サステナビリティ経営担当役員メッセージ
オートメーション事業を通じた持続的な成長に向け、サステナビリティにおける取組みを推進、未来を拓く人材を育みます。
 
    取締役 代表執行副社長
サステナビリティ(兼azbilグループCSR)、人財・教育担当
横田 隆幸
azbilグループでは創業時の精神を引き継ぎ、サステナビリティに関する方針を公表して、地球環境と持続可能な社会へ「直列」に貢献する取組みを進めています。「オートメーション」の技術で人と社会をつなぎ、例えば、建物、工場、ライフラインといった領域の“空間の質” を向上させながら、資源・エネルギー使用量を適正に抑制することで、地球環境負荷の低減を実現しています。持続可能な社会の実現のためには、こうした資源・エネルギー使用量を適正に抑制する仕組みを構築する必要があり、昨今社会からその役割を一層強く期待されています。このことは社会が絶えず変化する中でも、当社グループが事業を通じて、持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献を実現することが可能であると同時に、当社グループ自身の持続的な成長につながることを意味します。
マテリアリティと独自のSDGs目標
 ダブルマテリアリティ(環境・社会が企業に与える財務的な影響と、企業活動が環境・社会に与える影響という2つの側面から重要性を評価する考え方)を取り入れ、長期にわたり取り組む重点課題として5分野10項目のマテリアリティを特定しています。これらのマテリアリティに基づき、①事業や企業活動に関する7つの項目については、 SDGs(持続可能な開発目標) が掲げる領域と整合する「azbilグループSDGs目標」を設定することに加えて、②企業が社会に存立するうえで果たすべき基本的責務である3つの項目についても従来から定着させてきたCSR活動において具体的な目標を定めています。なお、2024 年度には、リスク管理の観点も含め、当社グループのみならずバリューチェーン全体におけるステークホルダーごとの人権リスクを網羅的に抽出し、リスクの深刻度と発生可能性を踏まえて、優先的に対応すべき人権リスクの特定を行いました。また、2025年度からは、「azbilグループコンプライアンス委員会」を通じてさらなるコンプライアンス強化を図っています。
私たちは、これらすべての目標をグループでの取組みとして位置付け、それぞれを新中期経営計画における施策と直接的に結び付けて、SDGs目標への挑戦やCSR活動における各目標の達成に向けて様々な取組みを誠実に行うことにより、当社グループの「サステナビリティ経営」を推進しています。
なお、10項目の他に重要性が比較的高い項目として、自然資本(生物多様性・水資源等)があげられます。現在、TNFD※1 提言にそったネイチャーポジティブの取組みを進めていますが、引き続き、環境・社会・事業構造の変化やそれらの財務影響等も勘案し、検証を進めていきます。また、開示面でも、この報告書においてTCFD※2・TNFDの統合開示を試みるなど、今後導入が見込まれるサステナビリティ情報開示基準等も踏まえ、当社グループの活動内容を高めるとともに、ステークホルダーの皆様への情報開示の改善・拡充を進めていきます。
※1 TNFD 自然関連財務情報開示タスクフォース
※2 TCFD 気候関連財務情報開示タスクフォース
人的資本強化の取組み
「お客さまとともに、現場で価値を創る」をグループ理念に 掲げ、オートメーション事業を推進する当社グループにとって人材は重要な財産であり、新たな企業文化と価値創造の源泉です。また、サステナビリティや持続的な成長の観点からも、人材を重要な経営資本として位置付けています。昨今の変化のスピードが速い事業環境の中において、その重要性はますます高まっています。2030年度の長期目標の達成、そしてそのさらに先の当社グループのあるべき姿の実現に向けて、働く環境を整え、人材を育成し、様々なケイパビリティ、多様性を持つ社員の力を結集することでお客様と社会に価値を提供し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。azbilグループで働くすべての社員のWell-beingを通じて会社の持続的発展・企業価値を向上させ、ひいては社会のWell-being実現に貢献することが当社グループの経営で目指すところです。
人材は、当社グループのマテリアリティとしても特定されており、当社グループではSDGs目標の一つとして「健幸経営(働きがい、健康、DEI)の実現」「学習する企業体の発展・強化(グローバルに活躍する人材の継続的育成とステークホルダーと学ぶ機会の拡大)」を掲げています。多様性の観点では従来 「女性活躍ポイント」を独自に設定していましたが、前倒しで目標を達成できたことから、より客観的で社会の共通認識である「女性管理職比率」を新たに具体的数値目標として設定しました。
人的資本投資強化の施策としては「人事制度改革と人材確保」「キャリア自律の人材育成」「社員のエンゲージメント向上」を3本の柱として進めています。長期目標・中期 経営計画達成に向けて、azbilグループらしい事業モデルを通じた事業伸長のための人材投資として、今後の技術発展や社会情勢の変化に対応するため、多様な価値観・スキルを持つ人材を積極的に採用し、社員が長期にわたって活躍できるよう人材育成の専門機関であるアズビル・アカデミーを主体に継続的な育成を図り、適材適所の配置を進めています。
また福利厚生や「働きがい」の面においても「社員株式給付制度(J-ESOP)※1」や「信託型従業員持株インセンティブ・プラン(E-Ship®)※2」などの導入・拡充による「会社のオーナーシップ共有」に加えて、健幸経営を推進する取組みとして、社員のエンゲージメント向上に重きをおいて、職場環境や勤務体系改善、DX推進といった施策に加え、「働きの創造」活動や各種のコミュニケーション強化施策を行っています。
さらに、2025年大阪・関西万博のテーマウィークに協賛し、若手社員を主体としたプロジェクトの活動を通して、アズビルで活躍する自らを体感し、オートメーション事業の未来の展望についての議論を深めてもらいました。
社員一人ひとりがグループの一員として目標を共有し、部門や組織の枠組みを越えてつながり、協力することがグループの成功に不可欠です。 社員全員が能力を発揮し、有意義な成果を実現できる企業風土の醸成を目指していきます。今後も、企業価値との連動を重視しながら、人的資本の強化施策を推進していきます。
  ※1 J-ESOP:社員に対し個人の貢献度等を勘案して計算されるポイントを付与し、一定の条件により受給権の取得をした時に当該付与ポイントに相当する当社株式を給付する制度
  ※2 E-Ship®:あらかじめ信託設定した期間(3年)にわたり持株会が取得すると見込まれる数の当社株式を信託があらかじめ取得し、その後、信託から持株会に対して継続的に当社株式の売却が行われるとともに、信託終了時点で従持信託内に株式売却益相当額が累積した場合には、当該株式売却益相当額が残余財産として受益者適格要件を満たす者に分配される制度
  E-Ship®は野村證券株式会社の登録商標です 

