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「自律化」が生産空間にもたらす新たな価値

― AIを活用した新しいオートメーションで製造業の工場の運用を自律化、持続可能な社会の実現と人々のウェルビーイングへの貢献を目指す ―

かつて人が担ってきた工場の生産ラインにおける様々な作業を機械化・自動化するオートメーション技術の発展により、従事する人々の負担は大きく軽減されてきました。その一方で、今日では単に人的負荷の軽減や生産性向上にとどまらない新たな価値の実現が求められるに至っています。これに対しアズビルが提案しているのが、持続可能な社会の実現や人々のウェルビーイングに資する、工場全体の運用をめぐる「自律化」の推進です。

持続可能な社会の実現に向け、複雑化する生産現場の課題解決が不可欠に

アズビル株式会社は、「技術の力で人々を苦役から解放する」という創業者の想いを継承し、「人を中心に据えて課題を解決する」という発想に基づいてオートメーション技術を進化させてきました。オートメーションは、工場の生産ラインにおいて人が重労働や手作業によって担ってきた工程を自動化する技術として発展し、そこで従事する人々の負担を軽減して、生産の効率化の面で大きな価値を提供してきました。

その一方で、時代とともに複雑化する生産に求められる多様な要求を満たし、なおかつ、ある製品を決められた数量、期間、品質で安定して生産するという工場本来の使命を果たすには、様々な状況判断や設備の調整、不測の事態への対処などが必要となります。これに対し、決められた動作を実行するという従来のオートメーションでは、状況の変化などに応じた対応はできないため、そこには人が意思決定を行うというプロセスが必ず介在することになります。このように、生産現場では管理業務を担当する人々の心的負担が増加し続けているのが現状です。

加えて持続的な発展を目指す時代へと社会が変化し、製造業は、単に自社の事業・業績の成長を目指すという企業目標の達成のみならず、持続可能な社会の実現へ向けた環境への配慮や、労働力人口の減少、多様な働き方の実現などといった課題への対応が求められるようになっています。そうした中で、物質的な豊かさより心的な豊かさを重視するウェルビーイングへの意識も高まっています。

今求められる自動化を超えた、自律化という新たなオートメーションの姿

これに対しアズビルでは、従来の自動化を超え、持続可能な社会や心的な豊かさといった新たな価値を提供し得る新しいオートメーションが必要であると考えています。それが「自律化」であり、その第一歩として推進しているのが、生産空間における自律化です。

例えば、アズビルが実行プランの自動立案を支援するソリューションとして提供している生産計画立案・変更システムVIRTUAL PLANNER™は、コストやリードタイム、エネルギー消費などを最小限に抑えた最も合理的な生産計画や手順を、AIがより高速かつ高精度に立案。計画業務にかかわる属人化と心的な負荷の課題解決に貢献します。

また、AIが製造ラインを常時オンラインでモニタリングし、いつもと異なる動きを検知する異常予兆検知システムBiG EYES™は、設備障害や品質の劣化を未然に防止するソリューションとして、既に多くの製造業の現場で採用されており、AIシステムの先駆けとなっています。

さらに、品質問題が発生した際に自動で原因究明を行うのが、因子発見データロボット(仮称)と呼ばれる自律型のシステムです。こちらもAIが原料やプロセス、検査などの各種データから影響因子を特定し、品質課題の解決策を提案。AIがPDCAを回すことによって人による品質管理業務を代行し、品質問題のない生産空間を目指します。

これらAIを活用した自律化システムにより、生産現場における生産性の向上だけでなく、生産のCSRに寄与することで、現場担当者の心的負担を軽減することが期待できます。

自律化システムの機能と社会価値

先進的なお客さまとの協業で、イノベーティブな技術を開発

こうした自律化システムの実現には、長年にわたりお客さまの現場に寄り添い課題を解決してきたアズビルならではの豊富な知見とノウハウが活かされています。同時に、新しい技術を進化させていくには、お客さまとの協業も重要です。アズビルでは、BiG EYESを中心に、生産現場におけるAIの実用化と継続的な利用を、お客さまの協力の下で進めてきました。そうした協業が新しい技術の創出につながった例もあります。その一つが関西電力株式会社と共同開発したBiG EYESの機能拡張オプションソフトウェアであるBiG EYES plus™です。

BiG EYESは、ボイラや給水ポンプなど設備単位で監視を行うことで精度高く異常予兆を検知する仕組みですが、火力発電所などの大規模発電所ではより広範な予兆検知が求められます。BiG EYES plusは、より広範で網羅的な監視を実現し、現場設備での異常発生の可能性に当たりをつけて、BiG EYESにより詳細な予兆検知を行うという使い方が可能となります。

そのほか2023年10月には、BiG EYESのオプションソフトウェア「自律型・品質管理F3モジュール」の販売を開始。BiG EYESで検知した品質影響因子の変調をトリガーとして、対処の必要性や具体的な対処箇所、方法などを製造ライン管理者や品質管理担当者にガイダンスするもので、迅速かつやりとりを時系列的に記録するためチャット形式になっています。

アズビルでは、生産空間における製品出来高、品質管理、設備管理などの代表的な生産工場ミッションを対象に、AIの活用を核とした自律化の実現に向けた取組みを推進しています。お客さまの生産活動を自律化により革新し、持続的な社会や人々のウェルビーイングへの貢献を果たしていくことを目指します。

そうした自律化による価値は、オートメーション技術にAIなどの先進技術を融合させ、さらにアズビルが長年培ってきた現場での経験やノウハウを合わせることで生まれたものです。アズビルでは自律化による新たな価値をお客さまにしっかりとお届けするべく、従業員一人ひとりの意識改革を進め、時代の変化に合わせたサービスや商品を提供してまいります。

生産工場における自律化システムの製品サービス

※VIRTUAL PLANNER、BiG EYES、BiG EYES plusは、アズビル株式会社の商標です。

この記事は2024年04月に掲載されたものです。