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東ソー株式会社 南陽事業所

異常予兆への「気づき」を早期に支援
安全なプラント操業の仕組みづくりに貢献

東ソー 南陽事業所では、世界一安全で収益力豊かな事業所の実現を目指した取組みの一環として、ここ数年で実用の段階に入ったAI(人工知能)技術をベースに操業にかかわる情報をビッグデータ解析し、設備の異常予兆をいち早く検知するシステムを導入。異常発生を未然に防止できる体制を整えました。今後は、同システムを活用することによって保安面はもちろん、作業効率や品質の向上、コスト削減、技術伝承などに寄与することを期待しています。

工場・プラント分野 石油・石油化学 化学 安全・安心 コスト削減 クラウド・IoT・AI 運転監視・制御システム&ソフトウェア

世界一安全で収益力豊かな事業所を目指し、重点的に安全に取り組む

総合化学メーカーである東ソー株式会社は、化学品やウレタン、セメントなどのクロル・アルカリ事業、オレフィンやポリマーといった石油化学事業、そして有機化成品やバイオサイエンス、高機能材料を供給する機能商品事業を展開。安定的な需要が見込まれるコモディティ分野と高い技術力で高付加価値化したスペシャリティ分野を両輪とする「ハイブリッドカンパニー」として製品を提供しています。

南陽事業所は同社最大の製造拠点です。自家発電や大型船舶が接岸できる港湾設備に加え、約300万m²という国内の化学メーカーの単体工場としては最大級の規模を誇る敷地内で、苛性ソーダ、塩化ビニルモノマー、エチレンアミンなどの製品を生産しています。

「2011年11月、当事業所で爆発・火災事故が発生しました。二度と同様の事故を起こさない『安全な化学メーカー』に生まれ変わるという固い決意の下、非定常時の対応能力といった『安全基盤』、トップダウンによる明確な意思表示などの『安全文化』の確立を目指した施策を多方面で推進しています」(森田氏)

現在、製造業においては、IoT(Internet of Things)をはじめとする先端技術を、製造プロセスでの新たな価値創造につなげていこうとする動きが活発化しています。 「当時、世界一安全な事業所を実現するためには、どういうプラントであるべきかを考えた結果、誰もがプラントの異常にいち早く気づき、事故・トラブルに至る前に正常に戻すための対応時間を確保できる技術が必要と考え、検討を開始しました」(舘氏)

実例を用いた精度の検証で早期かつ正確に異常予兆を検知

アミン課では、そうしたツールの調査を進め、製品の候補を絞り、2社のベンダーに提案を依頼。また、過去のトラブルデータを提供し、どれだけ早く正確に検知できるか精度を検証するフィジビリティスタディも実施しました。その結果、アミン課が導入を決めたのが、アズビル株式会社が提供するオンライン異常予兆検知システム BiG EYES™でした。

「異常に気づくのが早いほど、余裕を持って対処できるとの考えから、フィジビリティスタディの結果を重視していました。一つの事例ですが、BiG EYESはトラブルの3日前にその予兆を検知しました。これは他社と比べて圧倒的に早い結果でした。また、アミン課のプラントのプログラムは複雑なのですが、1980年代からアズビル製のDCS※1を使っていることもあり、製造プロセスや実際の現場をよく理解してくれているという安心感もありました」(森田氏)

また、アミン課では、運転ノウハウを標準化/自動化し、リアルタイムな操作手順ガイドや傾向監視を行う運転支援自動化パッケージ Knowledge Power™や、アラームや操作履歴データを解析・評価し、運転改善業務を支援するイベント情報解析ツール アラームアナリスト™という、アズビルの運転支援ツールを既に導入していました。

Knowledge Powerやアラームアナリストなど、ほかのアズビルの運転支援ツールとの密接な連携が期待できることも、選定の決め手となりました」(舘氏)

中央監視室に設置されたBiG EYESの端末

中央監視室に設置されたBiG EYESの端末。監視モデルを作成するコンフィギュレータ画面(左)とトレンド監視ビューア(右)。

※BiG EYES、Knowledge Power、アラームアナリストは、アズビル株式会社の商標です。

保安に加えて、作業効率や品質の向上コスト削減の効果も見込む

BiG EYESでは、ユーザー自身が現場の製造プロセスに合わせて、設備の監視対象となる計測点をあらかじめ設定します。そして、過去に蓄積されたセンサ群の長期プロセスデータから、正常な振舞いをファジー・ニューラル・ネットワークに学習させることで、正常とみなせる値の範囲の区間を割り出し、プロセス値の小さな変化を捉えて、より早くお客さまの製造プロセスや設備の異常の予兆を検知します。

