。サステナビリティは企業活動と切り離された特別な活動ではありません。事業、人材、技術、そして経営そのものを通じて社会価値と企業価値の好循環を生み出し、持続可能な社会の実現と当社グループの持続的成長の両立を目指していきます。その実践を通じて、「人と社会の可能性を、技術で解き放つ。」べく、「人を中心としたオートメーション」の理念を次の時代へさらに発展させていきます。

学習する企業体・人材育成
健幸経営の推進