アミン課では、2017年3月にBiG EYESの導入を決定、プロジェクトチームを発足、監視範囲の検討と監視モデルの作成を経て12月に稼働開始しました。初めに、プラントの操業において異常発生の影響が災害に直結する重要度の高い箇所の監視を目的に、50~60の監視モデルを用いてBiG EYESの運用を始めました。

「当課は20代の若手オペレータが職場の大半を占めています。監視モデルの作成過程では現場の経験が重要であるため、熟練オペレータの知見が可視化されることになり、その伝承にも有効です。また、モデル作成にあたっては、アズビルのITサービス推進部の担当者に来てもらい、丁寧なサポートを受けながら、課題の共有や解決方法の検討などを繰り返し行いました。そのため、アズビルと一緒に作り上げたという思いがあります」(日向野氏)

「当事業所では、2011年11月の事故で、高圧ガス保安法が定める認定保安検査実施者の認定を失いました。そこで、再認定に向けてBiG EYESを含む運転支援の仕組みを整備した結果、先ごろ受けた審査では、そうした取組みを高く評価していただきました」(森田氏)

また、アミン課では、重要度の高い箇所以外の監視モデルも作成しており、一例として、操業を通じて生じる排水ポンプのストレーナー※2のゴミ詰まりに関し、ポンプ吐出圧力データの変化からその予兆を捉えるといったモデルを運用しています。

「そのモデル自体は、保安というよりは現場作業の省力化・標準化に貢献するものです。ゴミ詰まりに伴う圧力低下が急激に起きる場合、これまでのDCSアラームでは詰まり検知が突然起こり、現場作業に時間的余裕がありませんでしたが、BiG EYESによる早期の気づきによって対応操作の時間に余裕を生むことが可能となりました。このようにBiG EYESの活用は、当初想定していた保安のみならず、作業効率や品質の向上、原料原単位の改善によるコスト削減などにも役立てられると実感しています。現在は保安に注力して運用していますが、様々な展開の可能性があると考えています」(日向野氏)

「今後、アミン課では、監視モデルの精度向上を進めるとともに、繰り返し発生するトラブルなどに即したモデルの拡充も進め、BiG EYESによる異常予兆検知の範囲を拡大していきます。また、アミン課での取組みに注目した南陽事業所内のほかの製造課もBiG EYESの導入を進めています。さらに、ほかの運転支援ツールとの連携も強化し、BiG EYESの『気づき』を実際の運転や監視に活かす仕組みを構築したいと考えており、アズビルの継続的な支援を期待しています」(森田氏)

BiG EYESの監視画面の一例(ストレーナーの詰まりの予兆を検知したケース)。

BiG EYESの監視画面の一例(ストレーナーの詰まりの予兆を検知したケース)。

用語解説

※1 DCS(Distributed Control System)

分散制御システム。プラント・工場の製造プロセスや生産設備などを監視・制御するための専用システム。DCSを構成する各機器がネットワーク上で機能を分散して持つことで、負荷の分散化が図れ、安全でメンテナンス性に優れている。

※2 ストレーナー

液体から固形物をこし取るために用いる網状の器具。

※3 %F.S.

パーセントフルスケール(フルスケール誤差)。表示精度や制御精度を表すときに使用する。機器の計測制御レンジの上限値にこの比率を掛けた数値が誤差範囲となる。

 

お客さま紹介

東ソー株式会社 南陽事業所 化成品製造部 アミン課 課長(導入当時)舘 教智 氏
東ソー株式会社
南陽事業所
化成品製造部
アミン課
課長(導入当時)
舘 教智 氏
東ソー株式会社 南陽事業所 化成品製造部 アミン課 課長 森田 利夫 氏
東ソー株式会社
南陽事業所
化成品製造部
アミン課
課長
森田 利夫 氏
東ソー株式会社 南陽事業所 化成品製造部 アミン課 副主任技師 日向野 翔 氏
東ソー株式会社
南陽事業所
化成品製造部
アミン課
副主任技師
日向野 翔 氏

東ソー株式会社 南陽事業所

東ソー株式会社 南陽事業所

  • 所在地/山口県周南市開成町4560
  • 設立/1935年2月11日
  • 事業内容/苛性ソーダ、塩化ビニルモノマー、ポリエチレン、エチレンアミンなどの生産

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2018 Vol.6(2018年12月発行)に掲載されたものです。

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